初めての稽古
あの日から2年がたった。
え?イキナリ過ぎる?だって特にこれといって何も無かったしさ〜。
「うぉぉおおおおお」
『ゴン!ゴン!ゴン!』
「甘い甘い甘い甘ァァい!!」
『ボコッ!』
「ガハッ!」
俺はあの日から母さんにめっちゃ筋トレをさせられていた、内容は主にランニング、薪割り、木剣の素振り、腕立て、腹筋、背筋、スクワットetcエトセトラ.....。
そして今日から木剣で剣の稽古をつけてもらっている。だがだいたい1分以内に必ず叩きのめされる。
母さんマジパネェッス!
「フゥ〜、そろそろ休憩しましょ!私は家の中に居るから何かあったらすぐに呼びなさいよ。」
相変わらず若々しいな、本当に母さんは今35歳なんだろうか?意外と20代前半って言ってもバレない気がする。
家の庭で寝転がっていると誰かが家の塀からこっちを見ている。
あれは………エリナちゃんか、なんでまたこんな所に?まぁとりあえず本人に聞いてみるか。
「エリナちゃんこんにちは!」
「こ…こんにちは、アラン君。」
あ〜そういえばあれから全然喋ったこと無かったな、ていうか教会でも誰かと喋ってるところ見た事ないし、なんならみんなエリナちゃんを避けてたし。
俺はたまに父さん繋がりで何度か会っては居たんだけど…………いつも自分のお父さんの後ろに隠れちゃうんだよな、つまり今のが初めての会話だ。
「いつもはお父さんと一緒だけど今日はいないの?」
「うん、お父さんは毎日仕事が忙しくて、いつもは1人で剣の稽古をしてたんだけどお父さんが『たまには他の人と一緒に稽古をしたらどうだ?』って言うから……………。」
「ふむ、確かに1人でやってるより誰かと打ち合ってる方がためになるかもな。」
俺は今日母さんと打ち合ってて気づいた。
「わかった、じゃあ母さんにエリナちゃんも一緒に稽古していいか聞いて来るよ。」
「あ………あり……が…………とう…………。」
ん?なんか聞こえた?いや………気のせいか。
「ねえ母さん。」
「なぁに?アラン、どうかした?」
「今エリナちゃんが来ててさ、一緒に稽古をしたいみたいなんだけど良いかな?」
「あらそうなの〜?もちろん良いわよ、ますますやる気が出てきたわ!こーしちゃいられない、すぐに始めるわよ!ほら駆け足駆け足。」
あ………俺全然休めてなかった…………はぁ〜。
「エリナちゃん久しぶりー!」
「お久しぶりです………ウィルフレッドさん。」
「気軽にルシールで良いわよそんなの、あと苗字だと息子と紛らわしいし!」
「わかりました、る…ルシール……さん。」
「ヤダもう!照れちゃて、可愛い〜。ねえアラン、エリナちゃん家の子にしちゃっても良いかしら?」
「ダメだよ母さん、エリナちゃんの両親がガチギレしちゃうよ。そんなに女の子が欲しいなら父さんとやる事やっちゃえばいいじゃん、俺も妹欲しいし。」
「アラン?一体どこでそんな事覚えたのかしら?」
「叔父さんだよ、『お前の父さんと母さんがイチャイチャしてると父さんのコウノトリが母さんのキャベツにダイアモンドを落としてそれが赤ちゃんになるんだ!お前もそうして産まれたんだぞ?』って言ってた。訳わかんないけどさ。」
「兄さんもうまいこと言うわね、とりあえず明日あたりに血祭りに上げようかしら?」
あっっっっぶねえええええ!俺前世と合わせて25歳だったの忘れてた!まぁ叔父さんからは本当にあの話を聞かされたから嘘にはならない……はず。
叔父さん、明日を生き残れるだろうか…………。
まぁ………せめて骨は拾って上げよう。