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回想が終わる。
SNSで隼人は、滅亡した国に入っていく軍隊の映像を見つける。
彼らは生き残りを救出する為に他国から派遣された軍隊のようだ。
軍隊は生存者が居ないことが分かると、切り上げていく。
しかし隼人が見た映像の中には撤退せずに国の文化財を自国へ持ち帰る姿、家に侵入し、金品を持ち帰る兵隊の姿なども投稿されていた。
隼人(こんな時にまで...)
ルーシィ「人間なんてそんなものさ、誰も見ていなければ、自分一人が悪いことしたところで、そんな考えばかりなのだろう...」
いつの間にか隼人のスマホを覗き込むように見ていたルーシィ。
隼人「次は...次はどこなんだ...」
隼人は次の滅亡予定の国を気にする。
ルーシィ「地図とかいうのはあるか?」
隼人は本棚から世界地図を取り出し、ページを開く。
ルーシィ「国の名前は覚えていないが...確かこのデカイとこだったと思う。」
指を指した国は日本から遠からず近からずの大きな軍隊を持つ国だった、隼人はSNSで呟く。
(次は○○○が滅亡する、はやく逃げろ!)
すぐに反応があるが、どれも隼人の呟きを非難する様な内容だった。
隼人「せっかく情報があっても...コレじゃあ...」
隼人は落胆するがすぐにルーシィから反応がある。
ルーシィ「わかったところでムダだ...人間はただ死を待つのみだ...ただ可能性があるとすれば...███████だな。」
隼人「█████だって!?そんなことが可能なのか?」
ルーシィ「まぁ、やってみる価値はあるだろう...○○○がどんな抵抗を見せるかわからんが、それを見てから決めるといい。」
隼人はルーシィからの提案について考えてみたが、半信半疑だ、そんなことありえない、だがありえない事が起きている事も事実、不安のまま隼人は眠りについた。
翌日目を覚ますと、ルーシィの姿は無かった。
今日までの事全てが夢であったら...そう思いながら隼人はスマホでSNSを開く。
SNSでは○○○が突如襲来した未確認生命体に対し軍隊を派遣したが、結果全滅した内容がニュースに流れてきていた。
他にも未確認生命体が宇宙人ではないか?
△△△国の実験兵器ではないか、などの憶測が飛び交っていた。
その中で未確認生命体を写真で捉えたという内容のつぶやきをみつけ、詳しく内容を見てみる。
投稿されている写真をみるとかなり小さくはあるがなにかが写っている。
隼人は画面を拡大し、その未確認生命体と思われるものを見てみる。
隼人「なんだ…コレ...」
写っているモノは隼人の想像とは全く異なり、身体こそ人間の様にも見えるが、その姿は様々な動植物の部位が入り交じり見るもおぞましい姿をしていた。
隼人「バケモノ...」
まるで合成の様であった。
ルーシィ「バケモノなんかじゃない...コレは天使だ。」
いつの間にか隼人の部屋に来ていたルーシィの声に隼人は驚く。
隼人「これが...天使だって!?こんなのが...」
ルーシィ「神の使いと言えば天使に決まっておるだろう。」
隼人「だって、天使ってこうなんて言うか人間の姿に羽根が生えた様な姿で天国に導く様な...それにルーシィも神の使いなはずじゃ...」
ルーシィ「そんなのはお前達人間の想像でしかない、ヤツらに感情はなく、神の命令にのみ忠実な下僕だ。私の事はこの際どうでもいい。」
隼人「...でもコレが天使...」
ルーシィ「納得するかしないかは勝手だが、コレが事実、ヤツらには人間が作った兵器など通用しない。」
隼人はいつかこのバケモノが日本にやってくることを思うと絶望した。
突如、隼人はSNSを開き、昨夜の自身のつぶやきを見ると、昨夜は誹謗中傷がほとんどだったが○○○が実際に滅亡した事でまさに預言者であると、英雄のように持ち上げられていた。
隼人(コイツら、手のひらを返したように...)
隼人は未確認生命体は天使であることは触れずに、SNSに兵器が通用しないこと、対抗手段はあるが公にできないこと、いずれ日本も標的になることをつぶやいた。
すぐにコメントがたくさんついたが、ほとんどがなぜそんな情報を持っているのか?実は黒幕ではないかというものが多かった。
その中で唯一対抗手段に興味があるという人物とDMを使い直接やり取りを行った。
彼の名前は風見 豪、フリーターだが人脈はある様で対抗手段次第では仲間達を紹介するとの事だった。
隼人は自分が説明するよりも、詳しい内容を知っているルーシィに説明させたいという事もあり、会社を休んで、豪に会いに行った。
豪には今まで起きていることが神の仕業だということ、実際に襲って来ているのは天使であることを伝えた。
豪はにわかには信じ難い話を受け入れ、信用してくれた。
豪「それで...対抗手段っていうのは...?」
ルーシィ「さっきも言ったように、人間の作った兵器は神はおろか、天使にも通用しない。だから悪魔の手を借りる。」
豪「悪魔...」
ルーシィ「悪魔には話をつけてある。あとは契約する人間さえいればいつでも手を貸してくれるそうだ。」
豪「悪魔と契約ってそれこそ残りの寿命とか持っていかれるんじゃねぇの?」
ルーシィ「それも人間が作り出した勝手なイメージでしかない。ヤツらは昔から神に虐げられてきたいわば神の奴隷だったのだ。」
ルーシィの話では、大昔奴隷だった悪魔達は、なんとか天界から逃げ出し、地獄を拠点に生きながらえている種族であり、人間達の想像する様な悪行をする存在では無い様子である。
豪「それを信じろと...?」
ルーシィ「信じるも、信じないもお前達次第だ、別に強制するつもりは無い。」