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幸せに生きていたいので  作者: 結汝
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助力の対価

 ビックリした~~~!!

 え、シルに会いに行って久しぶりだから嬉しくて色々話したいなとか思っていたのに、マルコス・ベスタがいて正直目を疑ったし、しかもシルビアの友人????

は?いつからそんなに仲良くなったの?

 私的に全然嬉しくない関係性過ぎてあそこが自室なら頭抱えて奇声あげてたと思うんだよね。マルコス・ベスタの目的は私への謝罪って…

手紙で良くない??わざわざ謝りに来るの?え、どれだけ頭硬いの??

ここで感謝はお母様に挨拶していなかったことだよ。おかげさまでこうしてあの地獄から抜け出せたわけだけどさ…


ぶるりッ


 悪寒が走る。


「お嬢様、お風邪でもひかれましたか?」

「領地と王都では気候が少し異なりますし、移動が多かったですから…」

「大丈夫だよ。これはそういうやつじゃないから」


 そう。これは体の不調ではなく、身体の危険を知らせる方だから

 マルコス・ベスタとシルが友人ってことは屋敷内で彼に会うことも今後はあるということだよね。


「…レット、シルのもとにマルコス・ベスタが訪れる頻度と日時を調べて」

「かしこまりました」

「できれば、どこの部屋を使うかとかも分かるとありがたい」

「どうするんですか?」

「会わないように極力善処(回避)するのよ」


 万が一会ってみろ。きっとここ優しいシルは私も一緒にお茶をしようと誘ってくれることだろう。そうすると嫌でも彼とバッティングするわけで…

シルに誘われて嬉しいお茶の時間のはずが味のしないお茶会へ早変わりだ。

 まぁ、彼は殿下と違って言質を取りにはこないだろうけど…

 夢の中で彼は私を孤立させるために周りを使っていた人間だ。しかも以前まで敵意むき出しだったわけで、すぐに仲良くとか無理じゃない?私は無理よ

友達少ない人間には難しすぎる。


 コンコン


「お母様、リズビアです。本日無事に戻りました」

「お入りなさい」

「失礼いたします」


 扉を開けてればお母様は白いテーブルを挟んだ向こう側の椅子に腰かけて書類に筆をはしらせていた。


「おかえりなさい」

「はい。ただいま帰りました」

「シルビアにはもう会ったの?」

「はい。ベスタ侯子にもお会いしました」

「そう。レイチェルなら夕方には帰ってくるわ」

「お兄様はどこかに出かけているのですか?」

「ファルコン伯爵家にご友人たちと遊びに行っているわ」


 ファルコン伯爵家は確かお兄様と同い年の男の子が1人と令嬢が1人、2つ年下から年子で4人男の子がいるんじゃなかったかな?ファルコン伯爵家は第3婦人まで奥方がいたはず。

ということは、一緒に遊んでいるのは伯爵繋がりだとエルーナ、キューベル辺り。子爵家ならファルコン伯爵家の分家にあたるロマサ、ルークヴェ、フロンティ。お兄様と仲が良かったのはシェルフィオラ子爵家とカーマイン伯爵家とかかな


「そうですか」

「充実して過ごせたのかしら?」


お母様は楽し気に笑われる。

手紙でことの詳細は既にお父様とお母様には報告済みだ。


「ええ、大変充実した時間でした。取引もうまくいき、貴婦人たちに人気がでそうな商品を取引できそうです」

「それは楽しみね」

「今回もお母様にはご助力頂けましたら幸いです」

「そうね。そうだわ、助力の代わりにリズ、一つお願いを聞いてくれないかしら?」


? お願い?

お母様から私へのお願いなんて初めてかもしれない。

とりあえずよく分からないが、頷く。


「なんですか?」


お母様は嬉しそうに笑われる。


「『華鏡祭(かきょうさい)』って知っているかしら?前の時、貴女達はまだ2歳だったから記憶に残っていないと思うのだけど」


 『華鏡祭』確か5年に一度のファンネルブ王国で開催される祭だ。

国花であるサテンクリィフェを使用して3日にわたって行われるお祭りだったはず。貴族は1日目に管轄ごとーすなわち東西南北の公爵家が主体で昼はお茶会を催し、3日目に王城でパーティーに参加だったっけ?平民の場合1日目は家族と過ごし、2、3日目でサテンクリィフェの対を探す―運命を探す(出会いを見つける)―を行うんだったはず。


「サテンクリィフェを使ったお祭りですよね?」

「そうね。国花を使用した運命を探すお祭り。華鏡祭の間に運命を見つけられた場合、その2人は永遠に幸せを互いに分け合う存在になるっていう言い伝えのあるお祭りね」


 その言い伝えの代表的存在がおじい様とおばあ様なんだよな~

あのお二人は華鏡祭で運命的に出会って、現に幸せに暮らされている。


「それがどうかされたのですか?」

「『華鏡祭』の初日に貴族たちは各管轄領で貴婦人は茶会を開かなくてはならないのよ。その開催責任者は公爵家つまり我が家もその役目があるの。既に茶会の招待状は出してあるのだけど、茶会を開催するにあたって主催者側はもてなしが必要でしょう?そのもてなしをぜひ貴女にやってもらいたいの」

「…え?」


 もてなし??私がやるの?お茶会を開いたこともない人間が?無茶苦茶じゃない???


「お母様」

「なあに?」


お母様の瞳をまっすぐ見つめる。

その瞳にはとても真剣…というより大きく動揺し、焦っている自分が映る。


「私、お茶会をそもそも開いたことないのですが」

「知っているわよ」


 知ってらっしゃるのに私にやれと

公爵家に泥を塗っちゃうかも知れないというのに?いいのかそれで


「ロゼリアのようなお茶会を期待しているわけではないの。あの子はお茶会を自分ですべて指揮していたけれど、貴女はやったことないのだから出来るわけないでしょう?だから、今回は私が招待客をリストアップして既に招待状も送っているわ」


 お母様は口角を上げて可笑しそうに笑う。

わぁ、静かに怒った時のシルビアの表情とそっくり

さすが親子


「だから貴女が行うことはリストアップした客を楽しませる料理と品を用意すればいいだけ。簡単でしょう?」


 ど・こ・が???!!

 招待客のもてなしは茶会では一番重要。しかも、貴婦人の集いであれば子供とは食の感性が異なる。好き嫌いを把握し、多くが平等かつ特別であることを重要視するというのを簡単って

お母様の正気を疑ってしまう。


「とりあえず、期間は20日。場所は王家所有の小宮殿・黄水晶、招待客のリストアップ一覧は執事長に聞きなさい。用意して渡しているから」


 スラスラと述べられるお母様からの指示を聞きながら、胃がキリキリしてきたのでとりあえず胃のあたりを摩っておく。こうでもしないとやってられない。


「お母様…あの、私やりたくな―」

「リズ」


最後まで言わせてもらえない…


「できるわよね?」

「あ、う」


 有無を言わせない圧が、笑みがすごい。怖いよ~

あれは絶対、嫌と言ったら領地には行けるのに?体力ならあるでしょう?何をしてきたのか見せるべき時よ。それぐらいはできないと困るわ。なんなら一緒にお母様と今後のためにやりましょう?って言われるやつだ。


「リズ?」

「‥‥‥はい。やらせていただきます」

「そう、良かったわ。じゃあ、後はよろしくね」


 お母様はそれだけ言うと書類に目を通し始める。あれはきっと茶会の返事とか諸々なんだろうな

お茶会のおもてなしとかやりたくないよ~~

嘆いてもどうしようもないのは分かっている。それでも心の中で嘆かずにはいられない。

 ああ、どうしよう。無事に何事もなくお茶会が終わってくれればいいのに、なんだかすっごく、すっごく嫌な予感がするんだよねええええええええええ!!!!!!!

ああぁああ、やりたくなああああああい!!!!



リズビアの嫌な予感ってあたるんですよね☆

それを人はフラグと呼ぶ

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