123「幕間:魔法騎士科1年生たちの憂鬱(1)」
——ケビン・スレイプニールの場合
「ラルフ・ウォーカー⋯⋯。あいつ、マジで何者だよ⋯⋯?」
生活魔法クラブから寮に戻ってきた俺は、制服のままベッドに寝転んだ。
「オリジナル魔法なんて⋯⋯ただでさえ、あり得ないのに⋯⋯それが1つじゃないなんて⋯⋯しかも、そのどれもが⋯⋯やばすぎな魔法だし⋯⋯」
さっき、生活魔法クラブで俺や他の部員たちは、ラルフ・ウォーカーの新しいオリジナル魔法を紹介され、そして、その魔法を⋯⋯⋯⋯貰った。
「貰ったって何だよっ?! ていうか、魔法を相手に渡すって何だよっ!! 魔法の常識が無いのかよ、あのバカっ!?」
別にラルフ・ウォーカーは誰か人を傷つけることをしたわけでもなければ、酷いことをしたわけでも当然ない。だがしかし、
「あ、あまりにも、常識外れ、規格外過ぎて⋯⋯しかも、それをさも当たり前のように、嬉々として魔法を紹介するわ、さらにその魔法をあげるとか⋯⋯! 意味、わかんねーよっ!!!! はぁ、はぁ、はぁ⋯⋯」
俺は外に声が漏れないようにベッドの枕に顔をくっつけて大声で叫んだ。
「⋯⋯ふぅ」
一通り、思いの丈をぶちまけた俺は、改めて冷静になって生活魔法クラブの出来事を振り返った。
「それにしても、最初にあいつが紹介したあのオリジナル魔法⋯⋯たしか『超電磁砲』だっけ? あれ、やばすぎだろ?!」
王都の森に行って、ラルフのその魔法を初めて見た時、俺は戦慄を覚えた。
あれは何だ? 俺にはまるで『神の怒り』のように思えた。
あいつが右手をかざし、岩山に向けて人差し指と中指を突き出すと、そこから『光の砲弾』が射出した。そして、その射出した光の砲弾が岩山にぶつかると、岩山が破壊⋯⋯されるのではなく、中をくり抜いて貫通していったのだ。
「あんな、厚さ数十センチ⋯⋯いや、それ以上の岩山をくり抜き貫通させるなんて⋯⋯あの光の砲弾は相当な密度の濃いエネルギーに違いない。しかもあれだけの貫通力だ⋯⋯恐らく、あの光の砲弾は高回転しているんだろう。いずれにしても、今まで見たことも聞いたこともない威力だった⋯⋯」
今でも、あの『超電磁砲』の魔法を思い出すだけで、手に汗が滲んでくる。
「そ、それに、その『超電磁砲』の魔法は生活魔法に位置するわけで⋯⋯。しかも、その『超電磁砲』の魔法は、俺たち生活魔法クラブの部員全員に伝授するなんて⋯⋯」
正直、この『超電磁砲』魔法だけで、戦場では一騎当千の活躍を約束されるだろう。それを無償で提供する⋯⋯なんて⋯⋯。
「あいつは、魔法の天才なのか、ただの大バカ野郎なのか⋯⋯」
いや、それはもう答えが出ているか。
「ただの大バカ野郎だったわ⋯⋯」
——アリス・オネスティの場合
「ラルフ・ウォーカーか。あいつ、規格外も甚だしいでしょ?」
さっき、生活魔法クラブでラルフが作った『オリジナル魔法』を3つ見せられた。
1つは『超電磁砲』という攻撃魔法だった。
「あれは何? 雷? いや違うか? 光の砲弾⋯⋯って言ってたっけ?」
それにしても、凄まじい威力だった。何せ、王都近くの森で大きな岩山で試したらその岩山をくり抜いて完全に貫通させていたんだもの。
そして、2つ目が防御魔法で、私はその防御魔法に釘付けになった。
「⋯⋯防御魔法『打撃反射』と『|魔法反射』か」
ラルフが2つ目に見せた防御魔法。それは、物理攻撃を反射させる防御魔法『打撃反射』と、魔法攻撃を反射させる『魔法反射』の2つだった。
「物理攻撃も魔法攻撃も反射させる魔法を作るだなんて⋯⋯しかも⋯⋯重ねがけできるとか⋯⋯信じられない!?」
そう、ラルフが生み出した防御魔法『打撃反射』と『魔法反射』は重ねて展開することが可能である。それは、つまり、
「打撃も魔法も通用しない⋯⋯完璧な防御魔法ってことじゃない⋯⋯!」
もちろん、ラルフは「万能ではない」と言っていた。自分の能力を超える打撃や魔法攻撃であれば完全には防御できないし、実力差があれば通用しないと言っていた。
「それでも⋯⋯それでも、この魔法がどれだけ凄いことか⋯⋯なのに、あいつは⋯⋯ラルフは⋯⋯この魔法の価値がわかっていないのか、ヘラヘラしているし⋯⋯!」
正直、ラルフの常識の無さにほとほとうんざりする。でも、
「悔しいけど⋯⋯あいつはすごいし、何より頼りになる。⋯⋯⋯⋯はっ?!」
不意に口から出た言葉に、気づいたアリスが顔を紅潮させた。
「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵というぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」
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『毎週土曜日13時更新』です。
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mitsuzo




