お助け精霊・リアラ
巨乳から幼女へ
ふと気づくと、俺は布団の中にいた。
いつの間にか、寝ていたのだ。
朝7時頃に起きて、今、正午になろうとしている。
そして、目の前には女神アルセイヌ(巨乳)が立っており、座っている俺を見下ろしている。
「それで、いったいどうして、こんなことになってしまったのですか?」
俺は叱られている。
「いや、俺はただゲームをしていただけだが」
「あなたには使命があるのですよ!」
「使命?ああ、昨日言ってた『創造』ってやつか」
「それを、よりによって、魔物にいいようにされてしまって・・・」
「魔物?俺がやってたゲームのこと?」
「魔樹・パラサイト。あなたにはゲーム機という概念で捉えられている魔物の名よ」
魔樹・パラサイト。人間の思考力を吸い取る魔物だという。
「いやいや、ただのゲームだろ」
「では、なぜあなたはゲームをしていたのですか?」
「ちょっと頭を使いたくなったんだ」
「それはパラサイトの種を寄生させられたのね」
「いやいや、ちょっとした刺激が欲しかっただけだから」
「それは土の魔物、タスケット・クレイの仕業ね」
「たす・・・助けてくれ?」
「タスケット・クレイ。彼らは水が嫌いなの。だから、魔樹を使って水を吸い取ってしまうのよ」
「よくわからん。俺はどうすればよかったんだ?」
「『創造』し続けることよ。私も手伝いますから」
女神パラサイト・・・もとい、女神アルセイヌは、よくわからない言葉を使ってくる。
「ところで、異世界モノの女神さんは、その世界の魔王討伐の手助けをしてくれるというのがお決まりなんだが、俺のやらなきゃいけない『創造』ってのも、魔王討伐の一環みたいなものなのか?
そもそもこの世界に魔王なんて居るのか?」
「・・・いますよ、魔王。そして、勇者であるあなたが、倒さねばなりません」
「魔王ってのはどこにいるんだ?お決まりなのは魔王城って感じなんだけど」
「魔王の所在は、わたくしでも掴めていません。一説には地中深くに封じられているという話も聞きます」
「それなら、どうして『魔王がいる』なんて断言できるんだ?」
「魔物がいるのであれば、魔物の王がいてもおかしくないでしょう?」
「そういうものかなぁ」
俺が水晶玉を見ると、昨日は輝いていた光が消えて、濁っているような気がした。
「ミディアム・メディアム・イディオム!」
突如どこからか声がした。
すると、目の前にいた女神の姿が光の粉のように変わり、水晶玉に吸い込まれていった。
「せっかく、明るい話になりかけていたのに、どうしてアルセイヌって台無しにしちゃうのかしら」
振り返ると、そこには5~6歳くらいの女の子がいた。
「私は『お助け精霊』のリアラ。よろしくね」
蝶のような羽の生えた妖精のような少女は、笑みを浮かべていた。
「ふむふむ、なるほど。あなたの世界、これは相当ね」
「君はいったい・・・」
「さっきの女神の代打みたいなものよ」
「そうか。それで、俺はどうやって魔王を倒せばいい?」
「えっとね、魔王なんてどうでもいいから、まずはその寝巻姿を着替えて。
そして荷物を準備して買い物に出かけなさい」
その笑顔には、一種の圧力が感じられた。
巨乳の時代は終わった