サスケとコジロウ、三度目の正直! それとも、仏の顔も三度まで? の巻
「ニンニン!」
「ニンニンニン!」
空飛ぶ忍者のサスケとコジロウは、風を目いっぱい受けたふろしきを、まるでパラシュートのように操りながら、暗い夜空を飛んでいきます。
「ニンニン! コジロウ、今度こそ邪魔するんじゃないでござる!」
「ニンニンニン! わかってるでござるよ、サスケこそ、邪魔しないでほしいでござるよ!」
サスケとコジロウは、同じ忍者学校で勉強する、忍者仲間でした。でも、今までに二回、任務中に大ゲンカして、任務を失敗してしまったのです。そんな二人に、忍者学校の先生たちはカンカンでした。
「サスケ、コジロウ! お前たち二人はいつもいつもケンカばかりしおって! 協力して任務を成功させろと、あれほどいったにもかかわらず、二度も失敗するとは、なんたること! ……忍者学校のおきてのことは、わかっておろうな?」
忍者学校の校長先生から、鬼のような顔ですごまれて、さすがのサスケとコジロウも、ブルブルガタガタふるえあがってしまいました。
「よいな、最後のチャンスだ。……今度こそ任務を成功させるのじゃぞ! もし失敗したら、どんなおしおきを受けるか……わかっておるな?」
サスケもコジロウも、こうなってはうなずくほかありませんでした。
「ニンニン! せっしゃはおしおきだけはうけたくないでござる! コジロウ、今日だけは協力してがんばるでござる!」
「ニンニンニン! せっしゃもおしおきは絶対いやでござる! どんなおしおきをされるかは知らないでござるが、とにかくサスケと協力するでござるよ!」
ブルブルふるえながら、二人は夜空を飛んでいきます。と、そんな二人に、ひゅんっと手裏剣が飛んできたではありませんか。
「ニンニン! コジロウ、なにするでござる!」
「ニンニンニン! サスケこそ、また手裏剣を投げたでござるな!」
二人ともまたしても、ふろしきで空を飛びながら、にらみあって手裏剣を構えました。そんな二人の様子を見て、ケケケとだれかが笑いました。
「ニンニン! 何者でござる!」
「ニンニンニン! そこにいるのはわかっているでござるよ!」
サスケとコジロウが、同時に手裏剣を投げました。キィンッと音がして、手裏剣が空中ではじかれます。
「ケケケ、せっしゃはコウモリ忍者のハンゾウでござる。お前たちの任務、邪魔させてもらうでござるよ」
そこにいたのはなんと、敵の忍者学校の生徒、コウモリ忍者のハンゾウだったのです。これにはサスケもコジロウもびっくりぎょうてんです。
「ニンニン! どうしてお前がここにいるでござる!」
「ニンニンニン! さてはせっしゃたちにおしおきを受けさせようとして、待ちかまえていたでござるな!」
「ケケケ、おしおきだと? なんのことだ? せっしゃはただ、お前たちの任務を邪魔する任務を受けただけでござる。任務に失敗したら、校長先生からきつーいおしおきを受けるでござるよ……。だからサスケとコジロウ、お前たちはここでやっつけてやるでござる!」
さあ大変です。サスケとコジロウ、そしてハンゾウが、お互いにいくつもいくつも手裏剣を投げまくり始めたのです。手裏剣は夜空を、あっちにこっちに飛んでいきます。……でも、あれあれ? いったいどういうことでしょうか? なんだか三人が投げているにしては、手裏剣の数が多いような……。
「ニンニン! ちょっと待つでござる! なんだか変でござるよ!」
「ニンニンニン! 光る手裏剣なんて、ハンゾウお前持っていたでござるか?」
「ケケケ、そんなもの持っていないでござる! お前たちこそ持っていないでござるか?」
そうです、なぜか三人のまわりを、光る手裏剣がいくつもいくつも通過していたのです。ですが、じっとその光る手裏剣を見ているうちに、三人はとうとうその正体に気づいたのでした。
「ニンニン! ひぇぇっ! これ、本物の流れ星でござる!」
「ニンニンニン! ひぃぃっ! 本物の流れ星がいっぱい降ってきたでござるよ!」
「ケケケ! こりゃたまらん、逃げるでござる!」
あっちこっちから、流れ星たちがいっぱい落ちて降ってきます。そしてそのたびに、『お祭りだ、お祭りだ! 流れ星のお祭りだ!』と、ワイワイ声が聞こえてくるのです。どうやらこの流れ星たち、サスケとコジロウ、ハンゾウの手裏剣合戦を見て、面白そうなお祭りがやっていると勘違いしたようです。
「ニンニン! ひぇぇっ!」
「ニンニンニン! ひぃぃっ!」
「ケケケ! 助けてぇっ!」
こうしてサスケとコジロウ、そしてハンゾウは、必死に流れ星たちをよけまくり、ヘロヘロになって逃げ帰りました。もちろん任務も失敗です。そして、こわーいこわーいおしおき……こちょこちょ十文字を食らって、一日中笑い転げてしまいましたとさ。
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