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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第三章<セルティア魔法学園/生活魔法クラブ編>

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096「反響/冒険者サイド(3)」



「あ、ちなみに、この魔道具は『魔力入り』の魔道具なので金貨5枚と少々お高いですが⋯⋯こちらの『魔力なし』のほうでしたら金貨3枚でご購入が可能⋯⋯」



「「「き、ききき、金貨5枚ぃぃぃ〜〜っ!!!!」」」



 受付嬢の説明に野郎3人たちから悲鳴が上がる。


「普通、六大魔法の『治癒(キュア)の魔道具』で、しかも『魔力あり』なら金貨30枚はするぞ! それを金貨5枚って⋯⋯破格じゃねーか?!」

「はい」

「いや、『はい』って⋯⋯! こんなの売っていいのかよ!!」

「はい。違法ではありませんので問題ないです。ただ、色々な方面(・・・・・)から嫌がらせを受けそうなので、このような形で秘密裏に販売していると製作者の方は申しておられました」

「で、でも、なんで、こんなに安価で⋯⋯売っているんだ?」

「はい。この魔道具の製作者の方から『普段、治癒(キュア)の魔道具を手に入れにくい平民や獣人・亜人らにこそ利用して欲しい』との要望でこのような価格での販売が実現しております」

「おいおい、マジかよ⋯⋯。そんなの、まるで聖人君子じゃねーか!」


 3人が受付嬢からこの魔道具の裏話を聞いて唖然としていると、


「それで⋯⋯お買い上げになりますか?」

「はい! 買います!」

「もちろん!」

「俺は、魔力あり・なし両方買うぜっ!!」


 ちなみに『金貨1枚』は日本円だと1万円くらいの価値となので、本来売られている『六大魔法の治癒(キュア)の魔道具』であれば『魔力あり版で金貨30枚』と日本円で『30万円』はするものなので、この店で販売している『治癒(キュア)の魔道具』がいかに破格な値段設定かが想像できるだろう。


「お買い上げありがとうございました」

「いや、こちらこそ。良い買い物ができました!」


 3人は満足した顔で受付嬢に返事を返す。


「ところで、このお店ですが最初にお話しした通り、『お上』に見つからないよう密かに販売しているので、周囲の人に話すのはお控えくださいませ」

「もちろんだ」

「ただし、お客様の信頼できる方などであればお話ししていただいて構いませんし、購入にきていただいても構いませんので⋯⋯」

「おお、本当かっ!?」

「よかった! こんな安い価格で、しかも生活魔法の魔力で『治癒(キュア)の魔道具』が使えるなら、冒険者は全員欲しいはずだぜっ!!」

「おいおい、聞いてなかったのか? この店や魔道具の話をしていいのは『全員』じゃなくて『信頼できる人』だけだぞ?」

「わ、わかってらぁっ!!」

「クス⋯⋯。では、今後ともご贔屓にお願いいたします」

「あ、ああ。こちらこそよろしく!」

「いや〜、マジでこんな魔道具があったなんてビックリだぜ〜! 早速みんなに教えてやろうぜ!」

「だから、信頼できる奴だけって言ってただろっ!! お前、本当に誰にでも話すとかするなよっ!!」

「へ〜へ〜、わかってるって!」


 そうして、3人は意気揚々と店を後にした。



********************



「どうでした、ソアラちゃん?」

「あ、ラルフ!」


 3人が去った後、裏からラルフが出てきて、さっきまで受付嬢をしていたソアラに話しかけた。


「うん、こちらの予想通り、ちゃんとあの3人が無差別に(・・・・)宣伝してくれそう!」

「だね!」


 そう言って、私とソアラはプククッと笑った。


「それにしても、ラルフが言ったようにこうして『ワザと秘密っぽい感じで売るやり方』は正解かもね」

「うん。たしかにフリオ先生やレオンハート様も『国王や既得権益貴族らに喧嘩を売っていくわけだから大々的に販売していいよ』とは言ってたけど、でもかえって、今みたいにワザと秘密裏に販売したほうがすべてが明るみになったとき、インパクトが強いんじゃないかなって思ったんだよね」


 そう。当初、この『生活魔法版『治癒(キュア)』の魔道具』は大々的に販売する予定だったが、直前で私が「待った」をかけ、今のような販売方法となった。


 ちなみに、私が提案した販売方法というのが『口コミ』である。


 まあ、『口コミ』にもいろいろと手段はあるが、今回やったのはさっきの冒険者たちに「信頼できる人になら話してもいい」ということだけ。



 そして、その心は⋯⋯『人の口に戸は立てられない』ってことだ。



 最初「誰にも話さないで」と言った上で、「でも信頼できる人になら話していいよ」と『本人次第でどうにでもなる選択肢』を与えれば、あとは『こんなお得情報を知らない人に話したい』という衝動に勝てず、いろんな人に話していくだろう⋯⋯と私は考えた。


 仮に、真面目な奴であればちゃんと『信頼する人』にしか話さないだろうが、正直『ならず者』や『荒くれ者』が集まる冒険者であれば「秘密と言われれば言われるほどしゃべりたがる連中がほとんどだろう」と予想。それが今回の『口コミ作戦』へとつながっている。


 実際、私の予想通りにいくかどうかはわからない。⋯⋯が、個人的には勝算は高いと見ている。


 ま、もしダメだとしてもまた次のやり方を考えればいいだけの話⋯⋯。なのでこちらとしては何ら問題はないのである。


 ちなみに、今回のこの『口コミ作戦』が採用されたのは、生活魔法クラブで初めての魔道具販売でその魔石に封入した魔法が私のオリジナル魔法だということで、私の販売方法の案を採用してくれたという経緯がある。


 なので、せっかく皆の厚意で『口コミ作戦』をさせてもらったので、できれば良い結果を出したいなと個人的に思っている。


「ラルフ! 明日はテイラーとレイカ先輩と店番交換だから早速、魔道具製作第二弾⋯⋯あんたの『鎌鼬の狂い刃(クレイジー・ウィンド)』の魔道具を製作するわよっ!!」

「ええっ!! 明日からもう製作するのっ?!」

「もちろん! だって見なさい! このお店にはまだ魔道具がこれだけしか置いていないのよ! これじゃ、あまりに寂しいじゃない!?」

「いや、ま、そうだけど⋯⋯」

「でしょ! じゃ、そうと決まれば今日はもう店仕舞いよっ!!」

「ちょ、ちょっとぉー! まだ、あと1時間あるから⋯⋯っ?!」

「もういいじゃない! それよりも店の置く魔道具をもっとジャンジャン増やすほうが先よ! さあ、さっさと扉閉めて後片付けするわよっ!!」

「ええええ〜⋯⋯」




 こうして、生活魔法クラブで製作した初めての魔道具が売れました。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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