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絵画と花瓶と水差しと

ブクマありがとう御座いますm(_"_)m

名前:デークイル  種族:悪魔族

性別:男      職種:無職 

レベル:12    年齢:14 

HP:463    MP:432

 力:251    体力:282

知力:213    精神:287

敏速:234     運:31 

【ギフト】

【スキル】格闘Lv1    

 【魔法】火魔法Lv2


「まぁデークイルという少年も弱くはないのじゃが、(しゅ)が強すぎるのであろうな」


「当たり前ぇよ。姉御があんなガキに遅れをとるなんてありえねぇぜ!」


 このドローンにも鑑定スキルが備わってるので少年達を素早く鑑定してみたアイカだったが、確かに普通の人族よりも強いものの脅威となる程ではなかった。

 簡単に評価すると、どこにでも居る冒険者というところであろう。

 なので特に何もせず静観してたのだが、もしも脅威的なステータスだった場合、それなりの威力の攻撃魔法がドローンよりぶっ放されてたであろう事が想像出来るので、この場合は寧ろ少年が強くなかった事で命を救われたと言えよう。


「しかし、僅かとはいえ(あるじ)から目を離したのは(いただ)けんな」


 ディスパイルの国は比較的安全であるが、それでも万が一という事は起こり得る。

そう考えればザードの指摘した通り、ディスパイルは常にアイリの傍についているべきだったとも言えよう。


「ですが~、アイリ様が無事で~、良かったです~♪」


「そうだのぅ。まぁ今回は何事もなくて良かったという事じゃ」


 アイリが無事だった事もあり、眷族(けんぞく)達は再びドローンの映像に集中した。

 映像では、丁度アイリ達が泊まる屋敷に到着したところのようだった。




 眷族達が‥‥というかドローンが見守る中、アイリとディスパイルは1つの大きな屋敷の前に(たたず)んでいた。

 丁度沈みかける夕陽を背景にしたその屋敷は、一言で言えば豪邸そのものであった。

その時アイリは思い出したのが、そういえばここに来る途中に何度もゲートみたいなのを潜ったなぁという事だった。


「宿屋‥‥じゃないわよね?」


「勿論宿ではない。ここは俺の住んで居る屋敷なんだが‥‥そんなに珍しいか?」


 自宅以外で寝泊まりをした事がないディスパイルにとっては特に不思議でも何でもないが、アイリからするとどこの御曹司だと言いたくなるところだ。


「え、えーと‥‥大きいお屋敷ね‥‥」


「うん?‥まぁ大きい方かもしれんな。そんな事より早く入ろう」


「え、ええ‥‥」


 先程の少年達には身分差があったようだし、それを考えるともしかしてディスパイルは大貴族なのかも知れないと思い始めたアイリ。

 そう思うとこんな所に招かれるのは場違いではないかとも思えてきた。

 そもそもこの世界の礼儀作法のれの字も知らないアイリなので、粗相を仕出かさないか少々不安になってきた。


「お帰りなさいませ、ディスパイル様」


 中に入るとメイドが数名待機していた。


「うむ、御苦労様。こちらの客人を部屋に案内してほしい。‥‥アイリ、夕食の時に呼びに行かせるから、それまで部屋で(くつろ)いでてくれ」


「うん、わかった」


 メイドの案内で客室に通されたアイリは、やはり落ち着かなかった。

 理由は単純で、例えば窓際に置かれている花瓶をうっかり倒してしまったらどうしよう‥‥等の不安からくるものである。


「下手に動けないわ‥‥」


 今のアイリにとってこの部屋は至るところに罠が張り巡らされてるようなもので、その(装飾品)に触れないようにするためには、黙って椅子に座ってる以外手が無かったのである。


「喉が渇いてきたなぁ‥‥あ!」


 ピコーン!

 アイリは5㍍先に水差しを発見した!


 ゲーム風に表現するとこんな感じのメッセージが出ていたであろう。

 だが問題はここからだ。


「床のカーペットは問題なし。後は‥‥」


 水差しが置いてある窓際には、手前に花瓶が置いてある。

水差しを手に入れるためには花瓶を回避しなければならない。


「こういう場合って、花瓶を落としてしまうのがお決まりのパターンなのよ。だから左側から大きく迂回するべきね!」


 花瓶が有るならば、花瓶に触れなくてもいい条件にすればいい。

そう思い大きく迂回するが‥‥


ドンッ!


「痛っ!‥‥た、棚が有ったのね‥‥あ!」


 棚にぶつかった際に、その並びに飾られてた絵画が揺れた。

 そのまま何も起こりませんように!‥‥というアイリの願いもむなしく、絵画は重力に従い落下を開始する。


「危ない!」


 急いで絵画の落下ポイントに向かおうとするアイリに再び不幸が訪れる。


 ズルッ!

「あっ!?」


 予想以上にカーペットがソフトなフィーリングだったために、足下を滑らせてしまったのだ。

 だが滑った勢いで絵画の落下地点にて無事絵画をキャッチ!


 したものの、そのまま前方に滑り続け、水差しと花瓶が置いてある窓際の棚に直行する。

 しかし、ここで奇跡が!


 ‥‥起こるはずもなく、アイリは棚に激突。

その結果、水差しと花瓶が仲良く床に駆け落ちを決行する。


「くぅぅぅ!」


 悶絶してる隙はないので気力で正気を保ち、水差しと花瓶の保護を優先する。

 しかし片手には絵画を持っており、水差しと花瓶の両方をキャッチする事は不可能。


「それなら!」


 咄嗟に思い付いた策を実行するアイリ。

その策とは、一先(ひとま)ず足に絵画を挟んで、両手を空けるという大胆不敵な策であった。


「よっ!‥ほっ!」


 策は成り、右手に花瓶を、左手に水差しを、足には絵画を装備したアイリが誕生した。

 だが問題は解決していない。


「‥‥これからどうしよう‥‥」


 見事なバランス感覚で絵画と花瓶と水差しをそれぞれ支えているが、いつまでこのままなのかは神のみぞ知るところだ。

 だが意外にも早く終止符は打たれた。


「失礼します。アイリ様、お食事の用意‥‥」


 メイドがアイリを呼びに来たのだが、奇妙なポーズをとっているアイリを見て固まってしまった。


「‥‥‥‥‥」


 一方のアイリもどうしていいかわからず、ポーズをとり続けている。

 こういう時はどうするのが最善か。

笑って誤魔化すというのが一般的かも知れない。

しかし、この状態で笑えば薄気味悪い少女でしかない。

 ならばどうするか。

笑わずに誤魔化す!

コレしかないだろう。


「私、思うんです。世の中って、()()()()が大事なんだって」


「はぁ‥‥」


「でもね、それにも限界があるんです」


「はい‥‥」


「手足が痺れそうなんで、元に戻すのを手伝って下さい」


「えーーと‥‥はい、それぞれ元の位置に戻せばいいんですね?」


「理解が早くて助かります」


 こうしてアイリは救出された。

当初懸念してた薄気味悪い少女というレッテルを張られる事はなかった。

 しかし、代わりに一風変わった少女と噂されるのは仕方のない事であった。



★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★★



「紹介するよアイリ。父のルードガルと母のユノルーサ、それから妹のキャメアンだ」


「ようこそヴェリアーレへ!ディスパイルの父ルードガルだ!」


天前愛漓(あまさきあいり)です。アイリとよんで下さい」


「うむ。何も無いところだが、ゆっくりしていくといい」


 いや、有りまくりです!‥とはさすがに言えなかった。


「母のユノルーサよ。よくいらして下さいました」


「あ、いえ、親切にどうも。天前愛漓です」


「可愛らしいお嬢さんね。ゆっくりしていって下さいね」


 とても優しそうなお母さんね。

腰も低いしイメージしてた貴族って感じじゃないわね。


「キャメアンよ、宜しくねアイリ!」


「うん、宜しくキャメアン!」


 活発そうな妹さんだわ。

でも何となく気が合いそう。


 自己紹介を終えて程なく、食事が開始される。

 食材に詳しい訳ではないが、凄く新鮮な野菜や果物が使われてるとわかる。

わかるというか鑑定した。

さすがは豪邸で暮らしてるだけはあるというものだ。

 そして極めつけはデザートだ。

富豪らしく、ふんだんに砂糖を使用した果物や菓子類が出された。

 味は‥‥まぁ、想像以上に甘ったるい感じがした。

 メインディッシュはかなり美味しかったのに比べ、デザートはただ甘いだけの物に成り下がっていた。

 だが、これには理由がある。

 今のこの世界は、どの場所、どの国でも砂糖は高級品であり、多く使う事は出来ない。

だが逆に多く使っているのを見せる事で、より裕福に見せるという手法を選ぶ貴族達も多く存在する。

 要するに、砂糖を大量に使うのは貴族の見栄なのである。

 アイリとしては程々の甘さにしてほしかったが、招かれてる手前、野暮な事は言えないなと思ったのである。




 食事の後、アイリとディスパイルの一家は、揃って私兵の訓練所を訪れていた。

 訪れた理由は、食事の席でアイリがそれなりに闘えると言ってしまったからだ。

うっかり口に出してしまい、しまったと思ったが時既に遅し。

是非腕前を見せてほしいとルードガルに言われ、訓練所に拉致られたのであった。


「これはルードガル様、何か御座いましたか?」


「うむ。ロザンにこちらの客人と手合わせをさせたいのだ」


「はい‥‥え?」


 思わず私兵の男が2度見をしてしまう。

その顔は、何故こんな幼い少女と手合わせをしなきゃならんのか‥‥そう物語っていた。


「はぁ‥‥ではロザンに相手をさせましょう。おーーい、ロザン!」


「はい!今参ります」


 ロザンという若い青年の男が、呼ばれてやってくる。


「お呼びでしょうか?兵士長」


「ああ。こちらの客人の相手をしてもらいたい」


 兵士長に言われて客人を見るロザン。

一瞬驚いた顔をしたが、すぐに元の表情に戻った。


「私は構いませんが、そちらのお嬢様は大丈夫なのですか?手合わせをする以上、怪我を負わせてしまうかも知れませんが」


 ロザンが兵士長に尋ねるが、そこにアイリが割り込んでいった。


「心配いらないわよ?大した実力の無い奴に、怪我させられるほど弱くないから」


 アイリのその発言を聞いて若干目を細めたロザン。


「ほぅ‥‥後悔してもしりませんぞ?」


「大丈夫よ。それより早く始めましょう。アナタ、それなりに強いんでしょう?少しは楽しませてよね」


「‥‥いいでしょう。実力の違いをお見せしよう」


 度重なるアイリの挑発に、徐々に青筋を浮かべるロザンだが、ここまでアイリが挑発するのも訳がある。

 実は食事中の話でロザンの事が話題に上がったのだ。

なんでも実力は有るが訓練をサボりがちらしい。

 何故なら、私兵達の中では一番の実力者であるがために、そのロザンに対抗出来る程の実力を持つものは居なかった。

そのため今以上に実力を研くという事をしないのだ。

 前からそれを知っていたルードガルは、アイリの実力も見たいし丁度いい機会だからと、ロザンと手合わせをさせようと思ったのだ。


「では始め!」


 兵士長の開始宣言と同時に走り出す両者。

最初に仕掛けたのは‥‥


「すぐに終わらせよう!‥くらえ!」


 中距離からの多段斬りによる斬撃を放つロザン。

通常なら回避が間に合わず、防御するだけで攻勢に出れないところだが、アイリは敏速の数値は非常に高いため、これを余裕で避ける。


「何!?」


「その程度じゃ当たらないわよ!」


「くっ!」


 すぐに距離をとり仕切り直すロザン。

だが今度は自分の番だと言わんばかりに、アイリの剣撃が繰り出される。


「さあ、受けてみなさい!」


 連続で繰り出される剣に防戦一方になるロザン。

これもアイリの作戦の内で、先程ロザンが放った多段斬りに対する意識返しである。

 ロザンからしてみれば、自分の多段斬りにダメ出しをされたようなものだろう。


「く‥‥ハァ、ハァ、ハァ」


 アイリの猛攻から何とか距離を取る事に成功したロザン。

改めてアイリを見据える‥‥事は出来なかった。


「な!?」


 確かに先程までは目の前にいたはず。

いたはずのアイリの姿を見失った事に気付き、狼狽えるロザン。


「ど、どこに!?」


 どこを見てもアイリの姿はない。

これにはディスパイル達も驚く。


「す、凄いよお兄ちゃん!アイリちゃんが見えなくなっちゃった!」


「あ、ああ、凄いな」


 まさかディスパイルも見失うとは思っておらず、思わず感服する。

 ロザンの方はいまだに周りを探してるが、一向に姿が見えない。


「そろそろ終わりにしましょうか」


 というアイリの声が聞こえた方に振り向くロザンだったが、既にアイリはロザンの懐に迫っており、ロザンがしまった!と思うのと同時にアイリの峰打ちにより倒されてしまった。


「勝負あり!」

「「「「「オオッ!」」」」」


 やけに歓声が多いなとアイリが辺りを見ると、いつの間にか私兵達が集まって見物してたらしい。

 ディスパイル達からも惜しみ無い拍手をされるアイリ。

私兵達からも持ち上げられ満更でもないアイリだが、その裏ではメイド達により、不思議少女アイリと呼ばれてる事を本人はまだ知らない。


本当は食事中もやらかす予定でしたが、あまりにも恥ずかしいのでカットしました。


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