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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第二章<セルティア魔法学園/入学編>

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045「黄金世代《ゴールデン・エイジ》」



 時は少し戻って、入学式後の『ホームルーム』——が、そこは『魔法自由科』ではなく『魔法騎士科』の教室。セルティア魔法学園の中でもエリートだけが入ることを許されている学科のホームルームでの話。


 そして、その由緒正しき『魔法騎士科』で今挨拶をしたのは、ラルフと同じ日に王都の大聖堂で『神託の儀』を行った者で『火魔法特級士』の称号を得た生徒だった。



「ケビン・カスティーノだ! 以後よろしく頼む!」



 カスティーノ伯爵家の嫡男である彼は『火魔法特級士』という希少な称号を得た『選ばれし者』の一人。炎のようなその真っ赤で荒々しい髪はまさにその称号にピッタリな出立ちだった。


「あれがカスティーノ家のケビン・カスティーノ⋯⋯」

「元々、子爵家だったが神託の儀で得た称号で伯爵に陞爵(しょうしゃく)したんだよな」

「キャー! ケビン・カスティーノ様よー! 何てワイルドな方かしら!」

「ああ。それに、カスティーノ家は元々戦闘に特化した家だったからな。そんな戦闘特化の家の嫡男が初めて『火魔法特級士』の称号を得たんだ。期待は大きいだろうな」


 本来であれば、滅多に得られない階級である『特級士』を授かった生徒であれば大きな注目を一点に集めるのだが、しかし、今年の新入生で『特級士』なのは彼だけでなかった。



「初めまして。アリス・オネスティと申します」



 彼女もまた今年の新入生で『特級士』の階級を授かった一人で、名は『アリス・オネスティ』。銀色の長い髪と少し幼さの残るその儚げな顔は、まるで『天使』が顕現されたかと思うほどの美貌だった。


 そんな彼女の家である『オネスティ家』は、元々子爵だったがアリスが『神託の儀』にて『光魔法特級士』を得たことで、子爵から伯爵へと陞爵(しょうしゃく)したのだが、しかし、光魔法はただでさえ出現率が低い魔法属性である上、さらに『特級士』ともなればかなりレア中のレアなので、世間的には「伯爵どころか侯爵にしてもいいのでは?」という声も多く上がっていた。


「あれが『光魔法特級士』の称号を得たという者か⋯⋯」

「俺、『光魔法特級士』の生徒なんて初めて見たよ⋯⋯」

「あれだろ? たしか『浄化の天使』って二つ名が付いているっていう⋯⋯」

「ああ。何でも学園に入学する前から光魔法の1つである治癒魔法を使って色々と活躍しているらしいぞ」

「ああ、そうらしいな。俺が聞いた話じゃ、魔物の襲撃を受けた町や村に行って被害者を癒していると聞くぞ」

「マジかよ! まさに『天使』じゃねーか!」

「まったくだ。あの銀髪のキラキラと神々しい輝きは、もはや本物の『天使』と認定していいんじゃなかろうか?」


 そんなアリス・オネスティは先ほどのケビン・カスティーノ以上に生徒から注目されていた。


 しかし、今回の新入生の中にはあと二人(・・・・)『特級士』を得た生徒がおり、その二人の生徒もまた注目されていた。そのうちの一人が、



「は、はは、初めまして! マリアです! へ、平民です! よ、よろしくお願いします!!」



 ざわっ⋯⋯。



 彼女の名は『マリア』。


 ただのマリア。⋯⋯そう『平民』である。そんな彼女がなぜ『魔法騎士科(ここ)』にいるかと言うと、


「お、おい、あれが例の⋯⋯平民から『特級士』が出たっていう⋯⋯」

「あ、ああ、間違いない。『水魔法特級士』の称号を授かったという女で、平民連中から『水女神(みずめがみ)のマリア』と呼ばれていて、平民の『希望の星』として期待されている子らしい」

「⋯⋯平民か。まったく、どうしてこのようなことが起きるのだ? 本来、『特級士』などという神にも等しき力であれば貴族に授からないのはおかしいのではないかっ?!」

「本当だね。僕も納得がいかないよ」

「お、おっしゃる通りです⋯⋯。マルコ様、フロイド様」

「しかし、『神託の儀』でその称号を得られた以上、それは『神の采配』であり、仕方のないことなのでは?」

「なんだ、オーウェン? 貴公は平民の肩を持つのか?」

「⋯⋯いや、別にそういうわけではないが」

「フン」


 平民でこの『魔法騎士科』に入学したのは実に10年ぶりということもあり、マリアは『色々な意味』で大きな注目を浴びていた。


「フン、まあいい。しかし、このマリアという平民の子以上に、このもう一人のこの平民が『特級士』を得たという事実が実に納得いかん! さらに言えば、このような無礼で不潔な男がこの権威ある『魔法騎士科』にいること自体、極めて不愉快だ!」


 と、その『マルコ様』と呼ばれた貴族の生徒は、『特級士』を授かったもう一人の平民の男にワザと聞こえるようにそのセリフを吐き捨てた。



「⋯⋯リベラ」



 しかし、そのマルコの言葉をまるで聞いていないかのように特に反応することなく、『黄金世代(ゴールデン・エイジ)』最後の一人である『リベラ』は名前だけの挨拶をしてすぐに腰を下ろした。


「あれが『闇魔法特級士』を授かった平民の子か⋯⋯」

「『闇魔法特級士』⋯⋯一体、どんな魔法なんだろうな?」

「まー洗脳魔法とか催眠魔法といった精神系にアジャストする魔法だとは聞いたことあるが⋯⋯よくはわからないな」

「ていうか、そもそも闇魔法なんてかなり珍しいからな?! 光魔法以上に!」

「⋯⋯だな。しかし、それを差し引いても闇魔法の⋯⋯しかも特級士だなんてな。話だと王族もこの『リベラ』という男には目をつけているらしいって噂だ」

「ええっ!? そうなのか!!」

「あくまで噂だぞ? まーでも謎が多い闇魔法だしありそうな話ではあるけどな⋯⋯」


 こうして『魔法騎士科』では、ラルフの預かり知らぬところで様々な問題が水面化で蠢いていた。


 ラルフと同い年の子らは『神託の儀』で階級が『特級士』である称号を授かった者がここ十年の中で最も多く排出された。そのことから、今年の新入生は『黄金世代(ゴールデン・エイジ)』と呼ばれている。⋯⋯とは言っても、実際『世代』という言葉の使い方は間違っているが。おそらくこの『黄金世代(ゴールデン・エイジ)』という呼び名がかっこいいと思ったんだろうなと推測される。


 いずれにしても、今年の『魔法騎士科』にはこれまでにない多くの『特級士』の子供達が入っているため、学園内外からは『歴代最強』とすでに注目されていた。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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