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幸せに生きていたいので  作者: 結汝
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領地祭の準備

さてさて今日は朝から我が領地、屋敷は大忙しです。

なぜかって?だって今日は―


「お嬢様、髪のリボンはどちらの色にされますか?」

「ドレスと同じ色にするから右を」

「装飾品はいかがなさいますか?」

「シンプルで重さのない…クランディル産の鉱石を使用したネックレスをつけるわ」

「靴は―」

「ドレスの側においてあったピンクの靴にするからそれを出しておいて」


室内には6人の侍女があたふたと室内を駆け回り、私の身支度を整えていく。

何故前もって準備しているのに一時間近くかかってしまうのだろうか…。謎でしかない

まあ、お姉さまやお母さまは身支度に3時間とか普通にかけているからそれに比べれば早い方なんだろうけれど…女性の身支度に時間がかかるのはどうしようもないことなのかもしれないわ。

手を抜けば貴族というのはそこを集中攻撃する生き物だ。弱みは見せない。

美しく、綺麗であること。それが社交界を生き抜く術なのだから


「本日はこのようなスタイルでよろしいでしょうか?」


ヴィオに声をかけられ鏡台に映る自身を見る。

髪をリボンで結わえ上げ、全体として薄いピンクで統一。胸元には琥珀色に輝くクランディル産の鉱石ネックレス。


「ええ、みんなありがとう。最高の出来だわ」


鏡越しに笑って礼を述べれば、皆が恭しく頭を下げる。

本当にみんなの能力の高さあってこそのこの出来栄えだ。感謝してもしきれない。


「さて、行きましょうか」


スッと立ち上がり自室を後にする。


今日はいろんな方々にお会いする。領地のことをどのように見ているのか、特産の売れ行き、この領地祭を機会にどこかとの売買交渉などできればベストだろう。もちろんそれらはおじいさまやお父さま、お兄さまの仕事であって私にできるのはせいぜい話の盗み聞き。または口実作り程度だろうけど。

やれることはやってみなくちゃ分からない。


それに今日はお姉さまとお兄さまの衣装のお披露目も控えている。あ、考えただけで胃がキリキリする


「あら、リズ。おはよう」

「おはようございます、お祖母さま」


パーティーホールには既におばあさまがいらっしゃった。

誰よりの早く来て使用人たちにテキパキと指示を出している。さすが公爵家のウチを守る女主


「とてもかわいらしいドレスね。特にその刺繍がドレスのいいアクセントになっていてとても映えるわね」

「ありがとうございます。実は先日おばあさまが私の刺繍の腕を褒めてくださったでしょう。あの後シルやレットにドレスに刺繍を刺してみたらどうかと勧められて自分で刺してみたんです」


くるりとその場でターンして見せる。

ドレスの裾がふわりと広がり、薔薇の蔦をイメージした刺繍が光に反射して輝く。

糸の何本かに銀糸を使っているため光加減でキラキラ輝いて見える。せっかくだからと工夫したかいがあった。


「おばあさまと約束したでしょう?一番最初に必ずお見せすると」


おばあさまは目を丸くされた後に優しく微笑まれる。

温かな手で頬を包まれおでこにキスを落される。


「かわいい私の天使はこんなにも嬉しい贈り物をしてくれるなんて、きっと今年の領地祭は幸福に包まれること間違いないわ」

「それはさすがに言いすぎです…」

「そんなことないわよ、リズビア。きっと今年は貴女のおかげでいいことが起きるはずよ」


おばあさまのその自信は一体どこから来るのやら

でも、こんなに喜んでもらえたのはよかった。刺繍を刺したことに後悔はないけど自身はいまいち持てなかったから、おばあさまに褒められてちゃんとした自身が持てた。

これで胸を張って3日間乗り切れる。


「おばあさま、ありがとうございます」

「こちらこそありがとう。少しだけどお手伝いしてもらってもいいかしら?」


おばあさまは茶目っ気たっぷりにウィンクされるので、笑顔で応じる。



領地祭開始まであと5時間


ドレスがピンクなのはリズビアの瞳の色だからです。(ヴィオが選んだものです!)

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