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生活魔法で異世界無双〜クズ魔法と言われる生活魔法しか使えない私が、世界をひっくり返すまでのエトセトラ〜  作者: mitsuzo
第三章<セルティア魔法学園/生活魔法クラブ編>

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110「巡り合わせ〜ラルフと魔法騎士科の面々(5)〜」



「は、初めまして! 魔法騎士科1年のケビン・スレイプニールです! スレイプニール伯爵家の嫡男です! 称号は『火魔法特級士』です!」

「初めまして。魔法騎士科1年アリス・オネスティです。オネスティ伯爵家の長女です。称号は『光魔法特級士』です」

「マ、マリアです! 平民です! 称号は『水魔法特級士』です!!」


 魔法騎士科の1年生の突然の入部。


 さっきまで、ソアラちゃんとセリと3人で魔道具開発の部屋より奥にある会議室として利用している部屋で「次の魔道具にする魔法は何がいいか?」という話になり、そこで私が「こういうのはどうですか?」ということで、自分が「この魔道具あったら便利だろうな〜」という『ラルフ式生活魔法』のいくつかを見せていた。


 すると、「2人が何それ! どうやったっ!?」と驚くと同時に色々と詰め寄ってきた。最初いろいろと答えていたが、あまりに何度も聞いてきて説明が面倒くさくなっていたタイミングでレイカ先輩が入ってきて「おい、お前ら! 魔道具開発部屋に集合だ!」と声をかけられたので、私はその『助け舟』に乗っかった。


 しかし、2人は「「あ、逃げた!」」と言って、後ろからついてきて執拗にさっき色々見せた『ラルフ式生活魔法』についての説明を求めてきた。そんな流れで部屋に入ると見知らぬ生徒がいたのと、私⋯⋯というより私の後ろから「「説明しろ、ラルフ・ウォーカー!」」とギャーギャー騒ぐソアラちゃんとセリにその部屋の全員が凝視していたので、私は2人に注意すると、さすがに周囲を見るだけの冷静さを取り戻した2人が気まずそうに黙り込んだ。


 その後、フリオ先生が部屋にいる3人の生徒らに自己紹介するよう促すと、その3人が自己紹介を始めた。それを聞いて3人が『生活魔法クラブへの入部希望者』だということが判明した。


「それにしても、ここ最近、入部希望者ラッシュだよな〜」


 と、テイラー。たしかにテイラーの幼なじみのエミリーや、シルフェ・ヴァンディス共和国第三王女セリーナ・シルフェーことセリの入部はつい最近のことだ。


「だね。それに、入部希望者以外だけじゃなく生活魔法クラブに関わる人も増えたよね」

「たしかに」


 そう、入部希望者ではないが『生活魔法クラブに関わるようになった人』という大きな括りで言えば、ドワーフの住むイツクール村の魔道具加工職人であるハーフリングの『ソアラちゃん』や、生活魔法クラブで開発した魔道具を卸している『ラミング商会のライズ』がそれにあたる。⋯⋯あと『レオンハート・セルティア第二王子』なんかもそうだよね。


 そんな感じで少し感慨深げにテイラーと話をしていると、


「さて、皆さん⋯⋯実は今回この魔法騎士科の3人が入部してきた理由ですが、どうやら『既得権益貴族の生徒』たちにちょっかいを出されているらしく、それで我々が『既得権益貴族に反旗を翻している者』ということを知って生活魔法クラブに入部しにきた⋯⋯というのが実情です」

「え? そうなの?」


 フリオ先生の話を聞いて、思わず私は3人に確認を取る。


「あ、ああ。あと具体的に言えば、俺の家⋯⋯スレイプニール家に『既得権益貴族』と彼らとズブズブに関係を続け、その恩恵を享受している『現国王と第一王子』の打倒⋯⋯という話を『反体制派の貴族』から持ちかけられたと親父が言っていた。あと、父の話だとその貴族が俺に『生活魔法クラブに協力して欲しい』と頼まれていたんだ」

「「「「「ええっ!!!!」」」」」


 私の確認に答えたのはケビン・スレイプニールという貴族の子で、その彼が話をした内容には私だけでなく、そこにいた生活魔法クラブの生徒やフリオ先生も驚いていた。


「ケ、ケビン君。その『反体制派の貴族』とは誰なんだい?」

「そ、それが⋯⋯」


 ケビン君の話だとどうやらそれはわからないとのこと。父親がそれについては教えてくれなかったそうだ。


「⋯⋯なるほど。恐らく、知ってしまうと、ケビン君に危険が及ぶだろうと考えての判断⋯⋯といったところでしょうか」

「す、すみません」

「いえいえ、謝ることはないですよ」

「ただ、父から『生活魔法クラブへの協力』を頼まれたものの、どうしたらいいかわからずにずっと過ごしていたのですが、今回このマリアちゃ⋯⋯マリアが既得権益貴族の生徒らにちょっかいを出されたのが、皮肉にもここに足を運ぶきっかけとなった次第です」


 なるほど。そういうことだったのか。でも、他の2人もケビン君と同じ理由なのだろうか?


「二人もケビン君と同じ理由での入部希望ということでしょうか?」


 フリオ先生が私の聞きたいことを代弁するような形で聞いてくれた。


「あ、はい。そう⋯⋯ですね。でも、それ以外に⋯⋯⋯⋯単純に『生活魔法』に興味があります!」

「あ、私も⋯⋯です!」


 と、二人が返事を返す。


「六大魔法絶対主義のこのセルティア王国⋯⋯いえ、世界全体でも六大魔法は優秀、生活魔法はクズ、なんて風潮ですが私は個人的にそこに疑問をずっと感じてました」

「アリス?」

「六大魔法は六大魔法で、生活魔法は生活魔法で、それぞれの魔法の個性・特性を伸ばせばいいと思っています。なのに、実際は生活魔法については最初から『使えないクズ魔法』と切って捨てるこの風潮が正直嫌いです。何より、こういうことを口に出すこともいけないというこの空気感も息苦しくて大嫌いです」


 アリスが皆に対して、ここぞとばかりに声を上げる。


「⋯⋯結果的に、マリアの件でこの生活魔法クラブのことを知ったのですが、でも、これまで話してみて、もしかすると私の想いに近い人たちじゃないかと感じました。なので、私は自分の想いのために入部したいです!」


 普段の感情をあまり表に出さないアリスの熱量増し増しな言葉を聞いて驚くケビンとマリア。同時に生活魔法クラブの面々もアリスの最初の印象とは違う姿にしばし呆然としていた。⋯⋯が、


「ふん、なかなかいいじゃない。アリス・オネスティ! 気に入ったわ!」

「レイカ君?」

「あんたら3人の入部、私が認めるぜ! フリオ、みんな、異論はないな?」


 まー、レイカ先輩にそんなこと言われたら⋯⋯ねー。当然皆に異論はなかった。ていうか、実際、レイカ先輩がどうこうでもなく、皆、この3人の入部は全会一致で認めていたけどね。




 そんなわけで、魔法自由科以外の⋯⋯しかも、このセルティア魔法学園でも花形学科である魔法騎士科から⋯⋯さらにその中でも特別な『特級士』の称号を持つ3人が生活魔法クラブの一員となった。


「イフライン・レコード/IfLine Record 〜ファンタジー地球に転移した俺は恩寵ギフトというぶっ壊れ能力で成り上がっていく!〜」

https://ncode.syosetu.com/n3084hz/


『毎週土曜日13時更新』です。


よろしくお願いいたします。


mitsuzo


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