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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第二章<セルティア魔法学園/入学編>

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046「学園に来て1ヶ月が経ちました①」



——入学式から1ヶ月が経過した


 現在、私は午後の最後の授業である『剣術・体術』を受けている。


 ビュッ! ビュッ! ビュッ! ビュッ! ビュッ! ビュッ!


「うむ⋯⋯実に良い太刀筋だな、ラルフ。さすが、幼少の頃から剣術をやっていただけのことはある!」


 専門科目『剣術・体術』の担任であるハンセン先生にめっちゃ褒められた。ちなみに、今は素振りをやっているのだがこの1ヶ月の間に剣術・体術経験者と未経験者とを2グループに振り分け、それぞれ課題を設けられていた。


 未経験者組であれば、夏休み前の6月末までに『まともな素振りができること』が課題となり、経験者組は『模擬戦ができること』が課題となった。ちなみにこれは『個人』ではなく『グループ課題』なので、この課題の意図としては『全員が課題クリアするためにはどうすればいいか』というのが主目的であった。


 つまり、『出来る者は出来ない者を助ける』という精神につながる課題である。


 私のいる経験者組は全員で6名いる。一見少ないように思えるだろうが実際は結構多い。ちなみに未経験者組はというと全員で3名しかいない。つまり、この『剣術・体術』の授業を受けているのは全員で9名しかいないので、6名という人数が多いのも(うなず)けるだろう。


「それにしても、今年の『魔法自由科』の一年生は全部で24名いるのにこの授業は9名しかいないのか⋯⋯」

「そりゃ、そうだろ」

「テイラー」

「先生も入学式の日のホームルームでも言ってたろ? 元々、必修科目は午前で終わって午後の授業は専門科目だけだって。だから、多くの貴族出身の生徒は派閥作りのための『お茶会』を開くって。そもそも、午後にそういう派閥作りができるのもこの『魔法自由科』の特徴でもあるしな」

「なるほど。で、テイラーはその⋯⋯『派閥作りのお茶会』は参加しないの?」

「しねーよ。ていうか、誘われてもいねーよ。ま、誘われても断るけどな。なんせ、俺は家を継ぐ気がないからな。そういうお前はどうなんだ? 辺境伯家だったら誘いもあるんじゃないか?」

「いや、ないよ。たぶん、辺境伯家だけど私の称号がほら⋯⋯⋯⋯『生活魔法っぽい称号(あれ)』だから」

「あ〜⋯⋯なるほどな」

「でも、正直『お茶会』なんか誘われても困るし、派閥作りなんて興味ないから結果オーライかな」

「そっか。まー家から派閥作りするようプレッシャーかけられているとかじゃないならよかったな」

「ああ」

「よし! んじゃ、もういっちょ、勝負するか! ちょうど勝敗は一勝一敗だし!」

「え〜、また〜⋯⋯」


 そう言って、テイラーが再度『模擬戦』の申し出をしてきた。まー模擬戦と言っても今は『身体強化(ストレングス)』以外の魔法は禁止されているので、ほとんど剣術のみの模擬戦となる。


 私はテイラーの誘いに面倒臭いと感じつつも、「ま、いっか」と応じようとしたとき、


「あ、ラルフ! 悪いけど、模擬戦お願いしてもいいかな⋯⋯」

「ライズ」


 声をかけてきたのは、平民出身のライズという男の子だった。ここ1ヶ月の間に友達になったクラスメイトの一人だ。彼は平民ではあるが父親が『ラミング商会』という大きな商会をやっていてそこの嫡男だった。なので、平民とは言っても『金持ちの平民』という普通の平民よりはだいぶ裕福な層の平民だった。


「じゃあ、俺はあっちでミリアと『体術模擬戦』やってくるわ」

「あ、うん。わかった」

「ごめんね、テイラー」

「いいって、いいって。じゃあな!」


 そう言って、テイラーは獣人のミリアのほうへと歩いて行った。ちなみに、このライズもそうだが、私とテイラーはこの1ヶ月で平民と獣人・亜人の生徒とはほとんど友達になった。おかげで楽しい学園生活を送れている。


 他に貴族の生徒は、2人ほど友達になった。その中の一人はミーシャ・セルティア第一王女で、あと一人は『エミリー・クライオット』という女の子だ。ちなみに現在は2人ともこの授業は受けていない。ミーシャは王族ということもあり『お茶会』に忙しく、結果、午後の専門科目の授業はほとんど取っていない。とはいえ、前に一緒になった『生活魔法基礎』と『魔石専門1』は取っている。


 ちなみに、このエミリー・クライオットはどうやらテイラーの幼なじみとのことだった。『幼なじみ』なんて前世ではいなかったし、密かに憧れる存在でもあったのでテイラーに「うらやましい」旨を話したところ、「そんな良いものじゃないから。いやマジで冗談抜きに!?」と、よく青い顔をしてそんなことを言っていた。


 私は「はい、はい」と言ってまともに取り合っていなかったが、いざ、エミリーに出会うとテイラーがあれだけ残念な顔をしながら話すだけのことはあったな⋯⋯と納得した。


 ミーシャもエミリーも体を動かすことは苦手だったようだが、そもそも二人とも立派な貴族であり、ミーシャに至っては王族なので『お茶会』はある意味、同世代の貴族の生徒と交流が図れる場でもあるので、それなりに優先順位が高い⋯⋯と、本人が以前そう言っていた。




「てぃやぁ! てぃやぁ!」


 カン! カン! カン! カン! カン! カン! カン!


 そんなことを考えながら、私は今、身体強化(ストレングス)も含めて『魔法一切禁止』の条件でライズと『模擬戦もどき』を行っている。


「うん、ライズ! やっと剣に振り回されないくらいには扱えるようになったようだね」

「あ、ああ⋯⋯あり⋯⋯が⋯⋯とう! はぁはぁ⋯⋯」


 ライズが荒い息を吐きながら剣を振るっている。私はそんなライズの剣筋を冷静に見極めながら指導していた。まーライズが「模擬戦やろう!」という声がけは、私には「指導して!」と聞こえるし、実際『指導模擬戦』となることが多い。


 とはいえ、それもそのはずで、ライズはこれまで剣術・体術など習ったことがない。⋯⋯にも関わらず、ライズは剣術を始めて僅か1ヶ月で、剣術の基礎や基本技を次々と習得していった。恐ろしいほどの上達速度である。


 そうして、指導模擬戦をしているとライズが体力を消耗したのか動きが悪くなってきた。


「もう、へばったのかい?」

「う、うるさい! はぁはぁ⋯⋯ちくしょう⋯⋯」


 その時だった。


「あ、いいな〜! ウチも混ぜるアル〜!」


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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