プロローグ「或る屋敷にて」
飽き性のわたくしはプロローグを一話で完結させることができなかったようで。
おっと、これはこれは。私の作品を開いてくださった皆様、大変ありがとうございます。ぜひ楽しんでいってくださいね。
朱月という村がある。私の屋敷から見渡せる、狭い村だ。
私は今日、暇なのでその村の娘を一人さらってくることにした。名目は、そうだな、下僕とでも言っておくか。
・・・・・・花がない、せっかくの娘が台無しじゃないか。
よし、改めよう。下人、というのも違うし、下働きでもない、一旦下から離れて、召使い、というのもまだ輝きが足りない。もっと紅の一滴まで潔白であるような品のある名称を与えたい。娘というからにはもちろん食事だ、私の胃袋を掴むに値する名称を与える必要がある。だから久々に本気で考えてやっているのだ。
遮光の隙間から侵入する光が、人肌の色をしてきた。もう昼間の3時は等に過ぎたらしい。冬というものは夜が長くて好きだが、こう考え事をしているときには急かしてくるように思えて良い気はしない。
もう直ぐ暗くなる、娘をさらいに行く時間だ。暗い黄と茶で先端が装飾された洋風の遮光を眺め、私は呟く。呟いて、気づく。
確か、女の召使いのことを外国では『メイド』と呼ぶのだったな。
私はニ、三度ほど、メイドと唱えると。口元に坂を作って服を脱いだ。
「今日ぐらいはきちんとした服装でないといけない、なにせメイドを迎えるのだから」
夜の空気を伝わり、高潔な笑い声が星空に響いたその夜。
夜の静寂に独り、眠れずにいる少女が星空を眺めたという。
ーーーそして、少女は一人の少女と出会った。
プロローグ、まだまだ続くよ~。