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【完結】誘惑のヴィクトリア~皇太子妃になりたくないので皇子以外を全力で誘惑します~  作者: 茄乙モコ
【第1章】ヴィクトリアに誘惑された男たち(厄介な皇子編)
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プロローグ

初めて小説を投稿します。たくさんの漫画や小説を読みましたが、自分だったらこうしたいという思いを込めて書きました。これから魅力的なキャラクターを出していきますので、ドキドキしてもらえたらと思います。

「はぁ、まさか…。」

ヴィクトリアは思わず声に出してしまった。


◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


ここ、サン・ビセンテは海と森のある自然豊かな辺境の地である。

ヴィクトリアはこのサン・ビセンテの地方を治める辺境伯の令嬢であり、穏やかな父と美しい母、そして3つ離れた弟と暮らしていた。

母親譲りのピンクがかった髪色に金色の瞳、しっとりと滑らかな色白の肌に形のいい胸。当然、その美しいヴィクトリアの容姿はサン・ビセンテの街では知らない者はいない。


そんな美しいヴィクトリアも今年で18歳と結婚ができる年になった。

父親の爵位はいずれ弟が継ぐことは決まっており、ヴィクトリアの嫁ぎ先に街の人の関心も高まっていた。



「ヴィクトリアをお嫁さんに迎えたいと伯爵家から男爵家まで、こんなにたくさんの肖像画が送られてきてるわよ!」


「さすがお嬢様ですよね!本当にどの方にいたしましょう。見るだけでも今日中には終わりそうにないですよ。」


いつもよりワントーン高めの声できゃっきゃっ言いながら、まるで子どものように母と侍女が騒いでいた。弟のローゼンは少し不満そうな顔で「すぐに決める必要なんてないと思うけど。」と少しそっけない態度だ。


私はと言うといつものようにお気に入りのローズティーを口に運びながら、侍女が仕分けした候補者を上から順にゆっくりと眺めていた。

「見た目がそこそこカッコ良くて、包容力があって、()()()()()()()()()()()()()方であればすぐにでも結婚するわ。」


「姉さん、何か含みのある言い方だね…。」


「そう?昔からずっと言ってるじゃない。私、皇太子妃以外ならどこにでも嫁ぐって!」





そう…私の願いはものすごく簡単なはずだった。

そもそも皇太子妃になる方が難しいのであって、皇太子妃以外の嫁ぎ先などいくらでもある。


私の願いはたった一つ。

お父様とお母様のようにたった一人に愛を注ぎ穏やかに暮らすこと。


跡継ぎを作るためとはいえ公然と浮気をした挙句、その浮気相手を側妃として後宮に迎え入れ、その上その側妃たちの管理をしつつ国や殿下のために尽くすなんて、冗談じゃない!


私の心はそんなに広くできてないわ!


聞くところによると皇太子であるカティーサーク殿下は相当なプレイボーイらしい。

皇族主催のパーティーだけでなく侯爵や伯爵家が主催するパーティなどにも頻繁に顔を出し、たくさんの令嬢たちをはべらせているとかなんとか…。


そして先月、カティーサーク殿下は20歳の誕生日を迎えられ成人となったと同時に、妃候補を皇子宮に迎え入れたと喧伝(けんでん)された。


妃候補として公爵・侯爵・伯爵家から条件に見合う令嬢を厳選し、10名も選ばれたとのこと。

歴代の皇太子の中でもこの数は異例であり、今までであれば2~3名ほどの妃候補から選ぶのが普通だ。


この数からしてどれだけの好色皇子か目に浮かぶ。


ヴィクトリアは求婚相手の肖像画をぼんやり眺めながら、皇子宮のことを思い浮かべた。

1人の妃候補につきだいたい平均で5人くらいの侍女がつくから、今の皇子宮には50人くらいの女性がいることになる。

妃候補が皇子宮に入ってから常に皇子の寝所に誰かをはべらせているらしいし、皇太子妃にでもなったら人生終わりね。

自分とは無関係な世界の出来事にヴィクトリアは微笑んだ。


カティーサーク殿下どころか皇族が出席されるであろうパーティには一度も顔をヴィクトリアは出していない。この穏やかなサン・ビセンテの周辺貴族たちだけと交流をするのみで、結婚するのも近くの貴族子息にしようかと考えていた。




そんな時である。


ゆったりとした時の流れを壊すかのようにけたたましくドアが開いた。


「こっ皇后様からの至急の伝令です!」



―ヴィクトリア嬢を皇太子妃候補として後宮に迎える―   皇后エスメラルダ






たくさんの小説の中からこのお話をお読みいただきありがとうございます。

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