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みんな異世界が好き  作者: らーきー
9/12

数多の魔王たち

みなさんの趣味は何ですか?


散歩から戻った俺は、ひとつの結論を導き出していた。


「我々は芸術家でなければならない」


虫たちでさえ、異性にアピールするために音色を奏でるのだ。

人間も何か、アピールできるものが無ければならないだろう。

例えば、就職活動では過去の経歴というか、趣味とか特技とか、そういったことを言わねばならないのだが、それと同じようなものだ。

結婚を考える男が、相手の両親に自己紹介をするときにも必要になるだろう。



趣味の無い人間は弱い。

しかし、自分にあった趣味というものは、そう見つかるものだろうか。


「なあ、リアラ。何かオススメの趣味ってある?」

「ご主人様、私はかの猫型ロボットではないのですよ」

「いや、かの青いタヌキのようなテクノロジーは想定してなかったよ」

「そうですか・・・しかし、最近はネットや端末が普及してますからね。何かそういう関係でできるかもですね」

「そういえば、小学生のなりたい職業ランキングのトップにあるのが、動画配信者って職業だったな」

「自分のチャンネルを持てるって、いい時代になりましたね」

「まあ、しょーもない動画が大半を占めてる気がするんだけどな」


かつてはテレビがメディアの中心であったが、最近ではあらゆる個人が、自作の動画を発表するようになってきている。


「あの、ご主人様。ひとつわかったことがあるのです」

「なんだい、リリア」

「リアラです、ご主人様!その、前に話にありました魔王というものなのですが、それはどうやら動画配信者のことではないかと思うのです」

「なるほど、魔界の創造主だからな。となると、そもそもフィクションの作者は魔王ということになるな」

「そうでございます。さらに申しますと、フィクションのみならず、あらゆるメディアの発信者は魔王と言ってもよいかと思うのです」


魔王魔王と言っていると、また暗い話になりそうなので、話を戻した。


「・・・まあ、それは置いておいて。俺の趣味についてなんだが」

「はい、イラストを描いてみてはいかがでしょうか。あるいは、音楽なども」

「そうだな、最近『これさえあれば、何もいらない』っていうタブレットPC買ったから、多分できると思う。まあ時間はかかるだろうけど」

「それでは、ご主人様。私が趣味の成功を祈って、魔法を授けたいと思います」


リアラは杖を取り出すと、天を指した後、部屋の中央に向けた。


「ミディアム、メディアム、アルファーレ!光と影よ、我らの夢を結び給え!」


リアラの杖の先から、桃色の光が、たなびくリボンのように放たれた。

それはやがて、タブレットPCを包み込むと、うっすらと消えていくのであった。

タブレットPCに、何かが込められたようだった。


「絵を描かねばならない」

こうして、俺の趣味(あるいは特技)は一応「絵」ということになったのだった(予定)。


僕は絵を描きたいと思います。

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