第1話
とても読めたもんじゃないものですが、読んでくれて感想を言ってくれるととてもうれしいです。
絶望した。俺はこの世界に絶望し、今日この世を去ることにした。悔いもなにもないのが、不思議だ。あの時、こうしていればとか今思っても意味がない。毎日家に引きこもってダラダラ過ごしていたのは自分じゃないか。そんなことはわかりきっている。だから俺はこの世界と決別する。その日、俺は自宅で首を吊った。痛くてなにもしゃべれず、意識が遠のいて助けてなどと自殺する俺が思うなんて…小便が出てくる感じがした。これはもうやばい意識が消える。
「はあはあ」
息を荒げ、意識が回復したのが分かった。俺は助かったのか?自殺が失敗して、またあの日常を過ごすのだろうかと思った瞬間、目に映った景色は俺が生きていた世界とは別の景色が映っていた。
「これは、もしかしてよくある異世界に迷い込んだとか言うやつか」
でもおかしい、首の辺りを見ても、ロープで括って、首吊り自殺をした痕がない。異世界に迷い込んだとかではなく、転生なのか?だが今着ている服は俺が死ぬとき着ていた上下グレーのスウェットだ。それにこれは俺の体だと分かる。
「一体どうなってんだ?」
「何かお困りかな?」
独り言を誰かが聞いたのか、透き通るような綺麗な女の子の声が聞こえたのでそちらを向くと、串に何かの肉を刺して食っている十二歳くらいで金髪の身長が低い可愛い少女がいた。
「それ何食ってんの?」
俺の第一声はそれだった。なんか気になってしまった。
「これか、これは~シカ」
牛とか豚じゃなくて鹿かよ。鹿って食えるのか、いやまず鹿ってこの見覚えのない世界にもいんのかよ。
「そうか鹿か。あの君に訪ねたいんだけどさ、ここってなんて国だっけ?お兄さん記憶喪失になっちゃったみたいでさ」
まずこの世界の情報集めだ。いきなり俺はこの世界とは別の地球という星の日本から来ました。なんて言っても、通じないしいかにも怪しいしな、ここは記憶喪失っていう設定で行こう。
「そか、記憶喪失なのか、かわいそう…よし私と一緒に住もう!」
あれれ、俺はこの国の名前を聞いたはずなんだけどな、一緒にスモウ?相撲でもとるのか。
「いやいや、ご迷惑だろうし、ご両親もいきなり見ず知らずの男連れてきたらびっくりするだろうしさ。この世界の話少しだけ教えてくれるだけでいいよ」
せっかく可愛い幼女と暮らせるチャンスだったが、法律にひっかるだろうしな、この世界の法律知らんけど、どうせその辺の法律は同じだろ。
「私ね、お父さんもお母さんもいないよ。ずっと一人ぼっちだから、大丈夫だよ?お兄さん困ってるみたいだったし、余計なお世話だったかな?お兄さんは私と二人暮らしは嫌?」
「ううん、全然嫌じゃないよ、むしろ土下座してお願いしたいくらいさ」
そんな涙目で言われたら断れるもんも断れないよ。自分で言うのもあれだが切り替わり早いよ俺。
「良かった。じゃあお兄さんは私の家族だよ、ここで話すのもなんだし私の家に行こうか、そこで記憶喪失のお兄さんにこの世界の文化とか歴史とか常識とか法律とか、いろいろ教えてあげるね!」
とかが多いがまあそこは気にしないでおこう。
「よろしく頼みます。」
こうして俺はこの少女の家に行くことにした。この子と一緒に住めるのはうれしいけどでも記憶喪失といって嘘をついてしまったのが気が引ける。
少し歩いて、少女の家に着いた。
「ここが私の家だよ」
そこはアパートみたいで部屋がいくつかあり、その一室に少女の住んでいる部屋があるみたいだ。
「意外と綺麗な場所だね」
「意外とはなんだ、意外とは」
少女は少しむくれてしまった。さすがに今のは失礼だったかな…でも可愛い
「君が一人で暮らしてるって言うからさ、もっとぼろいところを想像しててさ、ごめんね」
「まあ私みたいなちんちくりんが稼げる金なんてたかが知れてるしな、ここは大家さんがすごい金持ちの貴族で私みたいな行き場所のないやつらを低額で住まわせてくれてるのさ、私の部屋もリビングの他に二つ部屋があって、一つは私が使ってるから、もう一つはお兄さんが使っていいよ」
異世界の貴族は嫌な奴をイメージしてたが、すごい良いやつじゃないか、ちょっと涙腺が緩んだじゃないか。
「ありがと、ありがたく使わせていただきます」
少女にお辞儀をし、感謝の意を伝えた。
「そ、そんな畏まらなくていいんだよ、お兄さんの方が年上だろうしさ、ため口でいいからね」
少女の頬が少し赤くなって、なんだか少しうれしそうだ。今のお礼だけでこんなに喜んでくれるなんて、しかも俺は最初からため口なんだけどな。
「じゃあこれからよろしくな、えっとそういえば名前聞いてなかった…」
「お互い名前名乗ってなかったね。私は狐火 凛」
あれこの異世界の名前って日本名みたいだな。まあいいか
「俺は水地 櫂改めてよろしく」
少女に手を差し伸べ、凛と俺は握手をした。
「こっちこそよろしく」
俺は少し不思議な少女に話しかけられ、成り行きで一緒に暮らすことになった。