子狐神祇官から。紫陽花の便箋で。
7月に入る直前、届いた「手紙」
メールでも念話でもなく紙で届いた便り
拝啓
雨に映える紫陽花の花も美しく、爽やかな季節となりました。
お元気ですか。
こちらは今必死で現実の皆の学力に追いつこうと必死に勉強しています。
色々と考えたけど、〈セルデシア〉にいるからって怠けてられないかなと。
いつかは元の世界に帰る、それを考えたら勉強を疎かにしちゃいけないんじゃないかなって。
それで、ヘンリエッタさんにお願いして中学での勉強を教えられる人に声をかけてもらって勉強会をさせてもらうことにしたの。
飛燕さんには「こっちにいるのに勉強するのかよ」って文句言われちゃったけど。
でも、大事なことだとわたしは思うんです。
〈セルデシア〉に来て、知識の大事さはよくわかったし。
それに何かを知っているから、それを応用して新しいものを作り出せるわけだし。
〈オキュペテー〉がいい例だってヘンリエッタさんも言ってたっけ。
蒸気機関、という装置の存在を知っていて、その仕組も理解していたから〈セルデシア〉でも再現出来たんだよね、確か。
でもその仕組を理解できていなかったら、存在だけしか知らなかったら。
再現もなにもできないもん。
だから、学びたいの。
学校の勉強なんて役に立たない、って誰かが言ってたけどそんなことない。
知っていなかったら意味ないもん。それを応用できるかどうかは自分次第、って。
中学生が偉そうに言えることじゃなかったかな?
実はこれも手紙を書く練習、えーっと礼法っていうんだっけ?
で、ヘンリエッタさんに教えてもらいながら書いてます。
チャット打ちだけじゃなくって文字を書くのも久しぶりで漢字間違えていたり読みづらかったらごめんなさい。
また忙しくない時にでもフィールドに連れ出してくれると嬉しいです、
もう少ししたらマリエールさんにひまわりが綺麗に見えるところがあるって教えてもらいましたし、案内しますね。
風邪などにはお気をつけてください。
敬具 コハギ