Alice in the world of curse
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あたしは、パパを知らない。
あたしは、パパを尊敬してる。けれど……。
あたしは、パパの仕事が嫌い。嫌いと言うより、憎んでいる。
物心ついたころ、パパはもうこの世にはいなかった。
ママがパパの画像を全部消去したから、あたしはパパの顔さえ知らなかった。
ある時ママは、あたしの顔を見て寂しげに言った。
あなたは、パパに似てるね、って。
その後、ママの目からは涙がこぼれ落ちた。
そんなママを見るのが、あたしは嫌だった。ママが泣くのを見たくはなかったから。
泣かないで。
そう言うと、ママはいつも困ったように笑う。
そして、ママの目にはまたみるみる涙がたまっていった。
ママは、パパが大好きだった。
ううん、今も大好きなんだと思う。
だって、パパの事を話すママの顔はとても嬉しそうだから。
でも、あたしはそんなママを見るのがつらかった。ママの時間は、パパが死んだ時から止まってしまったみたいだったから。
あたしは、秋が嫌い。
家の庭先にパパの好きな花が咲く季節が。
花を手折りながら涙を堪えているママの背中を見るのが嫌だったから。
どうしてママだけが苦しまなければならないの?
どこまでママを苦しめれば気がすむの?
あたしは、パパの仕事が嫌い。
あたしとママを苦しめ続けるパパの仕事が嫌い。
待っていて、ママ。
見ていて、パパ。
あたしが仕返しをしてあげるから。
パパとママを滅茶苦茶にした『存在』に思い知らせてやるから。
だから、見守っていてね。
必ず……。
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