イグリーシアの歴史
イグリーシアを維持管理してるのは天界に居る神々であり、天使族は神々の手足として働く存在だ。
古の時代、まだ地上には魔物と魔族しか居らず、天使族の主な役目は増えすぎた魔物の間引きであった。
ある時、1人の天使族の女性が地上に居た魔族の男性と出会い恋仲になる。
月日を重ねる内に2人は生涯を共にしたいと思うようになり、天使族の女は神々に許可を得ようと動いた。
しかし神の答えは不許可であり、女を落胆させるものであったが、彼女は諦めきれず神の命令を無視して魔族の男との生活を始めてしまう。つまりは駆け落ちというものだが、当然神々はその行為に憤り、その天使族の女性を天界から永久追放する事にした。
その事は他の天使族にも伝わり、大きな反響を呼んだ。とはいえ反響の殆んどが、その女性天使を非難するもので、肯定的な意見は皆無に近かった。
その時に追放された女性天使の事を、悪い天使が魔族に寄り添ったという事で、悪魔と呼ばれるようになったのである。
因みに、初代悪魔族と認定された元天使族の女と、魔族の男の間に産まれた子供が人間であった。
だがその後にも、地上に居る者達と添い遂げる天使族が現れ始め、悪魔と呼ばれる天使族は増え続けた。
そして徐々に天使側と悪魔側との確執は広がり続け、ついにある事件が発生する。
その事件とは、女性天使と人間の男という一組の夫婦の元に天使族の男が訪れた事で巻き起こる事となった。
その天使族を見た女性天使は表情を曇らせるのだが、理由は訪れた天使族が実の兄だったからである。
妹夫婦の前で仁王立ちする兄の目的は、妹を天界に連れ帰る事。
勿論掟により妹は追放を受けた身であるのだが、兄としては天界に連れて帰った後に神々に対して悲願するつもりでいたのだ。
しかし妹の方は天界に戻る意思は無く兄に対して背を向けるのだが、兄としては断じて受け入れる事は出来なかった。
尚も粘り強く説得を試みる兄であったが、妹の意思は固く頑として首を縦には振らない。
そこで兄は最終手段として力ずくで連れ帰る事を選択する。
当然の如く抵抗する妹に夫である人間の男が加勢するが、力の差は歴然でまさに焼石に水であった。
だが人間の男は怯まない。
愛する妻を守るため、絶対に勝てない相手に対して必死で戦った。
兄の方も仕方なしに戦うが当然本気を出す訳にはいかず、手加減して戦っていた。
そうしなければ戦闘経験の無い人間など一溜まりもない。
どれだけの時間が経っただろうか。
最初は3人しかその場に居なかったのが、いつの間にか大勢の人間や魔族、エルフにドワーフ、更には天使族と悪魔族も、事の行方を見守っていた。
そんな中、とうとう事態は動き出す。
天使族の兄が手加減を誤り、人間の男を殺してしまったのだ。
それを目の前で見ていた妹は激怒し、兄に襲い掛かる。
必死に宥めようとする兄だが、憎しみにまみれた妹は聞き入れようとしない。
妹を殺したくない兄は最後まで全力で戦う事せず、ついに妹の剣によりその身を切り刻まれてしまう。
その直後放心状態にあった妹は直ぐに我を取り戻し、何かをポツリと呟いた後、自身の剣でその命を絶つのであった。
そしてこの事件は世界を激震させる引き金となり、これまで行われてた抗争が戦争へと発展する事に。
これが天魔戦争の始まりである。




