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子狐神祇官と料理人のお兄ちゃん

その人の最初の印象は、「凄く不機嫌そう」という酷いものだった。



「ホントこいつ愛想とか無いんですけどねー、でも腕は確かなんですよ」


初めて冒険に出る数日前のことだったと思う。

聞きなれない声が1階のホールから聞こえてきて、2階の部屋からちょっとだけ顔を出す。

今日は午前中はみんなで戦闘訓練、でわたし以外の子たちはほとんど出ていたと思ったんだけど…。


「あ、コハギ!降りといでー」


ちょっとだけ顔を出すつもりが、ちょうど2階を見上げたマリエールさんがわたしを見つけてニッコリ微笑んだ。


「カラシンがね、料理人さん連れてきてくれたんよー」


ブンブンと手を振るマリエールさん。その横にはたまに来ているらしい…えっと、〈第8商店街〉のギルドマスターさんのカラシンさん。と、見覚えのない男の人が一人。ということはその人が料理人さん…なのかな。


「今日は他のみんな戦闘訓練で外でとるし、ウチラだけでお昼やから助かったわー」


準備して降りといでーと言われ。慌てて部屋に駆け戻る。部屋で一人作業して過ごしているうちにもうそんな時間だったらしい。


「あの子が例の…?」

「せや、あんまり外に出たくないゆうてなー…仕方ないとは思うんやけど」


背後で閉まった扉の向こうで、そんな言葉が聞こえた、気がした。

心配そうなマリエールさんの声にも、視線にも。気づいてはいたけど。でも。

「ごめんなさい」

やっぱり外にでるのは、他の人と話すのは怖いんです。




出てきたご飯は全部おいしくって。

いつもの〈三日月同盟〉でのご飯みたいにおかずがいっぱい、っていう感じではなくって一人ひとり分のお皿がその都度出てくる、コース料理っていうんだっけ。そんな感じだったけどお皿の一つ一つが綺麗に盛りつけられてて。普段だったらあるおかずの取り合いも心配しないでゆっくり食べられた。

多分そんなことは作ってくれた料理人さんは考えてなくって、得意な料理を作ってくれたってことだったんだと思うんだけど。


食事の間もマリエールさんとカラシンさんはなにか話してたみたいだけどそれすら覚えてないくらいわたしはその美味しいご飯に夢中になってたんだ。


「あ、あのっ!!」


だから、お礼を言わないと、とは思ってたんだけど。


「ん」


カラシンさんたちが帰るタイミングになっても料理人さんの鋭い目が怖くって何も言えなくって。お見送りにマリエールさんと出た所で、マリエールさんの後ろにしがみつきながらようやく声をかけられた。


それでもやっぱり目があった所でなんていっていいかわかんなくなっちゃって。


「え、えっとご飯ご馳走様でしたっ美味しかったですっ!!」


それだけ叫んで。

ダッシュでわたしはおかたづけのお手伝いをしにお台所へとかけだしてた。


その後、態度が悪かったと誤りに来てくれたことで初めて名前を知った、〈第8商店街〉のラタンお兄ちゃんとの出会いは、そんな感じだった。

初セッションでコネクション取得したラタンさん。

ラタンさんからのコネクションで恩人を取得…されてたのですが。

これじゃあナンノコッチャかわかんないね^^;


でもコハギ自身恩人と思われていることを知らないので結局こんなカタチに。

美味しいご飯を作ってくれて面倒を見てくれるお兄さん、です。今のところ。

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