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第27話 町民体育祭 (10)

 町民体育祭が終わり、車を停めた場所に向かう歩の足取りは未だにぎこちなかった。


「痛ててて……」

「ったく、ちゃんとストレッチしたの?」


「してない」

「帰ったら湿布貼りなさいよ」


「うぅ、あの匂い苦手なんだよね」


 下り坂を一歩踏み出す度に、ぴきぴきと足が痛む。足取りの遅い歩に付き添いながら、花江が思い出したかのように隣を見る。


「あ、そうだ。

 今日の夜は、田中さんから是非打ち上げに来て下さいって誘われていたんだったわ」

「打ち上げ?」


「毎年体育祭の選手と役員が集まって、公民館で簡単な打ち上げをするのよ」

「ふーん。じゃあ、ご飯は適当に食べるからゆっくりしてきてね」


「何、他人事みたいに言ってるのよ。

 歩もお呼ばれされてるから」

「はぁっ!? 何で!?」


「リレー、走ったでしょう」

「あ……」


「別に無理に行かなくても良いけど?」


 地域行事など全く参加したことのなかった自分が、見知らぬ人達との打ち上げに参加しなければならないことに気が滅入る。

 正直参加したくはないが、選手と役員が参加する、ということはおそらく春海も来るに違いない。リレーが終わり、再び本部席に向かった春海の後ろ姿を見送った事を思い出す。


 どうしよう、どんな顔して会えば良いか分からないけど──会いたい。



「…………行く」


「そう。

 それなら六時前には行くから」


 散々悩んだものの、ようやく決めた結論を口にする。そんな挙動不審な歩の態度を気にすることなく、花江はそのまま車に乗り込んだ。

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