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一話

「七海菜々…」


あまりに予想外の人物に朝日は凍りつく。まさか告白と言う事ではあるまい…


七海奈々。高校二年生。黒髪ストレート。容姿端麗。抜群なスタイル。スポーツは万能とは言い難いが、頭脳明晰。降った男の数は100を超えると言う。


男を振る時の容赦のない言い様から、一部男子から絶大な人気を誇る『奈々様』。噂では男子生徒のことを虫けらとしか思ってないとの事だったが。


朝日を屋上で待ち構えていたのは七海奈々その人で間違いがなかった。


「何鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしているのかしら。間抜けな顔ね。人選を間違えたかしら…」


何やら七海奈々は思案顔で考え始める。

その間も朝日は何に選ばれてしまったのか気が気ではなかった。


ふと、奈々はなにかを決意したかのようで朝日に向き直る。


「そうね。貴方しかいないもの。仕方ないわ。貴方を私の彼氏にしてあげる」


あっけらかんと奈々は言い放った。

朝日は脳の処理が追いつかずぐるぐると目が回る。


朝日の頭の中はまさにパニック状態であった。


「七海奈々が自分と付き合う!?まさか!?あの鉄壁の奈々様が!?(胸は鉄壁ではない)待て待て、胸はどうでもいい、たしかに今まで女性から異様に、告白を受けていたが…受けていたが…これは聞いてない」


「なにボソボソつぶやいてるのよ」


「ひっ」


あまりの驚きに、朝日は考えていたことが口からこぼれてしまった挙句に。奈々に突っ込まれて間抜けな声を出してしまう。


「ごめん。あまりに驚いたから」


朝日はなんとか動揺を収めて体裁を取り繕う。


「そんなに驚くものかしら?大層おモテになるって聞いたのだけれど」


皮肉気味に奈々が言う。


「たしかに顔はいいけど。」

ボソッと奈々が付け足す。


「自分では自覚してないし、そもそも七海さんから付き合おうと言われると思ってなかったから…」


「動揺したわけね?」


なんとか受け答える朝日の言葉を奈々が遮る。


「それで?YES?NO」



「はー」


朝日自分の部屋に戻るなり、ベッドにどさっと座り、あからさまなため息をつく。


「結局YESと答えてしまった…」


そう。朝日は結局奈々の告白に対してYESと答えた。

断れない朝日にして、当然の結果だが、今日ほど自分の性質を恨んだことはない。


「絶対に裏がある。」


朝日がそう考えるのも無理はない。何せ相手は七海奈々。男子に対して鉄壁と言われた彼女から告白されたのだ。

別段朝日は交友関係があったわけでもないし、告白された時の様子から奈々が朝日に惚れていると言うこともなさそうだ。


「ピコーン」

とスマホが鳴る。画面に映るのは七海奈々の文字。どうやらメールが届いたらしい。


あの後、朝日は奈々と連絡先を交換した。付き合ってから相手の連絡先を知ると言うのはおかしな話だが、朝日からしたら別段珍しい事でもない。


「これからよろしく」

との8文字。これから、交際を始めるとしてはとても淡白なメールだったが、朝日は考えるのも辞めた。


「こちらこそ」

と。短く5文字で答えると、朝日スマホを置いて、そのままベットに寝そべり、就寝しようとした。


「あっ木崎のこと忘れてた」


すっかり木崎と放課後を過ごす予定を忘れていた朝日は、まあいっか。と忘れ、改めて床についた。



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