表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

黒槍の騎士




学校に着くと屋上に来いと黒浄からメールが来た。



「ただいま。見つかったか?」

「まだ見つかってません」

「そうか……」



屋上から下を見る。

校門から出ていく生徒達ももう殆どいなくなっている。




そこで僕は校内の気が更に強くなっている事に気づいた。


「大丈夫ですよ。私がちゃんと塞き止めてあります」

「……すまんな。お前に全部任せてばっかりで」

「私が、半年前と同じには……させませんから」

「あ、あの」


原百合子が屋上から顔を出し下を眺めながら言う。



「どうしたの?」

「私にも妖怪が見えることってあるんでしょうか?」

「一時的とはいえ不死の者だし、この瘴気の濃さなら見えるんじゃないかしら……」

「じゃあ……ヤバいかもです」

「え?」




原百合子が勢いよく顔を上げる。




「いっぱいきます!!!!!!」





瞬間、下から瘴気と共に大量の妖が屋上へと飛び出して来た。



















「……はばばばばばばばば……」



屋上は既に大量の妖で埋め尽くされていた。



「すいません。近くに来るまで認識出来ませんでした」

「いや、呼び寄せたのは僕のせいだ。結界が裏目に出たか……」



さてこの量をどうするか。



「っ! 久我先輩! 危ないです!!」

「えっ……」



ふと前を見ると数匹の妖が僕を目がけてこちらに来ていた。




「糞……!」


「退いてください」



黒浄がいつの間にか手に持っていた棒を振るう。

棒に触れられた瞬間、妖は弾かれ遠ざかっていく。



「私がやります。先輩は下がっていてください。」


棒をまるで騎士の様に構えている。


「黒浄先輩!? あんないっぱいなの無茶ですよ!」

「危ないから下がってなさい」



黒浄は棒を掲げると妖の方へと意識を向ける。



「時に刻まれし英雄の騎士よ。

 汝の名と力、我が名と魂。それおいて魔と全てを消し去る彼の槍を我が物とせ」




そして唱える。かの古き神話の槍の名を。




「ゲイ・ジャルグ」




















術師の使う武器。


その中でも最も主に使われ、最も大きな力を持つ武器を神器と言う。


神器とは逸話、御伽噺、神話等の英雄の武器を現世に無理矢理引きずり出し

世界と契約し物質化している物である。


その能力は条件付きではあるが、

物語の力を最大限引き出し世界を歪ませる事も可能である程の正に必殺の物である。








「そして黒浄の神器の名はゲイ・ジャルグ。彼の有名なケルト神話の騎士の武器さ」



妖を薙ぎ払う黒浄の姿を見て興奮が止まらなくなっている原百合子に教えてあげる。



「ケルト神話……騎士……ゲイ・ジャルグ……。聞いたことあるような……」

「強いよ」




赤色の槍を持ち、空を跳ね回り黒い髪を揺らしながら異形の者を消し去る女子高生。


何度見ても惚れ惚れしい。 まるで映画のワンシーンだ。



だが彼女が戦う所を見ると何も出来ない自分を無性に潰したくなってくる。




「確かに。不思議です。妖怪を見ている様なのにお綺麗です……」

「魔を絶つ槍だ。邪気なんて吹き飛ばしてくれる」

「魔を絶つ……魔を絶つってそれって妖怪退治には」



原百合子は少し怯えたような顔をする。





「最強じゃないですか」





















「えぇ。とても強いわよ私は」


妖を全て祓いきった黒浄は髪を振り上げこちら側へと戻って来る。



「黒浄……すまない。僕のせいで……」

「いえ……先輩の力じゃ無いみたいですよ」

「え……?」

「高まっていた学園の気を恐らく相手の術者が上手く増長させたんでしょう」

「そんな事が出来る程の相手なのか……!?」

「結構、厄介そうですね」


黒浄は槍を戻し、再び屋上に結界を張る。




「それに。言ったでしょう。半年前みたいな失敗はもうしません」

「あぁ……僕もだ」

「あのー」


結界を張り終わったのが分かったのか原百合子が僕達に話しかけてきた。




「どうしたの?」

「先輩達がさっきから言っている半年前っていうのは一体……?」

「あぁ……」

「あ、いえ言えない事なら大丈夫です!」

「いや、ううん。大丈夫だよ」



視線を黒浄に寄せる。




「……私が話しましょうか?」

「いや、大丈夫。どこから言うかなって思ってさ」






この話こそが忘れられない忘れない僕の原風景の物語。




「えっと、僕も生まれつき力を持っているんだ」

「生まれつき……」

「うん。一種の特異体質みたいなもんだね」

「特異体質……ですか?」








「あぁ、妖を引き寄せるって呪いさ」




僕の罪の物語。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ