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第十四話 戻ってきた婚約者
「宇宙!!」
気が付くとベッドに駆け寄り、宇宙に抱き着いていた。
藤さんに案内された部屋は病院の個室を模した造りになっていた。
頭や腕に包帯を巻かれてはいたものの、宇宙はベッドから体を起こし窓の外を見ていた。
「満月、心配をかけてごめん。」
急に抱き着いた私を宇宙は優しく抱きしめ返した。
「宇宙、宇宙、あのね、あのね…」
会いたかった宇宙がそこにいた。温かい宇宙が。
クローンだなんて思えなかった。お祭りに行こうと言ってくれたあの日の彼がそこにいた。
私たちはたくさんの話をした。
宇宙が目の前にいる。そのことを信じたくてずっと話をしていた。
宇宙もそんな私の話にずっと付き合っていてくれた。
宇宙の退院は1週間後に決まった。
今回の事件は大きなニュースになった。
宇宙の職場も私の職場も私たちの状況に同情してくれて今は休職扱いとしてくれていた。
「宇宙、一緒に住まない?」
私の言葉に宇宙は頷いた。
宇宙にクローンであることを教えない以上、一緒に暮らした方がいいと藤さんには言われていたけれど、なによりも私が宇宙のそばにいたかった。
宇宙と私の新しい生活が始まった。




