子狐神祇官、ダンジョンにて
薄暗いダンジョンの中。
ぴちょん、ぴちょんと水が滴る音が響いている。
そこを通り抜けて、前を行く仲間たちの後を付いて走って行けば凄くひんやりとした空気が頬を撫でていく。
「きゃんっ!?」
危ない、と思う間もなく。
足元がつるっと滑ってドシンと勢い良く尻餅をついてしまった。
「うわ?!コハギちゃん大丈夫?」
前を行くラタンお兄ちゃんと同じ〈三日月同盟〉のお姉さん、オルフィさんがびっくりしたように振り返った。
「あ、あははは…だ、大丈夫なのです…」
両手を後ろについて、照れ笑いを浮かべるとお兄ちゃんがほっとしたような表情を浮かべる。
今日の依頼は〈第8商店街〉から。
それでわたしとオルフィさんは〈三日月同盟〉のギルドマスターのマリエールさんからのお願いで参加、そして〈第8商店街〉からはラタンお兄ちゃん、と猫人族のフーゴさんが参加して四人でシンノウさんという人の研究所に〈第8商店街〉のお使いで来ている、のだけど。
「にしてもこの部屋寒いねぇ」
オルフィさんが辺りを見渡して身を震わせる、けど今いるところはどう見ても研究所の部屋には見えない。
足元も壁も凍りついてしまっている、そう気づいたのは寒さだけじゃなくて尻餅をついた床が氷のように…じゃない、凍っていたから。
ラタンお兄ちゃんが言うには、シンノウさんは人嫌いでそれで人が来ないように研究所の一部をダンジョンにしちゃってる…という話だった。かな。だからこれも多分、シンノウさんの作った仕掛けの一部、の筈。
「早めにこの寒さ解除したほうが良さそうなのにゃ」
フーゴさんも同じように辺りを見渡してこの部屋に仕掛られているだろう仕掛けを探して
「あれ?」
ふと、目を向けると壁の下の方。
土がいっぱい付いている小さな箱のようなものが壁にくっついてやっぱり凍りついている。
「ねぇ、これ?」
尻餅をついたまま、それを指指してみると。
覗きこんだ狼牙族の二人、オルフィさんとラタンお兄ちゃんがあ、と小さく呟いた。
「これ、だね」
…えっと、怪我の功名、ってこういうことを言う…のかな?
えーっと中の人忙しくなってきました、マジで不定期投稿になりそうです。
某セッションの一幕から。ラタンお兄ちゃんとはここが本当の出会い。
TRPGでのセッションの処理を併記すると
部屋のギミックでのダイス:ファンブル
↓(疲労ダイス:出目1)
異常探知判定:成功
でした。はい。