052「ラルフ式生活魔法②」
「ラルフ君、このような告白をしたということは何か理由があるんだよね?」
フリオ先生が私の目を見ながら言葉をかけた。
「はい。私はこの『ラルフ式生活魔法』で魔道具を作りたいんです」
「何と! この今見せた生活魔法を魔道具に⋯⋯」
「はい。あ、でも、今見せた生活魔法だけじゃなく、今後いろいろな生活魔法を魔道具にしていこうかと⋯⋯」
「「「は? 今後も? いろいろ?」」」
「あれ?」
三人がまた私の言葉に硬直した。なぜ?
「えーと⋯⋯はい」
「はい、テイラー君!」
何かテイラーが挙手したので、私も何となくノリで『先生と生徒』風にテイラーに声を掛ける。
「それって、つまり⋯⋯⋯⋯今、見せた生活魔法以外にもあるってことか?」
「あ、いや、今あるわけじゃないけど。やればできそうだから⋯⋯」
「は? や、やればできそうだから〜⋯⋯? い、いや、そんなわけあるかよ! さっき見せた既存の生活魔法以外にあるってことは、それって新しく魔法を作るってことだぞ? お前、それをできそうって言ってんのか?!」
「え? まーうん。たぶん⋯⋯」
「マ、マジかよ⋯⋯」
絶句。テイラー絶句。
「オラー!」
「はい、レイカ先輩!」
何か挙手制になった。
「おい、ラルフ。お前、今テイラーに言ったことは本気で言ってんのか?」
「え? あ、はい」
「だ、だったら⋯⋯! 今、ここで新しい魔法作ってみろやっ!!」
「ちょっ!? レイカ先輩! マジっすか!! やめたほうがいいんじゃ⋯⋯」
なぜかテイラーがレイカ先輩を止めようとする。しかし、
「マジだよ、当たり前だろ! 本当にそんなことができるなら今ここで証明させたほうがいいだろ! ていうか、お前は何で止めようとすんだよ!!」
「だ、だって⋯⋯! もし⋯⋯もしも⋯⋯本当にラルフが新しい魔法を作り出すことができたら、何かすごい大事になりませんか?!」
「コ、コラ、テイラー! お、大事って何だよ⋯⋯!」
「まー常識がひっくり返る歴史の証人⋯⋯となるだろうね」
「「フリオ(先生)!」」
ここで、フリオ先生がテイラーが言いたいであろうことを語り出した。
「テイラー君の言う通り、今目の前で新しい魔法を生み出すことができたら、これはもはや歴史的偉業だ。これまでの歴史では誰一人として新しい魔法を作り出すことはできなかったからね」
「「っ?!」」
「しかも、その新しく生み出す魔法が『生活魔法』なら事はもっと重大だ。だって、六大魔法であれば主に貴族しか使えないが、生活魔法であれば基本誰でも『生活魔法の魔力回路』はあるので、理屈上は誰でも使える魔法となるからね」
「「っ?!!!!」」
フリオ先生の説明に、テイラーとレイカ先輩が真っ青になっている。ていうか、フリオ先生の説明を聞いて私は「自分と同じ認識だ」と確信した。
「フリオ先生。私はこの世界でもっと生活魔法を生み出して、そして、誰もが使えるように魔道具化して行きたいと思っています!」
「なるほど、そうですか。素晴らしいと思います。ですが、それを形にするのはかなりの困難が予想されます」
「! 既得権益を持つ貴族⋯⋯ですか?」
「そうです。そして、私やここにいるレイカ・シュバイツァー、そして、その親御さんであるシュバイツァー家はそんな『既得権益貴族』の反対勢力であります」
「ちょっ!? せ、先生! そんなこと、俺がいるところで話して大丈夫なんですかっ!?」
ここで、テイラーがフリオ先生に詰め寄る。しかし、
「君のことはちゃんと調べてあるよ、テイラー・バレンタイン君?」
「え?」
「君の家であるバレンタイン家はそうでもないが、君自身は『既得権益貴族』にうんざりしているだろ?」
「⋯⋯ど、どうして、それを」
「まーまー。とにかく、だからこそ私は今この場でこの話をしているのだ。君は『こっち側の人間』だと確信しているからね」
「⋯⋯⋯⋯」
「この国の腐敗がひどいのは誰もが認める事実だ。なのに、誰もそれを止めようとするものがいない。なぜなら現国王も『既得権益貴族』とズブズブだからね」
「フリオ先生⋯⋯」
「テイラー君はこんな国に嫌気を差しているのはよくわかる。我々も君と同じだ。だからこそ、どこかでこの国を変革する必要がある!」
フリオ先生が少し勢いよく言葉を強く言うと、
「おい、フリオ! 声でけー!」
と、レイカ先輩がスパーンと頭をはたいた。
「興奮し過ぎだっつーの! まー、わからないでもないがな。さて、ラルフ⋯⋯」
「は、はい!」
「早速、今この場で魔法を作ってみてくれ。話はそれからだ」
「わかりました」
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「ん〜⋯⋯」
「どうした、ラルフ?」
「あ、いや、どんな魔法を作ろうかなって⋯⋯」
「何? 決めてないのか?」
「え? あ、はい⋯⋯」
「いや、『はい』じゃねーよ! お前が魔法作れるって言うから、てっきり準備していると思ったのに⋯⋯!」
レイカ先輩から鉄拳制裁されそうになった。テイラーが何とか直前で止めてくれた。ありがとう、親友。
「す、すみません⋯⋯。じゃあ、そうですねぇ⋯⋯」
ということで、私は少し考えこんだ。すると、ある一つの創作してみたい魔法が出てきた。
「あ⋯⋯そうだ。これにしよう」
「決まったのか?」
「はい、決まりました!」
「よし、じゃあ、早速やってみろ」
「はい!」
レイカ先輩に促された私は、目を閉じ、両掌を胸の前に持っていき『大事なものを包み込む』ようなポーズで創作したい魔法をイメージしてみた。ちなみに、このポーズはただの思いつきだ。
(擦り傷や切り傷、あと打撲くらいまでなら完治できる⋯⋯そんな治癒魔法のイメージを⋯⋯えーと⋯⋯細胞が修復されるイメージで⋯⋯どう⋯⋯だろう?)
——その時、頭の中に『傷が癒える魔法イメージ』がはっきりと確認できた。
「で、できました⋯⋯!」
「「「⋯⋯っ!!!!」」」
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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mitsuzo




