5
さて、さてさてさて。ヴィ・ロージリアにはメンバーしか入れない専用のサロンがある。
もう、ホントに学校というものを視野からはずしたとしか思えないほどの豪華さで、専用のコンシェルジュまでいるしまつ。
でも、このサロンの最大の目的は御曹司、ご令嬢達とパイプを結んでおくこと。人間関係は大事だもんねっ!!えぇ、もう本当に。怠けていると、いつの間にか、家潰れてたーとかシャレにならんがな。
あーー、行きたくないなぁ。
別にサロンに行くこと自体は全然嫌じゃない。
サロンがどんな感じなのかも興味があるしね。
でも、でも!
いるんですよ。彼らが。
そう、漫画の主人公や主要人物たちが。
全員、ヴィ・ロージリアのメンバーなんですよ!
しかも、早速、主要人物達には近づかないって言う、私ルールを破らなければ行けない。
はぁ、やっぱり行きたくないなぁ。
ふーーー。大丈夫、大丈夫。ニコニコ笑顔で。
……一応、人、人、人っと。 ぱくっ。 よし!
ドンと来い!!!
ガチャ。
ドキドキしつつも、サロンの扉を開けると、そこにいたのは、そこら辺にいる一般人とは明らかに違う、自分を王だと疑わない絶対の自信とオーラを滲ませ、事実王である人達がいた。
レベルが違う、そう直感してしまうくらいに。
琴宮 泉利……女の子と言われればそう信じてしまうくらいの色素の薄い茶色の髪に、白い肌。くりくりした目は薄い青がかかってて。綺麗な目のはずなのに、どこか暗さも感じる不思議な目をしていた。
伊集院 伶唯……この6人の中で1番大人びている雰囲気で、真顔だと怖いけど、その分微笑むとその場が華やかな雰囲気になる、文字通り、場の空気を変えてしまう人。その藍色の瞳で見られると全てを見透かされているような、そんな気分になる目をしていた。
九条 神和……その柔らかい雰囲気で、誰もを魅了してしまうような不思議な力を持った人。自分の秘密や悩み事を話してしまったことに後になって気づく、なんてことを普通にしてしまうであろう人。そんな柔らかい雰囲気があるのに、その太陽が沈む前の空の色をしたその瞳は、鋭くて。気を抜けば食われると直感した。
雅楽代 覇瑠……あぁ、なるほど、こうゆう人を王というのかと納得せざるを得ない、他者を従わせるオーラを放ち、その瑠璃色の瞳に睨まれれば、息すら出来ないだろう。瑠璃色というものは彼のためにあるのだと、まざまざと思い知らされた。
宝来 結恋……お人形さんが歩いてる。誰しもが1度見ればそう感じてついつい自分の目を擦ってしまうほどの、はかない雰囲気で、肩までの長さの黒髪と血色のいい顔の中に埋まっている海のような青さの目がより、その雰囲気をかもしだしていた。
神に祝福されているとしか思えない、浮世離れしたとしか言い表せないその綺麗すぎる顔で、大人ですらも従わせてしまう、そんなオーラが溢れているのに、彼らは誰一人、その空気に呑まれることなくその場に堂々と腰掛けていた。
それは彼らがその空気に慣れているからなのか、その空気自体を彼らが出しているからなのか。
これ程、火を見るより明らかという言葉がピッタリな状況を私は初めて見た。
ひえーーーっ!私が1番最後だったのか!!!
すまぬすまぬ!!!
だから没落だけは許してくれーーー!
私は急いで席についた。
ところで、もうお気づきだろうか?
……そう、今回のヴィ・ロージリアのメンバーは私を含めて、みんな青系統の瞳を持っているのだ。
しかも、このヴィ・ロージリアは青薔薇達の集まりという意味があることもあり、それはそれは騒がれた。みんな親御さんは日本人なんだけど、遡って見ると確かに外国の血も混ざってて。だけど、それが青系統になる確率、6人の選ばれた人達がみんなその色になる確率。どんだけレアなんだよ!?ということで。
入学式はザワザワのザワッザワよ!でも、多分そのザワザワの中には、彼らの綺麗すぎる顔にざわついてた人もいると思うけどね。
そんなことを思い出してたら、雅楽代様が喋り出した。
「さて、メンバーも揃ったことだから、始めるぞ。」
ひぇぇえぇっ!待たせて、ごめんなさい!!!
「そうだね。じゃ、まずは自己紹介からしようか。僕は、九条 神和。よろしくね。」
「俺は、雅楽代 覇瑠。よろしく」
「えーーっとねー、僕は琴宮泉利って言います!仲良くしてね!」
「俺は、伊集院 伶唯だよ。これからよろしく。」
「ええっと、わたくしは宝来 結恋ですわ。
これからよろしくお願い致します。」
と、みんな花の咲くような素敵な笑顔と共に自己紹介をしてくれた。
あぁ、次は私だぁ……。
「わたくしは、百合園麗華と申します。
これからどうぞよろしくお願い致しますわ。」
最後に、ニコッとね。
笑顔は大事、大事。
……笑顔、引きつってなかったよね?
そんな不安や心配はあったもののその日は自己紹介だけで終わり私は自分の教室に戻った。
教室に戻るとクラスメートの女の子が話しかけてきた。
「麗華様、ヴィ・ロージリアのサロンに行かれていたのですか?」
「ええ。挨拶もかねて、行きましたわ。」
「じゃ、じゃあ!ヴィ・ロージリアのメンバー方にも会われたんですか?」
「まぁ、メンバーですしね。いらっしゃらない方が困ってしまいますわ。」
「きゃあっ!!」
女の子たちはそれを聞いてはしゃぎ始めた。
若いな〜、元気だな〜
あっ!そっか。この子達はそりゃ、ヴィ・ロージリアのメンバーにお近づきになりたいのか。
私みたいな訳ありじゃないしね。
私だって没落なんかが関わってなかったら、もうちょっと楽しめたかもしれないのに。
ちぇっ!
「ちょっと、貴方達。
麗華様から直接、ヴィ・ロージリアのことをお聞きになるなんて。」
「失礼だわ。」
おお?この子達は、漫画の中で麗華の取り巻きだった子達じゃないか。
ふむふむ。
山中美緒ちゃんと今見茉莉ちゃんだね。
今は、取り巻きっぽい感じだけど、いつかなんでも話せる友達になれればいいな。
面白ければ、ブックマーク、評価をしていただけると嬉しいです。