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【完結】誘惑のヴィクトリア~皇太子妃になりたくないので皇子以外を全力で誘惑します~  作者: 茄乙モコ
【第2章】嫉妬する女たち(恋心、意識編)
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第29話 月光の行方(1)

ヴィクトリアは本当にライリーはメアリーに()()()なと思いながらじっと見た。

彼は本当に何も聞かされてないみたい。

妹の心配もしてなさそうだし…。


そして彼女は今、カティーサークと何をしてるんだろうとふと頭をよぎった。

まさかとは思うけど、彼がメアリーに手を出すなんてことは…。

想像して胸のあたりが何だかモヤっとした。


何考えて…私。

別にいいじゃない!

あの男が誰と何しようと。

私は今思い浮かんだことを振り払うようにライリーに声をかけた。


「ライリー様ったら本当にお酒が好きなんですね。そんなに美味しいですか?このワイン。」


今日は何だか色々あって考えていたせいで、私はまだワインに一口もつけずにいた。


「ああ。久しぶりにこんないいワインを飲むよ。」


彼はまたグイっとワインを飲むと、グラスに注いだ。


「いつもそんなペースで?」


「ああ。俺は騎士団の中でもかなり強い方だからな。」


彼は豪快に笑った。


笑い方は…メアリーとは似てないわね。

それでもお昼の時の様子といい、まっすぐな人なんだわ。

私はライリーとのおしゃべりが思いの他楽しかった。

疲れていたことを一瞬でも忘れるくらいに。


そうしてライリーが3杯目を飲もうとグラスに注ごうとした時、彼は手元を狂わせワインをこぼしてしまった。私はそれを見て笑いながらライリーに言った。


「何?ライリー様ったらもう酔っちゃったんですか?だとしたら騎士団も大したことなさそうですね。」

私はくすくすと笑った。

そして手元に持ったワインを飲もうと口に近づけた瞬間、ライリーがものすごい勢いで声を発した。


「飲むな!!!!」


私はその声に耳がビクッとなり、固まってしまった。

すると彼は私が持っていたワイングラスを引っ(つか)むと床にそのまま叩きつけた。

彼の様子は明らかにおかしかった。


「ラ…ライリー様。一体どうし…。」


私が話しかけようとした時、彼は机を思い切り叩いた。


「くそっ!こういうことか!!!」


彼は怒っているようだった。

突然の豹変に私も声を詰まらせた。


彼は私を獣のような目で見るや、私の腕を思いっきり掴みドアの方へ押しやった。

私は一体何が起こっているのかがわからず体が震えた。

私が固まってドアの前で動けずにいると、彼は「早く…。」と言いながらドアを開け私を部屋の外へ押しやった。


彼の額や首からは尋常じゃないほどの汗が流れていた。

呼吸も乱れ、苦しそうな表情をしていた。


「ど…どうしたの?どこか具合が…。」


私が話しかけると彼は切羽詰まったように言った。


「あんた、人の心配してる場合じゃないぜ。自分のこと心配しろ。マリー、いやヴィクトリアだったか。」


閉めようとするドアの間から辛そうな彼の顔が見えた。


「ライリー、あなた気づいて…。」


「今日の昼会ってるからな。さすがにその金色の瞳は忘れられないぜ。それから、…あまり人を信用するな。俺の妹はただの優しい女じゃないってことさ。てっきり(かくま)うだけかと思いきや、あいつワインに薬仕込んでやがった。」


彼は必死に自分の中の獣を抑えているようだった。

私はそんな苦しむ彼をどうすることも出来ずにただ見る事しか出来なかった。


「ここまで言えばわかるだろ。俺は今すげーヤバい状態で、あんたは逃げなくちゃいけないってこと。でも俺はあいつの企み通りにはなりたくないんでね。()()()()()()だろ、俺とあいつは。」


彼は苦しい表情を浮かべながら笑っていた。

そしてドアを完全に閉めようとした時のことだった。


「あっ、そうだ。これくらいは許せよ。」


そういうとライリーはドアの隙間から顔を出し、私の唇にキスをした。

私はその瞬間、驚きはしたものの何も感じなかった。


彼は少し意地悪な顔をしながら私に言った。


「どうだ?これで比べられるだろ。」


そう言うと彼はドアを閉め内側から鍵をかけたようだった。

中から「早く行け!」という声が聞こえた。

私はどこに行く当てもなくとにかく建物を飛び出し、外に出た。



今日は満月だった。


私は月明りに導かれるようにただ外を歩いた。

途中で誰かを探す騎士に会い、ライリーのことをそれとなく伝えた。

急病だから早く行ってほしい、と。

眼鏡をかけた茶髪の侍女がまさかヴィクトリアだと気づかずに、その騎士はライリーのいる部屋の方へと向かって行った。


皇子宮に戻ることも出来ずどこに行こうかと考えていた時、ふとカティーサークとの会話を思い出した。


そう言えば、こっちの方に彼が造らせたと言った池があったはず。

そこならきっと誰も来ないし、そこでゆっくり考えよう。


そう思い私は月の光に導かれるように池のある方へと向かって行った。




♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦



部屋に残ったライリーはドアにもたれ掛かりながらぐったりと座り込んでいた。

そして一人、窓から見える満月を眺めた。


ホントにあいつはきっついことをしてくれるぜ。


そう思いながらヴィクトリアのことを思い出していた。

昼間に彼女の額に軽くキスしたこと。

彼女から頬にキスされたこと。

そしてさっき彼女の唇にキスしたこと。


何も感じないって顔してたな…。

脈なしってことかよ。


ちょっとは期待したんだけどな。


ライリーは先ほど彼女の腕を掴んだ手を顔に近づけた。

ほのかにヴィクトリアの甘い匂いがした。


「たまんないな…。」


そう呟くと目を閉じ、ただひたすら時間が過ぎるのを待った。

メアリーの企み通りにいくパターンといかないパターンの二つを考えて、結局いかない方にしました。大きな流れは変わりませんが、その後の展開が変わっちゃいますからね。それにしても一日の出来事を書いているだけなのに、長いです(ーー;)。

本日23時に更新予定。

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