序章
あまりダラダラするつもりはないですが、えたらないよいように頑張ります。
感想と指摘頂けるとやる気が出て執筆速度が加速します。
とある日曜日の朝。
俺たち人間は気づいてしまった。
それまで人は一生のうちに何度でも恋をし、別れ、そしてまた恋に落ちる。
当たり前のようにあった法則が今日。
突然崩れ去った。
それは呪いのようで
祝福のようで
罰でもあった。
物語は世界が変わる2日前の金曜日から始まる。
…
日向朝日は所謂プレイボーイというやつであった。
その所以は今まで付き合ってきた女性の数。およそ30を数える。
高校2年生にしては明らかに多い。
また、更に事態は深刻で、日向朝日と言う奴はとても人が良かった。
男子・女子共に好かれ、一切の敵を作らず、その偉業を成し遂げていた。
これは朝日の元恋人の1人と朝日を陰ながら慕う女性との会話である。
「朝日君はとっても素敵で優しいけど。付き合って見たらなんか違うなって」
「んー違うって言ったら朝日君に悪いんだけど。その、彼、あまりに優しすぎてつまらないのよね」
「あなたも付き合ってみればわかると思うわ」
「んーん。彼、拒めないもの。大丈夫。なんなら私から彼に伝えようか?」
つまり、朝日は取っ替え引っ替えしているわけではなく、朝日が取っ替え引っ替えされているのだった。
高校一年の頃はすっかり周りの男子から嫉妬の目線を、浴びせられ、辟易としていたが、気づいた頃には男女ともに彼の人柄に惹かれ、そして、断れない朝日を気の毒に思い、嫉妬も徐々に消えていった。
そして、現在朝日は恋人がいない。
きっと次に告白した女性が朝日の次の彼女になるのだろうと言うのが朝日を取り巻く友人たちの見解であり総意であった。
授業が終わる鐘が校内に鳴り響く。
各教室の授業を受け持つ教師が鐘を区切りに授業の終了を告げると、生徒たちの声で教室内が溢れかえる。
普段より生徒たちの活気があるのは、今日が始業式であり新しいクラスに一喜一憂する生徒が多いためである。
更に言えば今日はほとんどの部活動は活動しない。
これを好機とばかりに生徒たちは各々の空いた時間を過ごす。
これはもちろん朝日が所属する2年A組でも同じことであった。
「よー!朝日!この後どうする?今日の彼女はいないんだろ?」
突然朝日の後ろから肩を叩き、悪ノリをして話しかけたのは朝日の友人。木崎だ。
「"今日の''じゃない。せめて今のと言ってくれ。」
友人の悪ノリに対して朝日はため息混じりに答える。
いつもように振る舞う朝日だが、仲のいい友達が新しいクラスにいて内心ホッとしていた。
「まあまあそんなことは良いとして、俺も久し振りに朝日と遊びたかったんだよ。」
「まあ。予定もないし構わないけど。お前の方は部活無いのか?」
始業式でほとんどの部活は活動しないのは知っているが、一応木崎はサッカー部なので予定を聞く。
「いや、知っての通り今日は休みだ。」
「そうか。まあ、なら遊ぶか」
朝日も満更ではない様子で答える。
2人はお互いにカバンを持ち、教室を後にする。
下駄箱までやってくると、玄関ロビー周辺は帰宅する生徒でごった返していた。
朝日はいつものように自分の下駄箱を開けると、靴の上に見覚えのない封筒が置いてあった。
周囲を確認すると、皆それぞれ今日からの新生活を期待に胸膨らませ、それぞれの友人と会話を楽しんでいるため、自分の方を気にしていない。
何度もこう言うことはあったが、自然に鼓動が早くなるのを感じる。
恐らく。ラブレターであると自己の先入観から判断したが、封筒を開けて、中の手紙を取り出すと、綺麗に二つ折りされた一枚の紙に、「放課後。屋上で待ってます。」と。綺麗な楷書で書かれていた。
「木崎ごめん。おれ用事できたから少しまっててくれないか?」
鼻歌交じりに靴を履いていた木崎を呼び止める。
「はぁーまたお前の断れない病かよ。わーったよ先に駅前に行ってるから連絡してこい」
朝日の方を振り返らず手を上げて木崎は立ち去る。
こんなことは日常茶飯事であるので木崎も茶化したりはしない。
「助かる」
木崎の背中に礼を言うと、帰宅ラッシュの波に逆らい朝日は屋上へと向かった。
屋上の扉を開けると、そこには予想だにしない人物が待っていた。