第二話 あの夏の日の事故
「「お疲れさま~」」
勢いよく乾杯してビールをグビグビ…
「「ぷは~」」
そこまでして二人で顔を見合わせて笑う。
「なんで、同じタイミングなの(笑)」
「いやいや、そこはお約束でしょ。」
真夏の夜のビアガーデン。
私、満月と、彼、宇宙は仕事終わりの一杯を楽しんでいた。
「さぁて食べるぞ~。」
最近のビアガーデンは料理もおいしい。ここもなかなかに賑わっていた。
「おなか、苦しい~」
駅前どおりを歩きながら満月はおなかをさする。
「よく食べたな。太るぞ(笑)」
「うるさい~。宇宙だって結構食べてたじゃん。」
そう言って軽くパンチしようとしたら足元がふらついた。
「おいおい、気をつけろよ。」
宇宙が慌てて私の腕を掴む。
「あっ…!!」
「えっ!?どうした?挫いたか??」
私の反応に宇宙が慌てる。
「違う、違う。もうすぐ地元の夏祭りだな、って思っただけ。」
体制を整えつつ、宇宙に言う。
夏の夜の駅前どおりは人通りが多く、まだ昼間の暑さも残していて決して快適とは言えなかったけれど、道行く人はなんだかみんな楽しそうで、夏祭りの雰囲気によく似ていた。
「そうなの?行ってみようか。」
「ほんと??行きたい!久しぶりに浴衣も着たいな~」
「いいねぇ、浴衣。」
「あっ、宇宙、その言い方オヤジくさい~」
「えっ、うそ。」
「宇宙も浴衣着なよ。」
「え~、俺、浴衣なんて持ってないぞ。」
「買おうよ。何色がいいかな…」
……
その瞬間、周りが真っ白になった。
どこか遠くで人の叫び声が聞こえたような気もしたけれど、確認する暇もなく、私の意識は途切れた。
真夏の夜の駅前どおり。
たくさんの人が行き交うその中に、一台の車がものすごい勢いで突っ込んできた。