リターン
せっかくなので、巨乳を所望する
「魔界が魔物?いったいどういうことだ」
「そのままの意味さ。魔物ってのは領域を含めた存在なんだ」
「・・・それで、いったいどうしろっていうんだ」
「あんたのその左手、黒い影が付いているだろう?それは魔界に通じているのさ」
「!?」
「要するに、あんたも魔物の養分にされているってわけ」
「やっつけられないのか?」
「ははは、そう単純なものじゃないのさ。まあ、魔法を使う相手にはいいんじゃないかな」
そう言うと、ジャックは黒い影に触れた。
すると、そこにいくつかの小さな光が現れ、鮮やかな輝きを見せ始めた。
その光のなかで、一つの赤い光を指でつつくと、目の前がまばゆい光に包まれた。
そして目を開けると、そこには大柄な男が一人立っていた。
身長は俺の倍はあり、もはやこれは巨人といったほうがいいレベルだ。
「さあ、何をしている。魔法を使うんじゃなかったのか?」
俺は我に返り、技の名前を唱えた。
「ルート!」
すると、巨人の立っている地面が割れて、巨大な木の根が飛び出してきた。
巨人は割れた地面に落ち、大声を出しながらもがいていたが、しばらくして動かなくなり、はじけるように黒い影に変わってしまった。
「なるほど、木の根が何かを吸収できた気がする」
「そうだ。それで今、あんたは魔物に食われたのさ」
「え?今俺はあの巨人を倒したんだろ?勝ったじゃないか」
「そうだな、しかし、あの『木の根』に、あんたは力を使ったのさ」
「なんだと!?騙したのか!」
「なんのことですかね?魔法を使いたかったのでしょう」
気が付くと、元の世界に戻っていた。
さっきまで目の前にあった「ひび割れた地面」は、なくなっていた。
「どういうことだ?地面が戻っているぞ」
「いや、そもそもこの地面は何も変わっていないぜ。さっきあんたが壊したのは、魔界の地面なんだ」
黒い影を通じて、あんたは魔界に飛ばされていたのさ」
「なるほど、つまり幻覚を見せられていた、というわけか」
どうやら、黒い影を通じて、魔界と呼ばれる幻覚を見せられていたらしい。
「所詮、幻覚に過ぎないんだろ」
「ええ、そうですとも。あんたはただ夢を見ていただけ。何も悪いことは起きていないのさ」
「夢・・・うっ・・・」
目を開けると、白い光が俺の目に入り込んできた。
見覚えのある部屋に俺はいた。
元の世界に戻ったのだ。
「夢・・・だったのか」
そう思って机の上を見ると、そこには水晶玉が置かれていた。
謎の美男子ナロウにもらったものだ。
すると突然、声が聞こえてきた。
「おや、失敗ですか。どうでしたか、初めての世界は。良い旅は出来ましたか?次も頑張ってくださいね」
俺はどうやら、うまくいかなかったらしい。
俺は左手を確認した。黒い影はまとわりついていなかった。
ジャックの姿も無い。
現実に戻ったのだ。
今日という日が終わろうとしていた。
明日からまた、仕事が始まる。
俺は風呂に入った後、布団に潜った。
「おやすみなさい」
「おやすみなさい」
「・・・」
10秒程度経った頃、俺は現実を受け入れた。
布団の中に人がいるのだ。
とてもやわらかく、包み込まれるような感触。
間違いない、おっぱいだ。
終わるかと思った?残念、続きます