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1/6

プロローグ



かつて、このせかいには、はかいところしをくりかえすりゅうがいました。


そのりゅうは、すうひゃくねんもあっとうてきなつよさをほこっていましたが、いつしか、はかいところしにあき、いきるいみをみいだすことができなくなりました。


とうじ、ひともけものも、ちっぽけなそんざいでしかなく、せかいは、りゅうやあくま、まじゅうなどのはしゃがそんざいし、せかいはあらそいのたえないじだいだったのです。


そんなじだいにいきたりゅうは、はかいところしいがいのたのしみがほしくなりました。


ただ、あらそいのじだいには、うばうかうばわれるかのたった、ふたつのことわりがしはいしていたので、りゅうののぞみは、かなえられそうにありませんでした。


りゅうは、せかいをながめます。


あらそいがにくしみをうみ、そのにくしみが、あらたなにくしみをうむことに、りゅうはきづいたのです。


なんと、おろかなせかいにうまれたのだろう。


りゅうは、そうしずかにおもいました。


そして。


こんな、せかいなんて、なくなってしまえばいい。


そう、りゅうはおもいました。


りゅうは、だいちをけり、おおぞらへとびたちます。


りゅうは、せかいかくちをまわり、さまざまなものをはかいしてまわりました。


りゅうは、あいにうえていたのです。


しかし、りゅうにあいをあたえてくれるそんざいは、いませんでした。


りゅうは、そんなせかいをますます、にくみます。


ぜつぼうのなかに、りゅうは、かすかなひかりをみつけました。


りゅうのはかいこういに、せかいにすむものが、りゅうをたおすべく、てをとりあい、たちあがったのです。


そのとき、りゅうは、せかいにあらそいが、なくなったことにきづきました。


あらそいのないせかいは、まもなくおとずれる。


そう、りゅうはかくしんしました。


ならば、と。


りゅうは、あくやくになりきることを、けついしました。


こどくにたえ、おそれられることにたえ、りゅうは、せかいにすむものと、たたかいつづけました。


ただ、りゅうは、せいしんてきくつうにたえることができませんでした。


りゅうは、しぬじゅんびをはじめます。


りゅうじしんのちからを、せかいのかくちにかくし、てっていてきにりゅうのおそろしさを、きおくにうえつけていきます。


そして、それからしばらく。


りゅうはせかいにすむものたちにうたれました。


さいごにりゅうは、みずからのからだをてんいさせ、せかいにつくった、からだのほかんばしょへと、おくりました。


そして、りゅうは、いのちをおえました。


だれにも、かなしまれることのない、かなしいしでした。


りゅうはねがいます。


つぎのせいを、えることができたのならば、さびしさのないせかいにうまれたい、と。


りゅうのいなくなったせかいは、かんきにつつまれました。


それも、そのはずです。


りゅうという、せかいのききはさったのですから。


だれからも、りゅうのかくごはりかいされず、ただただ、こうせいにつたえられるりゅうのすがたは。


はかいのけしん。


していおう。


せかいをかんじょうのままにはかいする、くろきりゅう。


もう、だれもしりません。


りゅうのやさしさを。


りゅうのねがいを。


ただただ、おそろしいりゅうがこのよにそんざいしたというじじつだけが、のこったのです。






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