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漆黒と純白の円舞曲  作者: しゃごい狸
1/1

001:始まりの始まり

決して、忘れはしない。

あの日の、虚しく降り積もる雪と、肌を突き刺す冷たい風。そして、苦痛に歪む青年の顔。


忘れることも出来ない。

固く小指を結び合わせて、たった2つ、約束した。

薄く降り積もる雪の上に、真っ赤な血の薔薇を咲かせた彼と。


▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️▫️▪️


両陣営は、平原で正面衝突し、火花を散らしていた。

時が経った今も、戦場は激しさを増し、雄叫びが木霊する。

白い雪を赤い血が染め上げ、辺りは、まるでペンキをぶちまけたように真っ赤に染まっていた。

立ち込める血の匂いと、積み重なる死体は、戦場の残酷さを物語っている。

逃れられない濃密な死の気配は、実体こそないが、確かな存在感を放って辺りに充満する。


だが、たった1ヶ所だけ。

まるで生きている世界が、生きている時間が違うかのように、とにかくそこだけが戦場ではなかった。

そこには人影が2つ。

対照的、という言葉がぴったり当てはまる2人だ。


木陰に倒れる白髪の青年を抱き抱えるようにして、黒髪の青年が支える。

白髪の青年には、左肩口から右脇腹までぱっくり大きな傷が開いていた。致命傷だ。


「俺と…2つだけ…約束をしてくれ…」


黒髪の青年は無言で頷く。

もう白髪の青年の死が避けられないことを悟っているようだった。


「1つ目…お前の一生を預けられる程...信頼できる人に…この剣を…託せ…」


綺麗な白髪を血で汚した青年が言葉を放つ。

消え入りそうな声で、だが、しっかり芯のある声で。

そして、黒髪の青年に剣を渡す。

半ば強引に渡された白色の剣は、白髪の青年の魂と同調したように、本来の輝きとは異なる、くすんだ白色だった。

黒髪の青年の背中には、その剣とは対に、まるでブラックホールのような漆黒の剣が差してある。


「2つ目…最後だ…約束だぞ…守れよ…?」


そう言って語りだした彼との「約束」は、彼の夢そのもので、最後まで身勝手な彼の足掻きだった。

そんな事を考えただけで、目の奥に痛みが走り、涙が溢れそうになる。

黒髪の青年は唇を噛み、涙を堪えて、一言一言噛み締めるように発言する。


「わかったよ。必ずやり遂げる…この剣に誓って。」


「すまないな。」


それを聞いて、安心したように白髪の青年は、優しく微笑んで、永い永い眠りをついた。

もう2度とその目を、双眸を、開くことはない。

黒髪の青年は立ち尽くし、しばらく沈黙していた。

涙の雫が流れた。黒髪の青年の頬を。そして呟く。


「やり遂げない訳ないだろ…馬鹿野郎…」


涙を拭い、彼は白と黒の剣の(つか)を握り直して、戦場へと舞い戻る。


交わされた約束は、青年の心…いや、魂の奥深くに刻み込まれ、何時何時(いつなんどき)も彼を動かす原動力となる。

たとえ、この約束が黒髪の青年の人生を大きく狂わせようと。




これはとある青年が、とある青年と交わした約束を果すまでの物語。


そして、英雄として歴史に名を残し、伝説として語り継がれる物語。



お久しぶりーふです( ͡° ͜ʖ ͡° )

いやたぶん初めまして!!しゃごい狸です( ˆωˆ )

今回はだいぶファンタジー作品にしようかな〜とか思っちゃってます。今後ともよろしくお願いしますm(*_ _)m

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