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七話

朝日と木崎が進展度について話して居た日の放課後である。


授業が終わるなり、奈々が朝日の席の前にやってきた。


「ねぇ今週の土曜日空いてるかしら?」


「ぇ!?」


ちょうど昼休憩の際に木崎と奈々との関係について話したため、自分から奈々をデートに誘うかどうか考えていたため、奈々から土曜日の予定を聞かれたため、朝日は面食らってしまった。


「何驚いているのよ。」


「あーごめん。空いてるけど」


「ちょうど良かったわ。例の件をお願いしたいのだけれど。」


例の件と言われ、浮かれた頭から切り替わり、今思い出したかのような顔をする。


「あなた…まさか忘れたの?」


疑い深そうに顔を覗き込まれ、焦る朝日。


自分がデートだなんだと浮かれて居たが、そもそもこの関係は奈々の両親を説得するために築かれて関係であった。


周りにもてはやされ、すっかり忘れて居たが、普通の恋人関係とは少し違うのである。


「わっ忘れてないよ。ご両親にあゔっっ!?」


朝日の口を奈々が焦って手で塞ぐ。


「バカね!私が例の件ってぼかした意味がないじゃない!ってそもそも教室で話し始めたのが間違えだったわ。」


しばらくすると、もごもご恐らく焦って謝ってるだろう朝日の口の拘束を奈々は解いた。


「ぷはっ。ごめん!奈々!とりあえずその件について話したいんだけど?」


「分かったわ。とりあえず今から話しましょう。行きつけの喫茶店があるわ」


今度は予定を聞かずに、朝日を教室から連れ出す。



放課後。朝日が奈々に連れられてやって来たのは、チェーン店ではなく、大通りから離れた所にひっそり佇む、喫茶店だった。


外観を見るになかなか雰囲気は良さそうである。


店内は今入ってきた自分たちを除き、恐らく店主であろう、メガネをかけた優しそうな白髪交じりの紳士の男性がエプロンをかけて、カウンターの向こうに立っているだけだった。


どうやら店主と顔なじみでありそうな奈々は少し挨拶すると、店内の奥の席に朝日を誘導した。


席に着き、一息着くと、先程奈々と挨拶を交わして居た店主がメニューを持ってやってくる。


「どうも。この喫茶店のマスターです。菜々ちゃんが誰かを連れてくるなんて珍しいね。」


店主が朝日の方にも挨拶をし、今度は奈々の方を向いて、言葉を紡ぐ。


「少し話があるの。ここなら落ち着いて話せると思って。貴方、コーヒーは飲めたかしら。」

「マスター、コーヒーを一杯ずつ貰えるかしら。」


朝日が頷くと、奈々は店主にコーヒーを頼んだ。店主は奈々が話をしたいと言った後、なにかを悟ったようで、コーヒーを届けると、店の扉にかかって居たオープンの札を裏返し、クローズにしてカウンターの奥に入っていった。


「そこまでしなくても良かったのに…」


と、奈々は呟く。

なんだか、自分たちのために店をわざわざ閉めてもらって罪悪感を覚える朝日だったが、奈々も同じだったようだ。


「遠慮しても仕方ないわね。マスターも気を使ってくれたみたいだし、さっさと話してしまいましょうか。」


コーヒーに一口つけると、奈々が話し始めた。




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