条件
リズビア6歳偏スタート!
「リビア様~あまり遠くに行かれてはいけませんよ」
「わかってる~」
青い空、広々とした歩道、賑やかな声が遠くで聞こえ、爽やかな風が吹き抜ける。
ここはグルビア公園。広々とした空間には緑が溢れ、ベンチなどが設備されているため一息つくこともできる。また、少し離れたところには小さな川が流れており清らかな水の流れも感じられる。
貴族ではなく平民によく利用されているごくごく一般的な公園である。
そう、私は今領地にある公園に来てます!
ことの発端は、おじいさまからいただいたお手紙。
前回の領地祭のことを受け、もう少し領地について勉強をしてみないかといった内容だった。私自身領地のことをもっと知りたいと思ったのと平民の生活を直で見てみたいという思いがあったため、お父さまにお願いをした。
最初は渋ってはいたものの一ヵ月間ならいいという許可を得て昨日から領地にやってきました。いぇい
「リビア、もう少し落ち着きなよ」
「私こんな大きな公園初めてなんだもの!落ち着くなっていうのは無理よ」
「もう少しお淑やかに振舞ってください。すぐにぼろが出るんですから」
「もう、ヴィオったら。おばあさまがちゃんと見てくださるから大丈夫よ」
「いや、その大丈夫が不安でしかないんですけどね」
レットの一言にエリオットもヴィオも頷く。
え、みんな酷くない?信用してなさすぎる。
「というか、ヴィオもレットも“様”付はダメって言ったじゃない」
「こればっかしは癖なんでムリですね」
「どんなに偽名であれど様付けは外せません」
「ええー」
「まぁまぁ、様付けはしてもしなくても問題ないって」
「そうですよ。お嬢様とかお名前を呼ばない限り大丈夫ですから」
エリオットのフォローにレットがすかさず便乗する。
今回、というか民がいる場所では名前を“リビア・ノグマイン”という偽名を使うことにしている。貴族だと分かると相手が本当のことを隠そうとしたり、攻撃の対象になったりしかねない為という配慮によって偽名を名乗っている。
私が男であればここまで過剰にならなくてもいいのかもしれないけれど、女だからという理由と王太子妃有力候補である為の処置でもある。
ちなみにリビアの由来はリズビアのズを除けただけ。全く違う名前だと反応できないことから偽名とばれやすいという配慮によってリビアとなった。ノグマインはうちの領地の屋敷のメイド長の名前を借りている。
もちろんメイド長にはちゃんと許可を頂いている。
「そろそろ町に行って昼食でもとろうか」
「エリオットはおいしいご飯屋さん知っているの?」
「じいちゃんに連れて行ってもらったことがあるから何か所かはね」
「じゃあ早速行ってみよう!」
エリオットの手を引いて走り出す。
堅苦しいドレスでなく身軽なワンピースの為走りやすい。
ワンピース最高。
ドレスのような重たいものを毎日着るんじゃなくて、ワンピースのような身軽なものも貴族は着ればいいと思う。私は絶対着る。
今度マリン・ビーナ様に提案してみよう。
「お待ちください!」
「あはは!口調が戻ってるよ!」
「ああ~もう!」
笑いながら走る。
すれ違う人たちは皆微笑ましそうにこちらを見ては歩いていく。
笑っていて、楽しそうな彼らを見ればやはり公爵領の治安の良さ、住みやすさなどを実感してしまう。
この笑顔を守るために私にはいったい何が出来るんだろうか。
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【愛しいリズビアへ
無事に領地についたようで何よりだ。お前がやりたいことを学ぶのならおじいさまとおばあさまを存分に頼りなさい。寂しくなったらいつでも帰ってきなさい。あまり突拍子もないことして周りを驚かせすぎないように。 父より】
一日中遊びまわった私が屋敷に帰るとお父さまからの手紙を受けとった。
白い便箋に綴られた文字には優しさが感じられる。
コンコン
「はい」
ドアのノックに返事を返せばおじいさまが部屋へ入ってくる。
「おや、お邪魔だったかな?」
「いえ、お父さまから勉強を励みなさいと書かれていたんです」
おじいさまが一つ頷き私を手招く。
「今日領地を見てどう思った?」
「民は皆幸せそうでした。領地の治安の良さ、生活のしやすさ、住みやすさ、活気などを直で感じることが出来たと思います」
「そうか。なら、今後お前がすべきことを見つけて解決してみなさい」
「!!」
驚きに目を見開く。おじいさまを見上げれば不敵に笑ったお顔が伺える。
「ここに居る間、確かに知識は私とシャリーが教え授ける。しかし、それを実践に移すのはお前自身だ」
知識は学ぶだけでは意味がない…ということか。
「聞いた話ではリズビアは次期王太子妃になりたくないのだろう」
! いつの間にその話がここまで広がっていらっしゃるのか。
え、私言ってないよね?
「ローガスから密書で伝え聞いたよ。もちろんそのことは私しか知らない。シャリーには言っとらんよ」
「…それを聞いておじいさまは私に失望いたしましたか?」
「いや、失望しておらんよ。そもそも失望とは期待を裏切られた際に生じるものだ。私はお前たちが順巡りで選ばれたことに期待はしていない。だから失望することはない」
おじいさまは膝をついて、私と視線を合わせる。
「ただ、今のお前には少し期待している」
「期待ですか?」
それはなにに対して?
「ああ。だからチャンスをやろう。この一ヵ月で知識を得て行動しなさい。この領地に足りないものを見つけ成果を出せれたら私からもリズが王太子妃にならなくて済むように全力で尽力しよう」
「!!?」
それは、願っても見ていないことだ。
そうなれば私は殿下と関わらなくて済むわけで、将来的に殺されることもなくなるだろう。
「ただし、成果を出せなければこの話はなしだ。いいね」
チャンスは一度きり。
一ヵ月。
その間にいったい何ができるかは分からないけど…
すぅっと息を吸う。
「わかりました」
やれるところまでやってみよう。
「やります」
このチャンスを逃すなんて絶対にしない。
「よろしい。それでこそガーナ家の者だ」
おじいさまは満足そうに私の頭を撫でるのだった。
リズにとってはまたとないチャンスだけど、うまくいくんですかね~
そうは問屋が下りないぜ!←作者はこういう性格です
(補足)
ローガス…リズビアの父親の名前
シャリー…リズビアのおばあさまの愛称(本名:ロナンシャーリー・ガーナ)




