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幸せに生きていたいので  作者: 結汝
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話はちゃんと聞きましょう

 コングラッツ伯爵領の下水設備に着手してから2日後、無事に我が領にヤギと羊のミルクが輸入されたという報告をおじいさま経由で聞いた。

 報告を受けてからすぐにレットに頼んで、今回のミルクジャムづくりにかかわってくださる職人たちを集めてミルクジャムづくりに取り掛かってもらった。

レシピは公爵家の料理長たちが考案してくれてはいるのだが、いかんせん改良はいると思われると聞いていたのでこうなったら彼ら自身に作ってもらうのも一つの手では?なんて私の意見からレシピの改良とみんなが同じ品質のミルクジャムを作ることが彼らに求められるものとなった。

 さて、これで残りは一つだけ。

 お父さまから送られてきた真っ白な手紙をペーパーナイフで開封する。


【リズビアへ

 先日もらった手紙の内容通りにヌベレット子爵宛てに手紙を送ったよ。返答にはyesと記されていたよ。一度お前自身が実物に触れておくことも必要と思い近々リズビアが来訪する旨を伝えている。自分でしっかりと見て判断しなさい。父さまが出来るのはここまでだからあとのことはおじいさまに協力を仰ぐなりしなさい。輸入契約を結ぶようであれば5日期間をいただいて一度本家に戻ってきてしっかり説明をしなさい。そうでなければ父さまは許可を出せないからな。

 父さまより】


 頬が緩む。さすがお父さまだわ。わざわざヌベレット子爵領への訪問手続きまでしてくださるだなんて!!

正直自分の眼で確かめておきたかったからありがたいことだわ!

すぐに準備してヌベレット子爵領へ訪問しなくちゃいけないわね。


「ヴィオ」

「はい、お嬢様」

「明日と明後日の予定は何かあったかしら?」

「これといって予定はありませんよ」

「そう、ならおじいさまに許可を取り次第ヌベレット子爵領へ伺うから準備をしておいてちょうだい」

「かしこまりました」

「レット、今からおじいさまのところに行くから案内を」

「かしこまりました、お嬢様」


 レットに案内されておじいさまのもとへと向かう。

 おじいさまはお父さまと違っていつも同じところにいらっしゃる方ではない為、探すのも一苦労。だから、使用人に聞きながら探すかレットたちに案内される方が自力で探すより何倍も早く見つけられる。

ただ、不思議なことにおばあさまはいつだっておじいさまをすぐに見つけられるのだから不思議でならない。たまに執事長たちよりも先におじいさまのもとに行っていることがある。

 以前、おばあさまにおじいさま探しの秘訣を聞いたら「愛の力かしらね~」とのろけられたことがある。あれ以降おばあさまにこの手の話は一切降らないと決めたのだ。

だって、すっごい甘かったのだもの。

一緒に聞いていたシルビアだって笑みを引きつらせるほどだったのだからなかなかだと思う。


「お嬢様、大旦那様がいらっしゃいましたよ」


 レットの声に顔を上げる。

 今日は訓練場の隅の方で騎士団長と何やらお話をしている。


「おじいさま」

「おや、リズビア。どうかしたのかい?」

「はい。…ごきげんよう、アッセットラン騎士団長。ご歓談中に申し訳ありません」


 お父さまとお年の近いアッセットラン騎士団長は引き締まった筋肉と色黒の肌がチャームポイントの優しい騎士団長である。


「ご機嫌用、公爵家の麗しの華。私のことはお気になさらず閣下とお話しください」

「ありがとうございます」


 騎士の礼をとって、少し後ろに下がり会話が聞こえるか聞こえないかの距離へ離れてくれる。


「おじいさま、お願いがあって参りました」

「ほう。お願いとは?」

「本日お父さまより手紙をいただき、ヌベレット子爵領への輸入品について記載されておりましたの。一度は私が直に見ることが望ましいとわざわざヌベレット子爵に訪問の許可までいただいてくださったので、明日向かおうと思うのですが…」

「相変わらずローガスは甘々じゃのう」

「ついては明日ヌベレット子爵領へ赴き、その足で本家に戻りお父さまに輸入の件を報告してからこちらに戻ってこようと思います」

「かまわんよ。それよりもローガスたちにもよろしく伝えておいてくれ」

「はい!!」


 おじいさまはにっかりと笑うとその大きな手で頭を撫でてくださる。

 おばあさまにもこの後明日以降の予定を伝えておかなくては…2日分の淑女教育がおそらく3日後にスパルタで返ってくるだろうからな~

おばあさまの淑女教育は、正直ホーリン先生の3倍厳しいものだ。

 もともとおばあさまは伯爵家の方で、公爵家に嫁いでこられたのだがその際にマナーなどで大変困ったそうだ。

それ故に誰よりもそれにおいては厳しく完璧であるお人だ。

優しいけど笑顔で静かに怒られるのが一番怖い。そこはシルビアにも似ているものがあるような気がしなくもない。


「では、明日はよろしく頼む」

「はい。わが命にかけて閣下の命を遂行いたします」


 ???

 知らない間に団長とおじいさまがお話していたようだ。

 ああ、エリオットにも3日は『甘木屋』に顔出しできないって伝えておかなきゃ


「では、お嬢様明日はよろしくお願いいたしますね」

「?あ、はい。‥‥‥はい?」


 え、待って。何がよろしく何でしょうか??

キョロキョロとおじいさまと団長を見るが2人とも何も言ってくれない。

ただただ微笑ましそうに私を見つめるだけ。

いや、あの何がよろしく何でしょうか⁈

 話を聞いていなかったとは言いづらいから、訳が分からないままその場を後にするしかなかったのは言うまでもない


リズビアの悲劇カウンターまであと3回かな~??


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