プロローグ
巨大な魔物…ワイバーンの咆哮が神奈川の最奥に轟く。 俺たち第三魔法剣士育成学校アルカナ高校の第一部隊は腰に携えた剣を取出しワイバーンを睨む。
「あのワイバーンはこの辺りを統括しているボスだ!奴さえ討伐出来ればこの辺りの地区は魔物から解放される!」
俺の叫びは部隊全体に響き、皆は顔を引き締めて剣を構える。 俺は剣を掲げ再び叫ぶ。
「奴を討伐し、誰一人掛けずに学園に帰るぞッ!!」
ウオォォォッ!!
部隊の皆は雄たけびる。 ワイバーンは此方を睨みながら羽を羽ばたかせて空に飛びあがる。
「行くぞ皆ッ!!戦闘開始ッ!!」
俺の叫びと共に俺を含む部隊の皆はワイバーンに向かって走り出した。
☆
俺は和泉 流夜。 現在アルカナ高校第一部隊で隊長をしている。
いきなりだけど俺はこの世界の人間じゃない。 いや、正確には少し違う。 俺は別の次元からこの次元にいる俺の中に入ってしまったのだ。
俺が住んでいた次元には魔物なんて物は存在していなかったしこの世界みたいにそこら辺にあったであろう建物が崩れ落ちてない。 本当にごく一般な面白味のない世界だった。
どうしてこの次元にやって来てしまったのか、どうやって帰るのかは未だに分かっておらず現在は隊長をしながら調査も行っていた。
過去に同じ事象が起きた例は無いが、どうやらこの次元は別の次元から多くの物が流れ着いているようだ。 実際この次元で俺も元の次元で見た事のある物でありこの次元には無い物を見ている。
これらの理由から来る方法が何かしらあり、それさえ突き止める事さえ出来ればそこから帰る方法がわかるかもしれないという事で調査を続けている。
話を戻そう。 俺は元の次元では一般家庭の生まれで、何か特別な特技があったわけでも不思議な力を持っていたわけでもない。 そんな俺がどうしてこんなTHE ファンタジーな世界で戦っているのか、そこには少し…いや、かなり複雑な理由があったのだ。