探偵ジャンク誕生!
「オレは『お前』じゃない。周りからはジャンクと呼ばれてる」
釣具屋の奥の個室で、オレは鳥の巣頭の男に言い放った。
男はニヤリと笑って、「俺はペペと呼ばれてる」と言った。
オレは頭の中でペペと名乗る男の話を整理していた。
どうして捕まったか、なぜ早かったか、なぜ警察の様子が違ったか・・・
ポイントは一つ。要は、誰が通報したのか、だ。
当然、オレが通報するわけない。
通報した奴の正体が、今回のカギだ!
オレは男を見て、
「心当たりはある」と言った。
嘘ではない。
通報したなら、あの不精髭だ。
彼がレストランのオーナーである以外、オレは彼の事を知らない。
裏の顔があるかもしれない。
ペペは身を乗り出した。
「それで?」
「・・・」
「言わないのかよ!」
ぺぺは弾かれるようにイスの背もたれに倒れこんだ。
「ペペさん、取り引きだ」
「ああ?」
「オレをここで雇ってくれ」
ペペは苦笑いをしながら、手のひらを振って、否定した。
「またお前を連れていたら、またすぐ警察に捕まるぜ!勘弁してくれよ!」
ペペは真顔になると、細いタレ目でオレを見た。
「俺は色々あって、仕事屋のおやじに拾われたんだ。今はおやじから仕事をもらって生きている。だから、看板も無ければ名刺もない。ただ、仕事はヤバイ。警察はNGさ。だから、やばいお前もNGさ」
確かに、金持ちの孫役を探すなんて、普通の探偵ならやらないと思う。
きっとペペは普通じゃない世界で生きているんだ。
だが、そんな世界じゃないとオレも生きられないと思った。
新しい父親たちは、決まってオレを「純君」「純君」と呼んだ。
クラスの奴らはオレをからかって、そのうち「純君」が転じて「ジャンク」になったのだ。
不良品のオレには丁度いいニックネームだった。
その時、オレの頭の中である考えが閃いた!
「ぺぺさん、オレも探偵になるよ」
「はっ?」
「同業者さ。自分で仕事するんだ。そうさ。そうするよ」
ぺぺは細い目をパチパチさせて、オレを見た。
オレ達の沈黙を破るようにペペの携帯が鳴った。
ペペは慌ててイスから立ち上がると、事務机に飛ぶように移動した。
ポケットから携帯を取り出すと、
「はい、もしもし」と、話した。
ペペは事務机の上のメモ帳を引き寄せると、事務用の椅子に座った。
「あっ、おやじさん、大丈夫かい?」
ペペはメモ帳に何やら書き始めた。時折うなづきながら同意したり、笑ったりしている。
電話を切ると、ペペはオレの方を見て「悪いが仕事だ。帰りな」と言い、身支度を始めた。
<第4話 完>