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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第三章<セルティア魔法学園/生活魔法クラブ編>

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083「ドワーフに会いに行こう〜1000年前〜⑨」



「一体、誰が、いつ、何のために⋯⋯⋯⋯この世界の魔法の常識をすり替えたのか?」

「「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」」


(ゴズ村長の話に皆が言葉を失う。そりゃ、そうでしょう。こんな世界の常識をすり替えるなんてこと、そもそも誰がどうやってやるんだって話ですからね、まさに)


 と、ラルフがゴズの言葉を聞いて内心ツッコミを入れていると、


「い、いやいやいや⋯⋯! そ、そんな、世界の常識をすり替えるなんて、できるわけ⋯⋯」


 テイラーもまたラルフと同じような感想を言おうとした。すると、


「いや、そうとも限りませんよ?」

「⋯⋯え?」


 フリオがテイラーの発言に待ったをかける。


「世界の常識をすり替える⋯⋯一見、荒唐無稽に感じますが、しかし不可能というわけではないです」

「え? そ、そんな、どうやって⋯⋯?」

「『世界の常識をすり替える』⋯⋯それは言い方を変えれば『情報統制』とも言えます」

「情報⋯⋯統制⋯⋯」

「そうです。実際、我々セルティア王国でも現在進行形で(・・・・・・)やってますよ?」

「⋯⋯へ?」


 フリオの言葉に一瞬、言葉を失うテイラー。


「新聞ですよ、新聞」

「え? 新聞?」


 テイラーはフリオの説明にまだピンときていない。


「そうです。新聞は誰もが読んでいるでしょう?」

「は、はい」

「そんな誰もが必ず読む新聞に、もし⋯⋯そうですねぇ、例えば、他の国でウチが戦争をしていて、その戦況が劣勢・苦戦を強いられているとします」

「は、はあ⋯⋯」

「しかし、国王が国内の新聞社に『現在、戦況はセルティア王国有利だと書け!』と真実とは違う内容を新聞に書かせたらどうなると思います?」

「そ、そりゃ、国民は『有利なんだー!』って思うでしょうね」

「ええ、そのとおりです。でも、実際はどうですか?」

「いや、どうって⋯⋯そりゃ実際は戦況は劣勢・苦戦を強いられている⋯⋯」

「そうですね。でも、それってつまり⋯⋯?」

「国民を⋯⋯騙している」

「そうです。これが答えです。こうして、情報を⋯⋯」


 と、フリオが改めて説明しようとした時、


「で、でも! そんなのできるわけないじゃないですかっ?!」


 テイラーが大声を上げた。


「⋯⋯どうしてです?」

「いやだって⋯⋯! 国王が新聞社にそう書くよう指示したとしても、そもそも国王がそういう不正をしたら新聞社に弱みを握られることになりませんか?! そうなれば、逆に国王や国は新聞社に弱みを握られることになります。そうなると、今後新聞社は国に対して有利な要求ができるようになる⋯⋯。そう考えると、国王がわざわざ国民を欺くようなことをやるとは思えません! あまりに『うまみ』が無さすぎますっ!!」


 テイラーが自身の主張に「絶対の自信がある」と言わんばかりに声を張り上げ主張する。


「ふむ、なるほど。たしかにテイラー君の言っていることには一理あります。素晴らしい⋯⋯。その若さでそこまでの推測ができるとは⋯⋯⋯⋯やりますね、テイラー君」

「え? あ、ありがとう⋯⋯ございます」


 褒められると思ってなかったのか、フリオに褒められてドギマギするテイラー。


「たしかに、テイラー君の言っているように国王があまり派手にそういった権力を行使して好き勝手なことをやると新聞社に弱みを握られることはあるでしょう。しかし⋯⋯」

「?」

「セルティア王国ではその理屈は通用しません」

「ええっ?! ど、どうしてですか!?」

「現在のセルティア王国の現国王は既得権益貴族も味方につけていますので、もはや新聞社ごときにどうこうできるようなレベルではありません。逆に、大きな返り討ちに遭うでしょう。なので、先ほどの話の答えは『国民は騙されたまま』ということになります」

「そ、そんな⋯⋯っ!? それじゃ、一般市民がまともな情報を知ることなんて⋯⋯」

「ええ。少なくとも我が国では難しいでしょうね」

「「「「「⋯⋯⋯⋯」」」」」


 フリオの言葉にテイラーだけでなく、その場にいた皆が言葉を失う。


「国が大きな権力を持てば持つほど、情報は権力者の都合の良いように操作・統制されるのが常識です。そして、今の例え話で言うなら、一般市民がわざわざ戦地まで行って正しい情報を得るなんてまず無理ですし、仮にそういうことができる人がいたとしても少数の声に過ぎず、大衆にその真実が伝わることもないでしょう。もっと言えば、国の都合が悪い人間であれば殺されることだって普通にあるでしょう」

「⋯⋯た、たしかに」


 フリオの説明にとりあえずの納得を示すテイラーだったが、依然、自分の暮らす国が情報統制されているとはまだ信じられない⋯⋯といった顔をしていた。


「フリオ、ありがとう。さて、ではここで話を戻すかのぉ」


と、ゴズが改めて話を続ける。


「1000年以上前であれば今とは違ってもっとできることは少なかったじゃろう。まして、新聞などというものもないはず。じゃが、だからこそ、そういう時代であれば人々の常識をすり替えることはもっと容易だったワシは思う」

「容易⋯⋯ですか?」

「うむ。そして、そんな世界の常識をすり替えるほどの規模であれば、おそらく『集団』でその常識のすり替えである⋯⋯『情報統制』を行っていたと思われる。以上の可能性から『情報統制』を行ったのはおそらく⋯⋯」

「「「「「⋯⋯⋯⋯(ごくり)」」」」」


 皆がゴズの推察の解に注目する。



「宗教じゃ」


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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