転生完了
気が付くと、俺はベッドに横たわっていた。
既に転生を終えていたようだな。
隣で添い寝して居るこの女の人が俺のお母さんか?
「あ〜う〜。」
それにしてもブローズのやろう、もうちょい細かな説明があっても良いと思うんよ。
まぁ直ぐに行きたいって言ったの俺だけどさ、とりあえず周りの人間関係を把握しておこう。
「あ……あう〜、あぶ〜。」
あ、俺赤ん坊だったわ(笑)なんも出来ねぇな。
俺が心の中で苦笑していると、
『ドドドドドド』
ん?なんか聞こえて来た。
『ダダダダダダダダダダ』
どんどん近づいて来るような…………。
「うおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
『バァン!』
騒音の主がドアを吹っ飛ばす勢いで部屋に入って来た。
「ちょっと兄さん、アランがビックリして泣き出したらどうするの?もっと静かに来てくださいよ。」
「いいや我が愛しき妹にとうとう子供が産まれたんだ!落ち着くなって言う方が無理だね!」
どうやら俺の叔父に当たる人の様だな。
こんなうるさいのが親戚とは、毎日騒がしそうだ。
お?もう1人来た。
「義兄さん、うちの息子が可愛いのは分かります、
しかし物事にも限度って物があります。これ以上職場の人や妻と息子に迷惑をかけるようであれば……黙ってませんよ?私が怒られますから。」
うちの息子………この人が俺の親父か。
親父にそう言われた瞬間叔父さんの足が凍りついた。文字通りに………これは魔法か?だよな、そうだよな?俺も使えるようになるのか?いやーこいつぁ将来が楽しみだねぇ〜。
『グギュルルルル』
やべぇ、魔法の冷気で腹が!
頑張れ矢上拓也!俺なら出来る!俺なら必ずこの窮地を脱する事が出来るはずだ!
だが以前の俺ではいざ知らず、今の俺は赤ん坊、我慢するのも無理な話で……つまり、現実は非常である。
クソ!高校生にもなってお漏らしだと?!何だか無性に泣きたくなってきた。
「おぎゃあああ!ふぎゃ…あ…あ…ああああ!!!!!」
「よーしよしどうたの?あら、アランったらおもらししてるじゃない!も〜さっき変えたばかりなのにぃ、ハッ!しかもこのウ〇チ凄く緩い。
きっとお腹が冷えちゃったのね、
ディーン貴方家の中では金輪際!氷魔法は止めてくださいね?」
やれやれ、転生してそうそう1発ぶちかましちまうとわ………はぁ、まだ尻が生暖かいや。
その頃、ブローズの部屋にて。
「ギャハハハハハハハ!最高だぜ矢上拓也!
いや……アラン・ウィルフレッド!
何が『まだしりが生暖かいや。』だよおい、
コーヒー吹いちゃったじゃねぇかコノヤロー!お前俺を笑い殺す気か?あ〜お腹痛い。」
アランの体験している事は、様々なアングルからブローズの部屋にLIVEで放送されていたがもちろん彼はこの事を知らない。
あれから月日は流れ、俺は5歳になっていた。
「ハッピーバースデー……俺!」
今日から俺は毎日町の教会に通って字の読み書きやこの世界の一般常識を教えて貰うんだとか。
また学校に行くのは少々めんどくさいが、この世界の常識を知る為に仕方なく行く事にした。
「アラン〜教会でお友達出来ると良いね〜。」
そうそう俺友達居ないんだよね、家が結構村から遠くて幼なじみとか居なかったし。
ちなみに今日は式典だけして明日から授業が始まるのだとか。やっぱりどこの世界も考え方は同じなのかな?
まぁそういう事で今日は両親と一緒に教会に行く事になった。
「ほらアラン、あれがこれからお前が通う教会だ。」
ふむふむなるほど、教会に学校がめり込んでるな。
「おぉ!お久しぶりですディーンさん、いつもは滅多にこっちの方には来ないのに……今日は何かあるんですか?」
なんかお父さんと同年代の男が話しかけてきた。
仕事の同僚かな?…………なんか視線を感じる、
あ〜おそらくあの子だな、へ〜綺麗な銀髪だ、てっきり金髪ばっかりと思ったけど意外と居るもんだな。
お父さんの同僚(仮)の足の後ろから女の子が俺を見ていて、目が合ったかと思ったらすぐに後ろに隠れてしまった。
俺やっぱり転生しても目付き悪いのかな。