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三話


月曜日の朝。結論から言えば、朝日は特に何も変化を感じていなかった。


テレビで報道された内容。全てを目を通しても、どうにも前からそうであった気がしてならない。別段不思議ではないのだが、今まで彼女が何人もいた記憶はあるので、世界が変わったのだとぼんやり感じる。


朝日は、付き合っているが、まだ愛というほどの感情が芽生えていない場合どうなるのだろうと考えたが答えが出るはずがない。


なぜなら、この世界において、こういった状況は二度と起こらないからである。この状況で世界が変わった時のみ起こりうることだ。


朝日がうーんと頭を悩ましていると、玄関のインターフォンが鳴った。


朝日の母が出ると、一旦驚いた顔をして、朝日を手招きした。


朝日はぼんやりした顔で、玄関先に赴くと、七海奈々が制服で待っていた。


どうやら朝日は奈々と約束していたことを忘れていたらしい。

「ごめん」と一言だけ残し、朝日はドタバタと朝の支度を始める。


「やっぱり人選を間違えたかしら...そもそも、なんで付き合うなんいう突拍子も無い計画に出れたのかしら...やっぱり世界が変わったから...」


朝日を待つ間、奈々は2つの疑問について思案する。


前者の疑問については、やはり、朝日が適任であったと思い直したが、後者が曖昧である。


どうして好きで無い相手と私は付き合えているのだろうか。


世界は曖昧な2人を取り残して、歪な関係のままその姿を変えてしまった。


「ごめん。ほんとにごめん!今朝のニュースを見たら色々と考えちゃって」


しばらくすると朝日が支度を済ませて、奈々の前に現れた。


「いいわ。私もまだ困惑しているもの。何故、私があなたと付き合えているかわからなくなってしまったところなの。」


奈々の告白に朝日は自分の引っ掛かりと重ねる。つまりはそういうことなのだろう。


「つまりは...」


「そういうことよ。貴方が勘付いているということは最悪のケースは無かったみたいね。」


「私たち、好きという感情がお互いにないのに付き合っている。さらに言えば、私は貴方を好きではないのにしっかり恋人として認識してしまっているの。」


奈々が言い放った言葉は朝日の引っ掛かりとほぼ似たような内容であった。


つまり、なんらかの事情があって奈々は朝日に告白をし、朝日は断れずにそれを受け入れた。しかし、その直後に世界は変わり、2人の関係は曖昧なまま固定されてしまった。


また、2人とも相手を恋人として認識できているため、万が一関係を解消してしまった場合、愛を失ってしまう可能性があるということである。


「いいわ、歩きながら話しましょう。学校に遅刻してしまうわ。」


「分かった。」


先に玄関を出て、歩き始めた奈々の隣に急いで並び、歩き始める。


「事態は私たちが思っている以上に深刻かもしれないわ。」




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