第十三話 クローンができるまで③
「2点目です。クローン本人には自身がクローンであるという認識はありません。
宇宙様の場合は意識不明となり長期入院していたということで、ご本人には説明しておりますので、ご注意ください。」
「はい。対外的にもその説明をすることで宇宙のご両親ともうちの両親とも話はしてあります。」
「結構です。」
過去に自身がクローンであることを知ったことで精神に異常をきたす例が続出したため、現在は本人にはクローンであることを伏せるのが一般的になっているとのことだった。
宇宙自身のことなのに宇宙が知らないのはおかしな話だとも思ったが、何分初めての経験だ。
リスクは最小限に抑えたかった。
それになにより私たちはみんな宇宙のクローンを宇宙として迎え入れるつもりでいた。
無理にクローンであることを伝える必要はないとの結論に至ったのだ。
それにこれについては後々周りの人間の判断で事実を伝えることも可能とのことだった。
中には自分がクローンであることを知りながら暮らしている人も少数ではあるがいるとのことだった。
「3点目、こちらで最後になります。
先ほどお話したとおりクローンの存在が知られた時点でクローンは回収になりますが、それ以外にもクローンを回収するケースがあります。
クローンの存在を知る人間の代表者、宇宙様の場合は満月様が指定されています、が回収を望んだ場合、理由の如何を問わず、クローン自身の意思も問わず回収となります。」
「えっ??」
あまりの内容に私は絶句する。
だって、そんなの自分以外の誰かに命を握られているようなものだ。なんて理不尽な…
「満月様の言いたいことはわかります。
クローンの例は多くはありませんが、皆さんこの説明をすると同じ顔をされます。
ですが、クローンはクローンです。
定期的な検診が必要ですし、子をなすことができない等の違いもあります。
事情を知る人たちのフォローは必須です。
現状、クローンを作るのは本人の望みではなく、周りの人間の意思です。
だからこそ、フォローも周りの人間の義務ですし、それができなくなった以上、クローンの命を終わらせるのも周りの人間の責任だと、私は思うのです。
これは、命を背負う覚悟の条件だと、私はいつもお伝えしています。」
藤さんはそういうと「どうしますか?」と私を見つめた。
「わかりました。」
私は最後の書類にサインをした。
あとは宇宙を待つだけ。やっと会える。




