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幸せに生きていたいので  作者: 結汝
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姉と双子

「はあああああああああああああああああ、もうヤダああああああああああああああああ」


森の開けた場所で吸っていた息をすべて吐き出すように叫ぶ。


「お嬢様、いくら山の中と言え控えましょうね。そう言うことは」


 レットの投げかけに嫌々と首を振る。

 私、レット、ヴィオの三人は今我が領の保有する裏山の森にきている。(仮)目的は森で取れる花や植物を間近で見て自然に触れるというもの。本命はストレス発散だが


「お嬢様、太っていたわけではないのでよかったではないですか」

「よくない!いや、結果的にはよかったけどよくないのォォォォ!!」


 ヴィオの言う通り体重は確かに変わっていなかった。もしこれで体重が増えていたら屋敷で私の悲鳴が響きわたったこと間違いなし。そしてお母さまに怒られるまでワンセットである。

その点は変化がなくてよかった。うん。本当に

 しかし、私が許せないのはマルコス・ベスタに馬鹿にされたという事実だ。

馬鹿にされ笑われ貶されたのだ。腹が立たないわけがない。


「うううぅぅ!!」

「お嬢様、奇声ははいけません。それならまだ叫んだ方がましです」

「いやいやどっちもダメだろ」

「ばあああああああああああああああかああああああああああああああああああ!!」


従者2人にこれはダメだと呆れられているのなんて知るわけなく思いっきり叫ぶのだった。














白い陶器に口をつける。愛おしい妹を見やる。


「それでリズは?」


空色の澄み切った瞳が楽しそうに細められ、小さな唇が彼女の片割れの所在を告げる。


「ストレス発散に裏山へ」

「ストレス発散に裏山‥‥‥そう」


 また、斬新なことを思いついたものだ。思い浮かべるのはもう一人の愛おしい妹である。


「なんでもむしゃくしゃするから叫んでくるっておっしゃっていましたよ」

「…」


 公爵令嬢が裏山で叫ぶって、貴族子女としてどうなのかしら。

いえ、けっしてよくはないし褒められることではないのだけれども

あの子はなんというか規格外なところが昔からある。

よく言えば素直。悪く言えば単純お馬鹿

 一方、目の前にいる妹はおとなしく聡い。社交界での人付き合いも早々に覚えてしまった子だ。

性格は真反対。顔はよく似ているのに…まるで瞳と同じようだ。


「しかし、お姉さまは凄いなと領地祭が始まってから改めて思わせられました」

「リズビアは貴女と違って自分の魅力に気づいていないのでしょうね」

「無自覚で武器を振り回すなんて私には出来かねます」

「そう言うところは私に似ているのね」


シルビアがこてんと首を傾げる。ああ、その癖は姉妹揃ってなのは今も変わらないのね


「お姉さまが規格外なことが多いだけで私はロゼリアお姉さまやレイチェルお兄さまによく似ているとお母さまとお父さまには言われますよ」

「ふふふ」


それは誉め言葉として受け取っておこう。


「どうしてリズビアは似なかったのか疑問ね」

「そうですね。熱を出される前も出された後も違う意味で変わったお方ですから天性のものなのでは?」

「あら、お母様のお腹には一緒にいたのにどうしてそんなに違うのかしら」

「それは公爵家の唯一の謎なのではないでしょうか」

「確かにそうね」


視線が合えば2人とも笑みがこぼれる。

 リズビアは熱が出てから使用人への態度や自身の態度を改め、その点は今では私達と何ら変わりなくまるであの頃の態度が嘘のようである。う~ん、少し違うか。昔のような高圧的で傲慢な態度は鳴りを潜め、今では公爵家の誰よりも使用人たちの立場を理解し平等に接している。自身の服を孤児院に持っていき再利用するなど外の者とも自身から進んで関わりを持っている。ドレスやスーツのデザインを考え、それが天才デザイナーの目に留まる。

お茶会よりは土いじり。貴族の話よりは領地や孤児院の話。王太子妃にはなりたくない。

一言で言ってしまえば変り者。

貴族のましてや公爵家令嬢らしからぬ態度だが、それは咎められるようなものではない。むしろリズにしかできない公爵令嬢ともいえる。


「そう言えば、ロゼお姉さまとレイお兄さまの正装はお姉さまがデザインされたものなんですよね?」

「そうよ。三日後が楽しみなの」

「出来上がりは見たんですか?」

「一応マリン・ビーナに細かいところを直してもらうために一度試着したけれど完成形は見てないから当日のお楽しみね」


 試着した時に思ったのはスカート面が身体にフィットした作りで着やすいということだった。今までにない型だからこそ胸を張って堂々としていなくては

可愛い妹が考えてくれたものなんだから


「ずるいですわ、お姉さま達だけお姉さまの考えた服を着れるなんて」

「あらまあヤキモチね。かわいいこと」


 シルビアはリズビアのことをよく話す。どこか呆れ混じりでも嬉しそうに面白そうに楽しそうに…。大好きなのがよくわかる。

仲がよろしいことだ


「リズビアに頼んでみればいいじゃない。今度は自分のも作ってほしいって」

「嫌がらないでしょうか?」

「リズはシルにだけ贔屓だから私達の時と違って喜んでやると思うわよ」

「お2人のデザインを考えるのが嫌なのではなくて、自分なんかでいいのかっていう意味で嫌がっているんですよ。あれは」


 ああ、やっぱり。シルビアは本当によくリズビアを見ている。

 妹たちのそんな姿に微笑ましくなり、笑みが深まる。大好きで大切で愛している。これからもずっとお姉さまに貴女達の成長を見せてほしい

そんな想いを込めて目の前の空色の瞳を持つ少女を見やり、窓越しに見える裏山へと視線を送るのだ。


思いっきり叫びたい(原稿が追い付かないと・・・)

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