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誘われしダンジョンマスター設定資料  作者: 北のシロクマ
アレクシス王国の暗部 if
72/84

黒幕達

ブクマ件数200越えました。

ありがとうございますm(_"_)m


 ロードアレクシス城の6階。

そこには王族と近衛、公爵家の者達が居る。

その中の1つに、ボーアロッカ公爵に割当てられた豪勢な部屋があり、まさに今その部屋の中で、ある計画のための話し合いがされているのだが‥‥、


「なんですって!?バーミレニラを取り逃がしたっていうの!?」


「も、申し訳ありません!途中で邪魔が入ってしまい、後少しのところで‥‥」


 ダンッ!

‥‥っと、テーブルの上に足を乱暴に下ろすと、報告を行った騎士を睨み付ける女、満持紀子(みつもちのりこ)が罵声を浴びせだした。


「この役立たずどもが!バーミレニラには逃げられるし、セレスティーラは行方を眩ますし、たかだか女2人に何を手間取ってんのよ!」


「も、申し訳ありません、仰る通りに御座います!」


「フン‥‥それで、いったい誰に邪魔されたっていうの?」


 満持は鼻をならしつつソファーに座り直し、(こうべ)を垂れている騎士の顔を覗き込みながら問いかけた。


「それが‥‥名前は不明なのですが、ダンジョンマスターである事は間違いありません」


「‥‥ちょっと待ちなさい。ダンジョンマスターが出てきたって‥‥ダンジョンマスターがしゃしゃり出てきてどんな得があるってのよ?」


「そ、それは‥‥」


 騎士の男にしても、ダンジョンマスターが出てきた理由は分かる筈もなく、言い淀んでしまう。

 と、そこへ静観していたボーアロッカが口を挟んできた。


「まぁ待ちなさい、紀子。状況から判断するに、バーミレニラはダンジョンマスターが連れ去ったと見てよいのではないか?」


 ワイングラスを片手に優雅に振る舞うボーアロッカの姿勢に、満持紀子は眉間に皺を寄せつつも冷静に努める。


「それは分かるわよ。でもダンジョンマスターが関わってくる理由が分かんないじゃない?まさかただの暇潰しで絡んできた訳じゃないだろうしさ」


「その通りだ、必ずや理由が有る筈。だったらこちらから探ってやればよいのだよ、その理由とやらをな‥‥ククク」


 自信たっぷりに含み笑いをするボーアロッカだが、その様子を満持紀子は冷めた目で見ていた。

そして内心では、バーミレニラを取り逃がしたというのに余裕ぶっているボーアロッカに対して苛立ちを覚えていたが、勿論口にする事はない。

ボーアロッカをおだてる事で参謀として取り立ててもらえたので、そのボーアロッカを怒らせるようなヘマはしない。


「‥‥いったいどうするって言うの?向こうからコンタクトが有るなら別だけど、無い以上手の打ちようがないじゃない」


「この国にはな、ダンジョンマスターが3人程居るのだよ。彼等に助力を願い出る事にしようではないか」


 現状アレクシス王国に仕えてるダンジョンマスターは3人居る。

多いか少ないかで見るなら、多いと見るべきだろう。

 殆どのダンジョンマスターは対等な立場で国に挑む者が多いので、国に属して働く者は多くない。

 そしてアレクシス王国に属してるダンジョンマスターは、内政官のキャメル、警備隊のヘルリザード、生活環境専任のファインの3人である。


「つまり、この国に所属してるダンジョンマスターって事?‥‥その3人は信用出来るの?」


 たった今ダンジョンマスターにバーミレニラが連れ去られたと言われた満持紀子にとって、ダンジョンマスターそのものが信用出来るかと言われれば信用出来ないと言わざるを得ない。


「既に契約の儀式は済ませてあるので大丈夫だろう」


 契約の儀式とは、互いに契約を結ぶ時、その契約に違反する事があればペナルティーを課すようにする契約である。

 例えば、国のある秘密を暴露した場合その者は死ぬという契約を結んだとしよう。

そうすると、もし契約後に秘密を暴露した場合は確実に死ぬ事になる。

もっとも、自身が死ぬような契約を結ぶ者などいないだろうが。


「それじゃバーミレニラ王女がダンジョンマスターに連れ去られたって事で、同じダンジョンマスターの3人に情報を集めてもらえばいいのね」


「そういう事だ」


 ダンジョンマスター同士での独自のネットワークであるダンジョン通信の事も一部の者達は知っており、その一部には当然の如くボーアロッカも含まれていた。

なので今回それを利用して情報収集を行おうというのである。


「ダンジョンマスターに関しては儂に任せておけ。紀子は引き続きロッツローニの方を頼む」


「分かったわ」


「さて、さっそく確認してみるか。夜分に仕事をする羽目になるとはな。このツケは王女を拐ったダンジョンマスターに払ってもらう事にしようか」


 ボーアロッカは手にしたワイングラスを近くのテーブルに置くと、指に嵌めてある魔道具を操作しだした。






 その頃、バーミレニラを連れ去った‥‥もとい匿っているアイリは、ヘルリザードの邸にいた。

 そこでダンジョンモンスターであるクロコゲ虫を使役しているダンジョンマスターが居る事が判明し、そのダンジョンマスターを探すために動き出そうとしたその時だった。


「ん?‥‥ちょっとごめんなさいね、公爵様からの呼び出しだわ」


 ふーん?夜になっても仕事で呼び出されるなんて、内政官も大変ね。


「え?姫様がですか!?」


 ん?‥‥今姫様っていったわよね?

姫様って言うと、バニラかセーラさんしかいないと思うんだけど‥‥あ、第一王女が居たか。

 さっきから知らない魔道具を使って話してるキャメルさんだけど、話してる相手は誰なんだろうか‥‥。


「はい‥‥はい‥‥は‥え?」


 なんだろ?

なんかキャメルさんがこっち見て驚いてるんですが‥‥。


「あ、いえいえすみません、こちらの事でして‥‥はい‥‥はい畏まりました、すぐにお調べ致します」


 漸く話が終わったらしい。

でもキャメルの顔はニコニコしてて逆に怖いんですが‥‥って、


「あの、キャメルさん?なんでニコニコしながらにじり寄ってくるんです?」


 顔は笑ってるのに目が笑ってないわ!


「ねぇアイリ、私達に隠してる事‥‥ない?」


 げげっ!なんか今のキャメルさん、怒った時のお母さんにソックリ!

ニコニコしながらお父さんの背後をとっては、そのままジャーマンスープレックスをかましてるところを何度も見たわ!


「‥‥おい、正直に話した方がいいぞ?コイツ怒らせたら後が大変なんだからな」


よし、ヘルリザードの助言も有るし、ここは素直に話そう。

命には代えられない。

 多分、姫様で私が関係してて表沙汰になってる事と言えば、バニラの事しかない筈。


「えーとですね、ボーアロッカ公爵の私兵に追われてたバーミレニラ王女を救出して匿ってます‥‥はい」


「‥‥それだけ?」


 もう本当にお母さんソックリで怖いです!

お父さんの隠し持ってるヘソクリを、全て吐き出させようとしてる姿に重なって見えるわ!

その後、更に隠してるヘソクリを発見して、最終的に馬乗りになってキャメルクラッチをかましてるところも記憶に有るわ!


「えーと、それからですね、セレスティーラ王女も私が匿ってます‥‥はい」


「成る程‥‥他にはない?」


「えー、リムシールの街の闇ギルドを潰しましたです‥‥はい」


「‥‥まだある?」


「同じくリムシールの街の領主を監禁しております‥‥はい」


「‥‥終わり?」


「更に同じくリムシールの街の隊長クラスの人も監禁しております‥‥はい」


「‥‥あの、そろそろ終わりにしてほしいんだけど‥‥」


「王都のとある有名女優の秘密を握ってしまいました‥‥はい」


「分かった!分かったからもういいわ。とりあえずアイリ、ボーアロッカ公爵からバーミレニラ王女を連れ去ったダンジョンマスターを探してほしいって頼まれたのよ。だからこれまでの経緯を詳しく話してちょうだい」


 ‥‥てな訳で、キャメルさんにこれまでの経緯を話した。

勿論、レミエマにも関係する事だから、レミエマの許可も貰ったわ。

 そして話してる最中に何度も溜め息をつかれたんだけど、私は悪くないわよね?

ダルタネーロにしろラッカーソンにしろ自業自得だし。

でもキャメルさんとは対称的に、ヘルリザードは興味深そうに聞いてたわね。

特に闇ギルドを潰して他の街の治安維持をさせてるってあたりは。


「貴女、噂通り規格外なのね‥‥。というかそれだけ強い眷族が要れば、多少は無茶出来るんでしょうけど」


 キャメルさんの言う強い眷族っていうのはモフモフとミリーの事よ。

ダルタネーロ男爵の手勢と闘った時の事を思い出すわね。

あの時は殆どモフモフが片付けちゃったけど。


「それで、キャメルさんはこれからどうするんですか?」


「うーーん、それなのよねぇ‥‥ボーアロッカが王族を殺そうとしてるのは分かったけど、王女が行方不明なのは不味いわ。下手すると私達が疑われちゃうし」


 そっか、キャメルさんやヘルリザードがダンジョンマスターって事で、共謀してると思われる可能性があるのね。

これは何とかしたいわね‥‥。


「おいおい、クロコゲ虫の方はどうするよ?早くしないと感付かれるかもしれないぜ?」


 そうだった、これからクロコゲ虫を使役してるダンジョンマスターを探しに行こうとしてたのよね。


「そうは言っても仕方ないじゃない、私もアンタも公爵に目をつけられたら立場が危ういわよ?」


 うーーん、面倒臭い事になったわね。

私達の事を素直に話されたら困るし、かと言ってこのまま我関せずをつくのも後味がわるい。


『あのぅ‥‥お姉様、1つよろしいでしょうか?』


『ん?何?』


『王都の近くに仮のダンジョンを作るのはどうでしょうか?』


 仮のダンジョン‥‥そんなものがあるの?

まぁアイカが言うんだから有るんでしょうけど。


『仮のダンジョンならダミーコアを設置すればダンジョン構築が可能になります。この仮のダンジョンを作って、ボーアロッカを惹き付けるのはどうでしょうか?』


 おお?アイカにしてはナイスアイデアかも!

てっきりお菓子が頭に詰まってるんじゃないかと思ってたけど、ちゃんとした頭脳は持ち合わせてるのね。


『お姉様、今大変失礼な事を考えてませんでしたか?』


『‥‥そんな事はないわよ。じゃあ仮のダンジョンを作って時間稼ぎをしてる間に、正体不明のダンジョンマスターを探しましょうか』


 私とアイカの極秘会議によりこの後の行動が決まったので、さっそく2人にも協力してもらおう。


「キャメルさん、それからヘルリザード。王都から少し離れた所に仮のダンジョンを作るから、そこに私が居るって事をボーアロッカに話してるくれません?」


「仮のダンジョン!?」


「仮のダンジョンってお前、そんなDPあるのか?」


 何故かキャメルさんが驚いてるなぁと思ったら、理由が分かった。

仮ダンジョンの構築に必要なDPは10000ポイントなんだけど、私にとっては楽勝過ぎて気にすらならなかった。


「DPに関しては不足してないから大丈夫。だがらボーアロッカを仮のダンジョンに惹き付けるから、その間にクロコゲ虫の主人を探し出しましょう」


「成る程な、しかし仮のダンジョン構築とは大胆だな。後始末が大変だろうが」


 よし、さっさと仮のダンジョン構築を行っちゃいますか!



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