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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第二章<セルティア魔法学園/入学編>

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036「お昼休み②」



「テイラー、元平民出身の貴族って結構いるの?」

「いや、そんなにはいないと思うぞ。ちなみに『魔法自由科(ここ)』には俺以外はいないな。ていうか、そもそも平民出身の貴族は学園に通うのは避けると思うぞ」

「え? 何で?」

学園(ここ)だと、本物の貴族連中がいるから俺みたいな平民出の成り上がり貴族はいじめられやすい。だから、学園へ入学せずに領地に留まって父親のもと領地経営を学ぶのが多い」

「なるほど。あれ? テイラーは大丈夫なの? いじめられたりするのは怖くないの?」

「全然。ていうか、こっちが手を出したら勝っても負けても俺には『損』しかないからな。全力で逃げるさ」

「やっぱ、貴族の生徒って、その⋯⋯嫌な性格してるの?」

「いや、ラルフも貴族だろ?⋯⋯って、そっか。ラルフは他の貴族との交流なく育ってきたんだっけか。悪ぃ、悪ぃ⋯⋯。まーそうだな、ハッキリ言ってほとんどが嫌な奴ばっかだ。でも、その中でも特に酷いのは『既得権益貴族』の奴らだ」

「既得権益貴族? それって⋯⋯」

「⋯⋯ああ。実質、今の王国の重要ポストにいる貴族のことだ。そいつらの子供(ガキ)が⋯⋯かなり酷い」


 テイラーの話では、相当やりたい放題な連中らしい。


「そう⋯⋯なんだ」

「ああ。だから、ラルフも気をつけろよ。絡まれたらすぐに逃げろ!」

「う、うん。わかったよ。ありがとう⋯⋯テイラー」


 テイラーが俺のことを心配してか、最初とは違って真剣な表情で言葉をかけた。


 いや、本当に良い人だな⋯⋯この人。



********************



「⋯⋯それにしても、『魔法自由科』でテイラー以外に平民出身の貴族がいないなんて⋯⋯。平民から貴族に成り上がるのって大変なんだね」

「まーそうかもな。ちなみにウチは両親ともに前の戦争ですげー活躍したらしくてよ。それで子爵位を賜ったのさ。ていうか、それを言ったら『ウォーカー家(ラルフんとこ)』もそうだろ?」

「あ、そうだね」


 ウチは平民上がりではないが。子爵家から辺境伯家への陞爵(しょうしゃく)成り上がりだ。


「しかも、ウチの親父と同じように魔法を剣や拳に纏って戦うスタイルだよな!」

「うん、そうだね! でも、そのスタイルってあまりいないって父上から聞いていたけど⋯⋯テイラーのお父さんも同じスタイルで戦う人だなんて⋯⋯すごい奇遇だね!」


 そう。父上はテイラーが言うように『魔法を剣や拳に纏って戦うスタイル』だ。そして、父上はこのスタイルで戦える人は少ないとも言っていた。ちなみに私やヘンリーはこの戦い方は教わっていない。おそらく当時の父上の判断だろう。


「本当だよ! ていうか、俺も初めて会ったよ⋯⋯親父と同じスタイルで戦う父親を持つ同級生なんて!」


 テイラーの話だと、この『魔法を剣や拳に纏って戦うスタイル』はこの前の戦争で確立したスタイルらしく、このスタイルだと例え称号の階級が低い者でも、剣技や拳の技などが卓越していれば、上級士以上の活躍ができたとのことだった。⋯⋯すごい。


「それにしても⋯⋯⋯⋯」

「ん?」

「俺が言うのも何だが、ラルフって辺境伯家の子供に見えね〜よな。そもそも辺境伯家の前は子爵家で貴族だったんだろ?」

「う、うん」

「そうだよな〜。でも、話しているとラルフって俺と同じ元平民みたいな感覚なんだよな〜」


 まー前世は日本の一民間人だからね。そりゃ、そう感じるのも無理ないだろうな。


「ふふ、そう? ありがとう」

「いや、今お礼言うところか? あ、いや、でも⋯⋯⋯⋯まーいっか!」

「ああ、まーいいよ!」



********************



——午後/生活魔法基礎


 お昼休みが終わると、私とテイラーはそのまま『生活魔法基礎』の教室へと向かった。ちなみに、教室までの間、テイラーと「貴族の生徒なんてほとんどいないだろうな〜」などと話をしていた。


 そんな話をしながらということもあり、教室へはあっという間に到着。テイラーが元気よくガラッとドアを開けると、



「「えっ?! ミ、ミーシャ・セルティア⋯⋯第一王女様っ!!!!」」



 すぐ目の前に、セルティア王国第一王女のミーシャ・セルティアの姿があった。


 私とテイラーは見事にハモった。


「あら? ごきげんよう? どうしたの? 入らないのですか?」


 王女様はそう言うと、中へ入るよう促した。


「えっ!? あ、いえ⋯⋯その⋯⋯」

「は、はい。前を、失礼いたします!!」


 突然のことに驚いた私とテイラーは、一言断ってから教室の中へと入っていこうとした。すると、


「あら? そう言えば、あなた⋯⋯ウォーカー辺境伯家の⋯⋯」

「っ!?」


 私はまさか王女様に声をかけられるとは思っても見なかったので、すぐに返事ができずにいた。


「あ、え、あ⋯⋯はい。ウ、ウォーカー辺境伯家の嫡男⋯⋯ラルフ・ウォーカーです」

「やっぱり!」


 そう言って、王女様がパン!と柏手を打って微笑んだ。


「ラルフ・ウォーカー! 昨日の自己紹介⋯⋯立派でした!」

「ええっ?! あ、ありがとう⋯⋯ございます」


 何を話されるのかと思ったら自己紹介の話だった。ていうか、私、そんな特別な自己紹介をした覚えはないのですが⋯⋯。


「と、ところで⋯⋯」


 私はこの時、ただ何気に、本当にただ何気に、王女様に質問を投げた。


「王女様もこの『生活魔法基礎』を受けられるのですか?」

「! ええ、そうよ」

「ということは、称号が生活魔法関係とかなんでしょうか?」

「お、おいっ!! バ、バカ⋯⋯っ!?」


 横で、テイラーが何か青い顔をして私に何か必死になって呼びかけているようだったが、私には彼の声が全く聞こえなかったので、特に気にしないで会話を続ける。


「いいえ、違うわ。私は『六大魔法士』よ」

「じゃあ、何で生活魔法基礎を?」

「⋯⋯!」


 一瞬、王女様がピクッと体を硬直させた気がした。



 そして、



 それはあまりにも、



 突然だった。



——スッ



「! お、王女⋯⋯様?」


 突然、王女様が私に近づき、耳元でそっと告げる。


「(ボソッ)それは⋯⋯⋯⋯生活魔法に大いなる可能性を感じているからです」

「っ!?(ボフン!)」


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


毎日13時更新(現在は投稿休止中。二週間〜1ヶ月以内に再開予定)。


よかったら、こちらもお読みいただければ幸いです。


mitsuzo


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