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【完結】誘惑のヴィクトリア~皇太子妃になりたくないので皇子以外を全力で誘惑します~  作者: 茄乙モコ
【第2章】嫉妬する女たち(恋心、意識編)
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第27話 暗躍するメアリー(1)

ヴィクトリアはバスタブに入れられ髪を洗われながら、カティーサークとのやり取りを思い出していた。


あの男は…彼は私を好きだと言った。


初めて会った時からって、いつ?

謁見の時?

あの時目を反らしたから気に入られてないと思ったのに…。


その時ふと初めての「寝屋(ねや)の日」に彼が話していたことを思い出した。

そう言えば前に会ったとかって言ってたっけ。

確か、10年前とか…。


「はぁ、全然思い出せない。」

私は小さく(つぶ)いた。


だとしても10年前ってことはさすがにないか。

それとも彼の勘違い?

考え直してやはり謁見の時だろうと思った。


とすると、一目惚れってこと?

…はぁ。

こんどは心の中でため息をついた。

だとしたら何をしても無駄だったってことじゃない。


私を正妃にするだなんて…。



私は彼のアクアマリンの瞳を思い出して、また胸がざわついた。

私を欲するあの瞳を。

鋭く突きさす(けもの)のような瞳を。

そしてシャンデリアに反射したアクアマリンの揺らめきを。


体の中がまたドクドクした。


彼がさっきキスした首筋が熱かった。




「何なの!もう!」

気づいたらまた声に出していた。



その時、耳元で一人の侍女が(ささや)いた。


「ヴィクトリア。」


私は声のする方を向くと、そこには侍女の姿をしたメアリーがいた!

驚いて「メアリー」と言いかけたところをすんでのところで止めた。


「今、他の侍女たちはオイルとタオルを取りに行ってるわ。」


メアリーは真剣な顔つきで周りの様子を(うかがい)いつつ話を続けた。


「ヴィクトリア、よく聞いて。私はあなたを助けたいの。だから他の侍女たちを何とか追い払ってちょうだい。」


メアリーの目は真剣だった。

私は彼女がどうやって何をするのかわからなかったが、彼女の言う通りにしようと思った。

何より危険を冒してまで私に会いに来てくれたことが嬉しかった。


私は「しばらく静かに落ち着きたい。オイルは彼女に塗ってもらうから。」と言い、他の侍女たちを追い返した。そして時間になったら迎えに来てほしいと告げた。


そうして部屋には私とメアリーだけになった。


「メアリー。」


私はそう言うとメアリーに抱きついた。

本当は心細くてたまらなかったのだ。


「ヴィクトリア…。私はあなたが不憫(ふびん)で仕方がないわ。こんな目にあって…。」


そう言いながらメアリーは私の首筋の赤くなっている所を触った。

それは彼が荒々しくつけた所有印(キスマーク)(あと)だった。

すると彼女は抱きついている私を離し、私の目をじっと見た。


「私があなたを逃がしてあげるわ。」


私は驚きつつ聞き返した。


「でも、どうやって…。」


するとメアリーはとんでもないことを言い出した。


「私があなたの身代わりになるわ。」


そう言い、服の隙間からウィッグを取り出した。

それは私によく似たピンク色のウェーブのかかったものだった。


「大丈夫。心配しないで。それに、ほら。こうやってヴェールを被ってしまえば顔も良く見えないし少しの間なら何とかなると思うの。」


彼女はニッコリと笑った。


しかし、私は笑えなかった。


「そんなことをしたらメアリーはどうなるの?殿下はきっと許さないわ!あなたがどんな目に遭うか考えるとそんなことさせられない!」


私は横に首を振った。

しかし彼女は引き下がらなかった。


「ねぇ、ヴィクトリア。聞いて。私たちは確かに妃候補でここにいるけど、だからって何でも殿下の言うことを聞くのは違うと思うの。だって私たちは自分の意志がちゃんとあるじゃない。だからこんなことをあなたにしようとする殿下を私も許せないの。」


彼女はとてもやさしい声だった。

そして彼女は話し続けた。


「確かに危ないことなのはわかってるわ。だけど、殿下にだって頭を冷やす時間が必要だと思うの。私が行けば少しは頭も冷えるんじゃないかしら。それで、そこで話してみるわ。こんなやり方はよくないって…。」


私は一番心配していることを彼女に聞いた。


「もしそれでメアリーが罰を受けて妃候補から外されたらどうするの?あなたは正妃になりたくてここにいるんでしょう?」


彼女は目を伏せながら首を横に振った。


「…もういいの。私は半分諦めてるから。だから最後くらいあなたを助けて去りたいの。」


彼女は微笑んでいた。


私は彼が私を正妃にしようとしていることに、彼女はもう気づいているんだと思った。

だからこそ辛かった。

望まない所にその座が落ちようとしているのが。



私は彼女の提案を受け入れることにした。


「わかったわ。で、どうすればいいの?」




私は最後まで彼に(あらが)ってやろうと決めた。




そうして私とメアリーは服を交換し、メアリーはピンクのウィッグとヴェールを被った。

確かによほど近くで見ない限りは見分けはつきそうになかった。

瞳の色が違うのでバレないようにメアリーは伏し目がちにしていた。


私は侍女の服に着替えそのまま皇子宮を出るように言われた。

そして皇子宮の裏にいるメアリーの兄ライリーを尋ねるようにとのことだった。

とりあえず今晩隠れるところを用意してくれるらしい。


私は一旦逃げて殿下の溜飲(りゅういん)が下がったところで戻るのがいいだろうとのことだった。

ただ、宮殿に戻った時にライリーのことは絶対に言わない約束をした。

彼も協力したとなれば王宮騎士団を追われる可能性があるからだ。

あくまでライリーは暴力的な婚約者から侍女を(かくま)ってくれただけ。

令嬢のヴィクトリアだなんて気づかなかったと。


私とメアリーは最後の確認をすると、私はメアリ―を部屋に残して扉を開けた。

彼女は最後まで笑っていた。

どうか、どうか無事に終わってほしい。

そう思いながら私は部屋を出て、何食わぬ顔で通路を歩いた。


メアリーの用意してくれた眼鏡と茶髪のウィッグが功を奏したのか、こうして誰にも気づかれることなく私は皇子宮を出ることができたのだった。



♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦♦



私はライリーを見つけると手を振った。

向こうも私に気づき「君が一晩(かくま)ってほしい侍女?」と聞いてきた。

本当に何も気づいてないんだなと思いながら「はい。マリーと言います。」と答えた。

全く気付かないライリーに私は少しクスリと笑った。


そうしてライリーは夜をしのげそうな部屋に連れて行ってくれた。

王宮を出るのは難しいが騎士たちがこっそり恋人と会ったりするための部屋がいくつかあるらしく、その中の一つを用意してくれていた。


部屋はこじんまりとしていて小さなテーブルに椅子、そしてベットがあった。

私は一通り見て、まぁ十分かなと思った。


ライリーはとても気さくな人で、話し相手になると言ってくれた。

正直色々あって疲れていたが、ライリーの真剣に心配する様子に「じゃあ、少しだけ。」と言っておしゃべりすることにした。


窓から外を見ると、日はすでに落ち辺りは暗くなっていた。


彼は妹からもらった赤ワインがあると言い鞄から取り出した。

どうやらなかなか手に入らない貴重なワインらしく、とても嬉しそうに話していた。

メアリーがきっと気を聞かせてくれたんだろうなと私は思っていた。


ライリーはお酒が好きらしくグラスにワインを注ぐと一機に飲み干した。


私は赤い色のワインを見つめながら、メアリーは今ごろ大丈夫かなと思った。



私がこうしてライリーと過ごしている間に、危険な目にあってなければいいと祈っていた。




ライリーはワインを飲みながら横目でちらちらと見ていたが、私はそれに気づかなかった。


ただぼんやりと窓の外を眺めながらメアリーのことを考えていた。
























ヴィクトリアとカティーサークの絡みを期待していた方、すみません。(ーー;)

もうちょっとヤキモキしてください。

次話ではメアリーがいよいよ本性を現します。

本日23時更新予定。

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