突然って、突然
「お疲れ様でした。」
いつものように定時退社。公務員は楽でいい。去年から市役所で働き始めた。早い時間に帰宅できるが為に必死こいて公務員試験に合格。それからは夕方からどっかで飯食ってゲームしてとエンジョイしてるって訳だ。雑な生き方をしてきたからか自他共に認めるほどもひねくれ者な訳だがまあ、その性格が起因して彼女はもう5年くらい居ないわけだが、変な焦りもないまま同じような日々を過ごしている。別に不満があるわけではないしかと言って満たされてるわけでもないのだけど...
目覚ましが鳴る。俺は舌打ちをする。自分のミスに気づいてしまったから
「今日、土曜日じゃん...」
ガクリとうなだれる。寝不足なわけではないのだけれどもう少し寝ていたかった。いや、違うかな。寝ていることで時間を潰したかっただけだ。しかし、早起きは結果的には正解だった。母から連絡があった。
「もしもし...春木?」
いつもはうるさいくらいの母からの電話なはずだが今日に限って元気がない。根拠はない。根拠はにのだけれども嫌な予感がした。
「うん。どした?」
「夏木が...」
「...うん?どしたの」
「死んだ」
何を言ってんだと思った。姉ちゃんが死んだ?人って死ぬのか?いや、当たり前か。いやでも姉ちゃんが死んだ?そう聞かされた俺は何も言えずにいた。
「ただいま」
実家に帰ってくると当たり前のように親族が全員いて、皆喪服姿だった。ここに来てようやく姉ちゃんが死んだということを飲み込めた気がした。
「お帰り」
母が言い
「帰ったか」
父が言う
「この事を利和さんには?」
「言ったよ。彼は葬儀には顔を出せないと言い泣いていたよ」
「そう」
葬式は親族、友人など大勢の人達が夏木のことで涙を流していた。棺から見る夏木は化粧されて...今もおはようなんて言いそうで、頬に一筋の悲しみが流れていった
父に聞いたとおり、利和さんは顔を出さなかった。利和さんは夏木の元夫。夏木が亡くなる三年前に離婚が成立したそうだ。理由は聞かなかった。ただどうやら訳ありらしかった。夏木と利和さんの間には一人娘の...
「って、そうだ嘉穂ちゃんは?」