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ギンVSナレクアム

「ここがボス部屋のようですわね」


 今、ギンの目の前にボス部屋らしき場所があった。

 この中のボスを撃破すれば、アイリの勝ちとなる。


『ギン、気をつけてね。さっきの罠を見る限り、ここのダンジョンマスターは中々の知恵者よ』


『心得ておりますわ。ですが私が負ける事は有り得ません。華麗に舞って参りますので、ご安心下さいませ』


 凄く頼もしいわね。

後は油断さえしなければ大丈夫かな?


『じゃあ期待してるわよ』


『見事期待に応えてお見せしますわ』


 アイリとの念話を切り、ボス部屋の扉を勢いよく開け放つギン。


 だがその直後、正面から爪が飛び込んできて胴体に深々と突き刺さる!

刺さったところから血が滴り落ち、そのまま胴体も力なく横たわった。

 しかし‥‥




「‥‥ちぇーっ、ハズレかぁ‥‥」


 横たわったのはホワイトウルフ。

ギンはその後ろで注意深くボスの動きを見ていた。


「ボスでありながら、随分と卑怯な真似をなさるのですね」


「ムカ!お前だって手下を身代わりにしたじゃないか!」


 軽く挑発しただけですのに乗ってくるとは、割と単細胞なのでしょうね。


「こういった場合、まず名乗りをあげるのが常識ではなくて?」


「む、確かにそうかも。‥‥えーと、あたしはロック様の眷族(けんぞく)のナレクアムだ」


「私はこの世界で最も優れたダンジョンマスターであるアイリ様の眷族で、ギンと申します」


 お互いの名乗りが終わり、距離をとり睨み会う2匹。

 ギンの後ろからはレッドウルフとホワイトウルフが見守っている。


「それでは、貴女の実力‥‥見せていただきましょうか!」


「いいだろう。あたしの実力で叩きのめしてやる!」


 こうしてシルバーウルフ対シルバーウルフの対決が幕を開けた。






 その様子は当然コアルームに居るアイリ達も見ていた。


「思ったんだけど、ギンって割と強かよね?」


「先程のボス部屋に突入した時の事ですね。確かにあれは、強かというか賢いというか‥‥」


 先程、ボス部屋の扉を開けたのはギンだったのだが、開けたのと同時にギンの前にホワイトウルフが1匹躍り出たのである。

 その結果、相手のナレクアムの不意討ちを受けたのはギンではなく、ホワイトウルフだったという訳だ。

 これはホワイトウルフが勝手に行った事ではなく、事前にギンの指示があったためである。


「予め不意討ちを予測出来ていたとはいえ、少し腹黒いわ‥‥」


「腹黒いのは否定しませんが、眷族が無事なのが重要ですよ?」


「まぁそうなんだけどね」


 バカ真面目なせいで負けてちゃバカらしいもんね。

それなら腹黒くても賢い方が望ましいわ。


「その通り。マスターは真面目すぎ」


 ‥‥そういえば腹黒いのがここにも居たわ。

というかミリーは少し自重しなさいよ‥‥。


「おや?どうやら1対1で闘うみたいですよ。賢いギンしにては妙ですね」


 まだ生き残っているウルフ達がいるので、数で押せば押し切れそうではあるのだが、ギンはそれをしなかった。


「何か考えが有るんでしょ。‥‥何となく何を狙ってるか分かるけどね」


「そうなんですか?わたくしには見当がつきませんが‥‥」

「ミリーも。マスター教えて?」


 どうやらアイカとミリーには分からなかったみたいね。

 それなら教えてあげるけど‥‥。


「ミリー。上目遣いで猫撫で声をやるのは、ホークだけにしなさい」


「イェス、マスター」


 もう‥‥、ミスリルゴーレムに不要な機能は覚えないでほしいもんだわ。


「で、ギンの狙いなんだけど、相手も同じシルバーウルフよね?だから力押しじゃなくて、相手を罠にかけて圧勝する気よ」


「成る程、相手のプライドをへし折るつもりなんですね」


「それもあるんだろうけど、寧ろ自分のプライドじゃないかしら?」


 ギンは一見淑女っぽい雰囲気を見せてたけど、実はプライドがかなり高いと見たわ。

 だから同種である相手を圧倒する事で、如何に自分の方が優れてるかを見せつける気よ。


「上手くいきますかね?」

バリッ

「それは本人しだいでしょうね」

バリッボリッ

 そもそも他のウルフ達が控えてる分、

バリバリバリッ

 こちらの方が有利に‥‥、

バリッボリッバリッボリッ




 あーーーーー気が散る!


「ミリー、煎餅は置いといて静かに観戦してなさい!」


「ノー、マス「ぁあ!?」‥イ、イェス、マスター!」


 まったくもぅ。

これで少しは静かになったわ。






 ミリーがアイリに叱られてる頃、ボス部屋の方ではギンとナレクアムの一騎討ちが激しさを増していた。


「どうした?守ってばかりじゃ、勝負にはかてないぞーっ!」


「それはどうかしらね」


 積極的に仕掛けるナレクアムと、回避と防御に専念してるギンの図が、そこに出来上がっていた。


「その程度の動きでは、私を捉える事など出来ませんわ。それとも、その速度が全力なのでしょうか?」


「ムッキーッ!お前ムカつく!八つ裂きにしてやる!!」


 先程からこの様なやり取りがなされてるのだが、ナレクアムが挑発に乗る度に、ロックにより念話で宥められている状態だった。

 そしてその状態もいよいよ終わろうとしていた。


「もぉー怒った!絶対に許さないからな!」


 とうとう我慢ならなくなり、ロックの宥める言葉も耳には入ってなさそうだった。


「あらあら、随分と大振りな攻撃ですね。益々回避しやすくなりましたわ」


「くっそーーーっ!この!この!このぉ!」


 完全にギンの挑発に乗ってしまったナレクアムは、大振りな攻撃を繰り返してしまう。

 そのため、ギンも余裕をもって回避出来るようになり、ギンの言ったとおりナレクアムの攻撃は、かすりもしなくなった。


 だが、ナレクアムの攻撃を回避していたギンに不運が訪れる。

 攻撃を避けて部屋の中央に設置されてた石像に着地したところ、石像が割れてしまいそのまま地面に落ちようとしていた。


「もぉらっーたーーーっ!!」


 今が千載一遇のチャンスとばかりにナレクアムが突撃してくる。

ナレクアムの向かう先は、ギンの落下地点。

そこへ回避不能な一撃を加えようと迫った。


「今ですわ!」


 しかし、ナレクアムの思い通りにはならなかった。

 ギンの落下に合わせて飛びかかろうとしたところに、ホワイトウルフの攻撃魔法であるフリーズが飛んできた。


「何だと!?」


 今のいままで他のウルフ達の存在をすっかり忘れてたため、全くの無警戒だった方向からフリーズが飛ばされたため回避出来る訳がなく、そのまま両前足に命中した。

 ダメージそのものは大した事はないが、それよりも致命的なのがすぐに動けない事だった。


「しまった!動けな‥‥」


「これにて終演ですわ」


 落下と同時に何故か攻撃体勢を整えていたギンによって、ナレクアムの首に深々と爪が食い込んだ。

 それが決定打となり、ナレクアムは光の粒になって消え去った。


審判:モルデナ

「それまで。ボス部屋のボス撃破によりアイリの勝利とします!」


「やったー!ギンの圧勝よ!」


「はい、お姉様」


「終わったみたいなので、煎餅食べてもいいですか?」


 見事な作戦だったわ。

特に石像から落下するところよ。

あれは恐らく‥‥、


『お疲れ様、ギン。よくやったわ』


『お褒め頂き光栄ですわ』


『それでギン、あの石像に着地したところで、石像が割れるのを計算に入れてたわね?』


『さすがはアイリ様!お気付きになられてたのですね!』


 そう、実はあの石像、何度も足場にしてる内に少しずつ脆くなっていったのよ。

 それで最後にギンが運悪く落下したように見せかけて相手を誘い、逆に致命的な一撃を相手に与えたって訳ね。


DPを稼ぎ隊:ロック

「お疲れ様。いやぁ、君の眷族は大したものだよ。まさか圧勝されるとは思わなかった」


アレクシス王国:天前愛漓(あまさきあいり)

「う、うん、まぁね。自慢の眷族よ。でも圧勝ではなかったわよ、あの火薬にはしてやられたわ」


 あれはかなりの被害だったしね。

実戦でなくてよかったと思う。


DPを稼ぎ隊:ロック

「ああ、あれな。まさか使う機会があるとは思わなかったぞ。侵入者相手にすら使った事がなかったんだが」


アレクシス王国:天前愛漓

「でもいい勉強になったわ。DPに余裕がなかったら勝てなかったかも」


 というかミルドの加護がなかったら、勝負にすらならなかったんじゃないかな。


DPを稼ぎ隊:ロック

「謙虚だな。だがそういうところが人気が有る要因かもしれんな」


 ん?人気?どういう事かな?


アレクシス王国:天前愛漓

「あのぅ、人気って?」


DPを稼ぎ隊:ロック

「‥‥まさか知らなかったのか?今のお前さんは、若手の期待の美少女ルーキーとして人気が出てきてるんだぞ」


 マジですか!?


審判:モルデナ

「あぁ、その話は私も知ってますよ。確かランダム召喚でSランクのモンスターを召喚したのもアイリさんですよね?」


 うわぁ、めっちゃ広がってる。


DPを稼ぎ隊:ロック

「何!?あの噂は本当だったのか!?」


アレクシス王国:天前愛漓

「ランダム召喚の件は私ですね。ログも公開したんでかなり広まってしまったみたいで‥‥」


DPを稼ぎ隊:ロック

「そうか。うらやましい限りだ。‥‥さて、今日は貴重な体験も出来たしこれで失礼する。また機会が有ればバトルしようじゃないか」


アレクシス王国:天前愛漓

「ええ、こちらこそ、宜しくお願いするわ」


 そういってロックはダンジョン通信を切った。


審判:モルデナ

「では勝利報酬の500ポイントのDPは振り込んでおきますので、これで私は失礼しますね」


アレクシス王国:天前愛漓

「はい、お疲れ様でした」


 モルデナもダンジョン通信を切ったので、ようやく一息ついた感じだ。


「私もまだまだ経験不足だという事が理解出来たわ」


 DPに余裕があるとついつい油断しがちになっちゃうから注意しないとね。


「でもお姉様なら今よりも上達すると思いますよ。わたくしもサポートしますしね」


「ミリーも頑張る」


「うん、有難う!」


 まだまだこれからも上を目指すわよ!


次話から新章になります。

章設定してないけどね。


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