領地祭潜入!
定期更新しようって心に決めると他が忙しくなって手が回らないのってなんかの呪いかな?解せないです
がやがや、わいわい
領地の活気が一段と増す今日。晴れ渡る青い空、雲一つない恵まれた天候。
今日は何と言っても領地祭です!!
「リビア~立ち止まらないでって」
「あ、ごめん。エリオット」
エリオットが困った表情で私の手をひく。
今年の領地祭はお父様とお祖父様の許可をいただいて領地民側の領地祭へ参加しているのだ。まぁ、お母様にはとーっても渋い顔をされましたがね
「そんなに立ち止まってたらアロー達との約束に送れるよ?」
「それはダメ!!アローに仕事増やされちゃうもの!!」
あの鬼畜副商会長様は何かにつけてすぐに私に仕事を増やそうとするのだ。(正確には私達の仕事を増やすだけど…)
私達に仕事を増やしたからといって本人の仕事量が全く減らないし、むしろ増えてるのはなんでなんだろうね?仕事大好き人間かな?
「分かってるならまっすぐ歩こうな」
「でもね、エリオット今日は町が活気づいているのよ?ほら!あそこに美味しそうな飴が売ってるわ!キラキラしてる!」
「はいはい後で買おうね。ちなみにあれはフルーツ飴だから」
「フルーツ飴」
あんなキラキラしたものがこの世界にあったなんて!!
貴族の食卓には並ばないものだわ
「おや、エリオットにリビアちゃんじゃないか」
「「こんにちは、おじさん」」
声をかけてきたのはパン屋のおじさんだ。ここのパンはとてもおいしくてうちの料理長に負けないくらいふわっふわなパンを作れる凄い人
「二人とも仲がいいね~。そんな二人には特別にこれをあげよう」
差し出されたカップマフィンをありがたく受け取る。
「ありがとう!!おじさん」
「どういたしまして。リビアちゃんは何でもおいしそうに食べてくれるから作り甲斐があるな!」
一口口に含んだだけでふわふわの食感に満たされる~
「おじさんありがとう。俺らはアロー待たせてるからまたね!」
「おお、アローが待ってるなら早くいきな。今日という日に感謝を」
「うん。良き領地に祝杯を」
エリオットがおじさんに別れを告げ、歩き出す。
その間ももぐもぐ咀嚼しているとエリオットが私の方を見て少しだけ呆れた表情?を見せる。
「どうかした?」
「いや、うん。お貴族様が町内で食べ歩きってどうなのかなって」
「……」
―ま、いっか。かぷりとマフィンにかぶりつく。
隣から溜息が聞こえたような気もするけど知らない知らない。
屋台通りを歩いて、裏通り側へ向かう。
裏通りもと比べ物にならないほど活気に満ち溢れているが、表通りよりは人が少ない。
「あ、アローいた」
「あ、ほんとだ。おーい」
いつもの商会メンバーが集まっている方に手を振る。
「遅い」
「リビアが屋台に釣られて…」
エリオットがアローに告げ口する。ひどくない?訴えるようにエリオットを見ればそっと目を逸らされる。ひどい
「ドちび」
「ちびじゃないもん」
「遅れないように来いっつったろ」
「遅れたのはごめんなさい。でも、私だって遅れるつもりはなかったのよ」
「実際5分も遅れてんだよ」
「仕方ないわ!!あんなに物珍しい屋台があるなんて聞いてないもの!!」
「こいつ…」
アローに頭を両サイドから抑え込まれる。
「わー!!何するのよ!!?」
せっかくセリストに整えてもらった髪なのに!!
「お仕置きだ!!」
「あー!!潰れる!!」
「潰れてから言ってみろ!」
ぱんぱん
「はーい。戯れもそこまでだよ」
ベイクの鶴の一声でアローから解放される。
「さて、俺らは俺らの仕事をしようか」
そう、領地祭で私たちノグマイン商会は屋台出店を行うのだ。
これは前々から決まっていたことで白亜館側のメイン通りだけでなく裏路地側や領地の入口側などいろいろなところで同時出店するのだ。
ファイシャやアロー曰く一か所に集中してしまうとお客さんによる偶発的な事故が発生しかねない。だからあらかじめ離れた場所に何ヶ所か出店先を確保しておき、同時刻に販売を開始する。
そうすることで人を分散でき、商品を求める客に商品が行き届くのだとか
「手筈通りにレットとヴィオが合図を打ち上げてくれるはずだ。その合図をもって全5カ所の屋台にて販売を開始。商品がなくなり次第終了だ」
「ファイシャは上からどの地区が一番手薄かを把握、先導するように」
「りょうかい~」
「ハンナとビンズは入り口側へ、ベイクとリビアは俺と一緒にここを、エリオットは領主邸側へ、白亜館側はじいさん達が、表通りの西側はレットとヴィオが販売責任者として行動する」
「「「「「了解!」」」」」
「なくなり次第商品は終了だ。取り置き、物々交換は今回はなし以上!!」
アローの指示で皆各々の担当場所へ向かう。
「商品売れるかな~?」
「あはは、僕らの商会の商品が売れ残るとかないでしょ」
ファイシャはおかしそうに笑う。
まあ、人気ではあるけどね。ターゲット層が貴族向けのものもあるからな~
「心配するな」
「アロー」
「俺の戦略は外れないんだよ」
「…知ってる」
海色の瞳がきらめく。その自信満々の理由を見てきたから分かっている。
だけど、初めてことにはいつだって不安が生まれるものだ。
……なーんて心配もしてました。はい!
びっくりするほど人が来てものの30分で完売した。
え、怖い。
最初の客はレットたちの販売合図の花火が上がって5分くらいしてから来店された。アローの上手い口車による商品説明もあってか次から次へ人が来店。
あっという間に終わってたよね
息つく暇もないっていうのはああいうことを言うんだと感じた。まぁ、お客さんがみんな笑顔で帰っていくっていうのは気持ちがいいものだ。
やってきたことの成果が目に見えて感じる瞬間の一つだからなんだろうなぁ。
ちらりと見やったアローと誘導があらかた落ち着いて帰ってきたファイシャの2人はそろってベルを手にし、それはそれはいい笑顔で手にした通貨枚数を数えている。
さすがというか、商人って感じがするんだけど…いや、情緒というかなんというか…あの2人にはないの?
「リビア、さっさと行くぞ!」
「数え終わったの?」
「ざっとの勘定は見当がついたからね。みんなと合流して屋台回ろう♪」
「屋台!!回る!!私ねフルーツ飴食べたいの!」
「フルーツ飴食うならバロットジュースもいるだろう?」
「いいね~どうせならそれはデザートでさ、串焼き食ってからにしない?俺腹ペコ―」
「「賛成!」」
アローもファイシャも私もこの後のご飯のことを考えては笑顔になる。
フルーツ飴は絶対食べたかったんだよね!エリオットも後で食べていいって言ってたしね
あ、串焼きって何がおいしいのかしら?牛か豚か羊か…
「ちなみに俺おすすめの串は猪だよ」
「俺は鴨か蛙がいいな」
「アローは鳥好きだよね~」
「そういうお前はがっつり肉を欲するよな」
ファイシャのおすすめは猪肉で、アローのおすすめは鴨と蛙
??
「蛙…かえる?……カエルぅぅぅ?!」
え、嘘でしょ??蛙食べられるの???
あの、蛙?本当に?
私の表情を見たファイシャが吹き出す。人の顔見て吹き出すのは失礼ではなくて?
アローにはなぜか残念そうなものを見る目を向けられる。え、解せないわ
なお、蛙の串焼きも猪肉の串焼きもリズビアは美味しくいただきました。
もちろんヴィオとレットには後々怒られるんですがね(笑)




