二話
いってしまえばここまでが序章なのですが、できるだけ頻回に投稿するために分けました。
朝日は、朝起きると、木崎からのメールが昨日付で届いて居た事に気づいた。
「来なかったことはランチ奢りで許してやる。それで?次の女は誰だ?後輩か先輩か?それとも教員か?」
全て外れであった。
何だかんだ理解があって許してくれる木崎に感謝しつつ。朝日は昨日あったことを簡潔に木崎にメールで伝える。
どうせこんなビッグニュース、すぐに校内に知れ渡ることは朝日にもわかっていたので、特に隠す必要もないし、まさか、奈々も隠し通そうと考えているとは思わなかった。
少し考えて、朝日は事後報告になってしまったが、親しい友人に奈々と交際を始めたことをメールで伝える。
ピコーン
スマホが鳴り、メールの着信を朝日に知らせる。恐らく木崎からだろうとスマホを開けると、意外にも奈々からだった。
およそ1分もたたないうちに返信が来ると思って居なかった朝日は少し驚いたが、奈々も女子高生。メールの返信が早かろうが何ら不思議はないと思い直し、メールの内容に目を通す。
「誰かに伝えるのは構わないわ。私も隠すつもりはないの。良ければ月曜日いっしょに登校しましょう。」
側から見れば付き合いたての彼女からの一緒に登校しようという嬉し恥ずかしい誘いのメールであるが、朝日はどうもいまいち手放しで浮かれることはできなかった。
そもそも朝日は七海奈々のことを全く知らないし、恐らく奈々も朝日のことを知らない。自分に好意を寄せて告白してくれたのだからあまり疑いたくないが、何かひっかかるのは、あまりに奈々が美人であり、人気者すぎるせいである。
少し考えて了承のメールを返信すると、すぐに返信が帰ってきた。
「七時半にあなたの家に迎えに行くわ。それまでに支度を済ませておいて。」
あまりに業務的で"彼女"とメールを交わしているように思えない朝日だが、了解のメールを送る。
そもそもふつうの男子から考えたら、これが奈々の気まぐれであろうと、罰ゲームであろうと大層幸福なことである。
考えても仕方ないので、今度こそはこの彼女と上手くやっていこうと朝日は考えるのだった。
程なくして木崎からのメールが届いた。
「部活5時に終わるから駅前に集合。」
それからしばらくは考えることを辞めて、朝日は夏休みの課題をしたり、ランニングをしたり、自分の時間を過ごした。
特に何も起きず、平和な土曜日が過ぎ去っていき、時刻は夕刻。
逃れるすべは無いと悟った朝日は、昨日の埋め合わせもすべく、約束通り駅前に集合した。
その後、必要以上に七海奈々との関係について探られたのはいうまでもない。
可愛い彼女が出来て嬉しい反面、当分は色々な悩みが付いて回りそうである。
次の話で動かします。